みんな大好きドラえもん。海外でもファンの多いドラえもんの人気の秘密はどこにあるのか。名作『映画ドラえもん のび太の日本誕生』の新・旧版を比較してシナリオ分析をやってみようという試みです。
新旧の違いはスバリ、のび太とククルの友情や、ペガ・グリ・ドラコの三匹の絆といったキャラの掘り下げが随所で行われている点だといいます。
そして終盤のストーリーの大幅な変更。旧版では罠にはまりタイムパトロール隊に救出される大人任せな結末だったのが、新版では子供たちが力を合わせて悪い大人に勝つ、成長と感動の大団円になっているのです。
それぞれパートごとの分析を読んでいくと、成る程と頷ける指摘が多く、創作に活かせる発見が詰まっていました。
ちなみに旧作映画には社会風刺が込められているのはご存知ですか? 公開当時は環境破壊が社会問題になっていました。
『日本誕生』には、コンクリートジャングルで埋め尽くされた息苦しい日本をリセットして、子供たちに新しい日本を作り直して欲しいという作者の願いがあったように思います。
初公開から35年後の今、私たちは藤子・F・不二雄先生が望んだ未来の日本を作れているのでしょうか……。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)