第5話 クズはクズのまま

この薄気味悪く、聞き覚えのある声。体に感じる妙な重み、これは馬乗り……?


俺は誰かに馬乗りされている? 瞼の隙間から日が差し込んでくる。


その瞬間、僕は目が覚めた。


「……デ、デバリア? どうしてここに?」


僕がそういうと、デバリアは僕の手首をつかみ、苦笑して続けた。


「どうしてって……村で一番のスキルを発現させたノア君を放っておくわけないじゃん」


そう言って、デバリアはそのまま僕に顔を近づけて、嘲笑する。


「ノア君、なんの疑いもなく、睡眠薬に加えて、一時的な身体能力低下効果のあるジュース、飲んじゃったもんね?? 私のお手製なんだからね!!」


「……それで、この状態の僕をどうするつもり?」


「まったく! ノア君は察しが悪いなっ!」


そう言って、デバリアは再び手首を押さえつけると僕の体から降りる。


すると、デバリアは小馬鹿にしたような目で見つめ、口を開いた。


「ほら、ノア君も早く立って」


「いやだ。僕はまだ寝ていたいんだ」


どうせ体も動かない。瞼も重たいし、僕が起きる時間にしてはまだはやい。まったく、ルーティーンを崩さないでほしい。


するとデバリアは不気味な笑みを浮かべると同時に口を開く。


「はい、ノア君アウト~っ」


その瞬間、強烈な痛みが俺を襲った。


「────ううっ……!? うあああぁぁあああッ?!?!」


「言い忘れてたけど。私に抵抗すると、手首のリングから、ものすご〜い電流が流れるから気を付けてね♡」


デバリアはそう言うと、痛みに悶え、デバリアを睨みつける俺の顔を覗き込んだ。


「あはははッ!! いい顔いい顔〜っ!」

「でも、やっぱり、もう少し眠ってもらおっかな」


デバリアはそう言うと、俺の口をなにかの布で覆った。


「──ッや、やめ」


俺の抵抗虚しく、電流のせいで身動きも取れずに俺の視界はだんだんと曇っていった。


「ふ、ノア君、滑稽〜」


完全に意識を失った俺を見たデバリアは薄ら笑いし、そっと呟いた。



♢ ♢ ♢



……全く。滑稽なのは、どっちの方だ。

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