第7話 ギルドへGO!

 取り敢えず定番の冒険者ギルド?を探して見る事にした。人通りはそれ程多くないが冒険者らしい姿は…居ない。時間は多分昼過ぎ位だから未だ仕事中だろうか?暫く様子を見ても居ないっぽいので串焼きを売ってる屋台のオジサンに聞いてみる事にした。


「あのう、すみません」


「へい、いらっしゃい。オークがこの町に来るのは珍しいね。何か買うかい?」


「買いたいのは山々なんですが、手持ちが無いんですよ。それで手持ちの品を売ってお金にしたいんですがギルドとかありませんか?」


「物にもよるが、冒険者ギルドか商業ギルド、薬品ギルド辺りかな?この通りを真っ直ぐちよっと歩けば看板でてるから分かると思うよ。3軒並んでるから行ってみなよ」


「教えてくれて有り難うございます。早速行ってみます」


 オークだから教えてもらえないかも?とか思ったが特に差別とか無いみたいだ。まぁ複数の種族が暮らしてる町だからそんな物かもしれない。


 歩く事、暫し。それらしき建物が見えてきた。

 取り敢えず薬草を売ってみるか。俺は先ずは冒険者ギルドに行って見る事にした。


 三軒並びの一番手前が冒険者ギルドだった。中に入ってみると人が殆ど居ない。壁際のベンチに数人冒険者らしい格好をした人が座って居るだけで、受付カウンターには三十代位のオジサンが一人居るだけだった…あれっ?美人受付のお姉さんは?御約束が存在してませんが?この世界色々とおかしいよ!


 切なさと哀しさを堪えながら俺はカウンターに居るオジサンに薬草を売ろうと話し掛ける事にした。


「すみません。こちら薬草の買い取りは出来ませんか?」


「…オークが冒険者ギルドに来るとか珍しい。しかも薬草を売りに来るとか初めての事だ。取り敢えず見せてもらえるかな。」


「はい。手持ちはこれだけです。」


 俺はリュックから出すふりをしてアイテムボックスの中から薬草を四束程取り出しカウンターの上に置いた。


「!…これは驚いた。これだけ品質が良い薬草を見たのは初めてだ。しかも鮮度も良い。これなら高額で買い取ろう」


 そういうとオジサンは一旦奥に行き、受け皿に硬貨らしい物を載せて戻ってきた。


「ここは冒険者ギルドだし、せっかくだから冒険者登録もしていくか?君は礼儀正しいし薬草知識も有る様だから将来有望そうだ」


「登録には何か必要ですか?見ての通り武器や防具も持ってないのですが…」


「本来なら登録料は必要だが、君は有能そうだし後払いで良いよ。武器や防具はギルドに有る物を貸そう。それとこれが薬草の代金の銀貨二十枚だ」


 薬草の代金を貰い、ついでに冒険者登録をする事になった。薬草の分から登録料を取られるかと思ったが後払いで良いとの事なのでそのまま貰いリュックに入れるふりをしてアイテムボックスに入れておいた。しかしこれだと買い物する時に面倒なので腰に着けるポーチとか欲しいね。オジサンから冒険者ギルドの登録カードを受け取り、カウンター脇に有るギルドから貸し出す武器と防具で自分に合いそうな物を探してみた。数は少ないし、良い物は無かったが取り敢えず短槍と丸盾を借りる事にした。


 残念ながらお約束の新人冒険者への嫌がらせ絡みとかもなく、普通に武器と防具を借りるとギルドから出た。しかしあの暇そうにしていたベンチにいた冒険者達は一体何なのだろう?


 因みに有ると思った依頼が貼られたボードみたいな物は無かった…どうやらこの世界のギルドでは依頼は基本的に指名制で、役に立たない使えない冒険者は登録自体出来ないっぽい。

 

 俺が登録してもらえたのは良質の薬草を大量に持ってきたから有用だと判断されたからみたいだ。確かに使えない不良冒険者が幾ら居てもギルドの有益にはならないよね。合理的と言えば合理的だが…何か色々と思ってたのと違う。

 

 因みに後で分かった事だがギルドに居た冒険者達は緊急依頼が有った際の為の待機要員で、これは当番制になっていて有能な冒険者なら最低月に一回はやる事になるらしい。別に新人に絡む為に居る訳ではなかったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る