クライマックスEX:「みんなっ、助けにきたよ!!」

 何度でも、何べんでも楽しめる。

 時折そんなシーンに遭遇する事があります。


 私の場合は、今回紹介する『新・日本誕生』のシーンがソレです。




●「これでもか!」ってぐらいに面白い要素を詰め込んだ最高の名場面!!!



「あ、あれはっ!?」

「もしかして!!」


みんな:「「「「のび太(くん・さん)!!!」」」」



 絶体絶命のピンチに現われたのび太!

 行方不明になっていた三匹のペット達も、シルエットが映ってからの登場と大変かっこいい!

 ココから始まる逆転劇は数分程度なのですが、やってる事がとにかく多いので順番にピックアップしていきましょう。



◆シーン全体の流れは大体こんな感じ


①ジャイアン達に跳びかかるサーベルタイガーが何者かに踏みつけられて落ちる

②ペガに騎乗しているのび太視点の素晴らしいカメラワーク+OPテーマの壮大なアレンジ曲が流れ始める

③ペットのシルエット→捕まってるキャラ毎の台詞→シルエットを人数分繰り返してから、ペガ(シルエット)の嘶き→1人と三匹の決めポーズ!


④のび太の合図で、捕まっていたはずのヒカリ族の男達(ククル含む)が一斉に飛び出してくる → ヒカリ族vsクラヤミ族のぶつかりあい

⑤ドラえもん達を救出するククル

⑥状況と言い方でこうも意味が変わってくるのか。「のび太のくせに」「なまいきだ!」


⑦ペガの力も借りて、ギガゾンビに攻撃するのび太

⑧調子に乗った直後、ツチダマ×4に追われて助けを求めるのび太(笑)

⑨瞬間接着銃を超AIM(エイム)で命中させていくドラえもん達。


⑩形勢不利を悟って撤退するギガゾンビ

⑪「ここは俺達に任せて先に行け」ジャイアン&スネ夫、さりげなくドラコも一緒です。

⑫のび太&ククル+ペガ、ドラえもん&しずか+グリ。ギガゾンビの後を追う。




●ここがスゴイぞ、この場面!!


▼ジャイアン達に跳びかかるサーベルタイガーが何者かに踏みつけられて落ちる

 グリのナイスアタック! タイミング的に儀式の間に最も速く突入したのはグリのようですね。

 この攻撃を受けたサーベルタイガーは一応立て直そうとはしますが、続けてドラコに威嚇されて逃走→頭を抱えて震える(戦意喪失)しちゃいます。動きが可愛い。



▼ペガに騎乗しているのび太視点の素晴らしいカメラワーク+OPテーマの壮大なアレンジ曲が流れ始める

 狭い通路を抜け、クラヤミ族&ギガゾンビの上空を通り過ぎる演出は特別感があります。コレだけでも凄いのですが、ここから流れっぱなしになるOPテーマがムチャクチャ盛り上がってカッコイイ!!

 記憶に残るドラえもんのカッコイイBGMで文句なしのナンバーワンです。作業用BGMとして永遠に流し続けたいぐらい。

 

 せっかくなので音楽にも触れます。

 絵とシナリオと音楽(※他にもありそうだけど)、この3つを同時に使用できる“アニメ”は、それらが上手くかみ合った時の相乗効果が凄まじいものです。『新・日本誕生』における該当シーンはココだと思います。

 単に主題歌のオーケストラアレンジ系が大好きだってだけじゃない……はずッ(苦笑)。実はこの場面で流れている曲は中盤のクラヤミ族&ツチダマ戦辺りでも使われてるのですが、クライマックスより目立ちません。


 やっぱりこの場面で流れるからこそ至高なんだなぁ~と、勝手に感じる次第であります。



▼ペットのシルエット→捕まってるキャラ毎の台詞→シルエットを人数分繰り返してから、ペガ(シルエット)の嘶き→1人と三匹の決めポーズ!

 特撮やロボットアニメなんかで使われる、1カメ・2カメ・3カメ! と別視点からの映像を連続で流すのがありますが、手法としてはそれと同系統でしょうか。

 ペットのシルエット → 捕まってる仲間 → シルエット → 仲間 → ペガ&のび太が中心、左右にグリ、ドラコの配置でフィニッシュ! メリハリがあると言えばいいのか……きれーーーいに場面の流れが演出されています。


 スーパーグッジョブ!



▼のび太の合図で、捕まっていたはずのヒカリ族の男達(ククル含む)が一斉に突入

 ココは完全に新版のオリジナル。旧版なら仲間を乗せて即座に撤退していたところですが、のび太が犬笛を吹くと、通路の向こうから武装したヒカリ族の男達が突入してきます。なんて熱いんだ?!w

 特にピックアップされるのはククルのお父さん(タジカラ)です。彼はクラヤミ族のリーダーっぽいヤツと槍をぶつけあいますが、不敵に笑いながら力で押し返しています。この演出によりギガゾンビ達の力がなければクラヤミ族 < ヒカリ族という図式にも見てとれます。未来の時間犯罪者が介入してなければ、本来負けるはずないのかもしれません。


 ちょっとした小ネタを1つ。

 突入した後、左右に分かれて進んでいくトコが少しだけありますが、右の通路を進んだヒカリ族の1人が勢い余ってかコケちゃってます(笑)。芸が細かい。 




▼ドラえもん達を救出するククル

 事前に打ち合わせしてあったのか、ククルは真っ先に生贄になってるドラえもん達の縄を切ります。この場面におけるククルの役割は何気に重要で、「仲間の救出」と「どうしてヒカリ族が来れたのかの説明」を一手に引き受けてる形ですね。付け加えると、これ以降のククルはパーティメンバーの1人として行動してくれるようになります。自動行動から操作可能キャラになったような感じ。

 多分、ステータス画面が見れたらククルは身体能力系がぶっちぎりの1位でしょうね(笑)。




▼状況と言い方でこうも台詞の意味が変わってくるのか。

 クライマックスにおけるスネ夫 (+ジャイアン)の名シーン! 「のび太のくせになまいきだ」は、彼らがいつも口にしている常套句なのですが、その使い方はのび太をバカにするものでした。

 しかし、この場面においては全く違う意味を持ちます。そこに秘められた意味を読み解くのであれば、「ほんとによくやった!」になりましょうか。


 ネガティブな台詞をポジティブに反転させた、非常に良い台詞回し!

 通常版で使われていた口癖が、特別版で流用してもらえるのもイイですよね~。




▼ペガの力も借りて、ギガゾンビに攻撃するのび太

 白馬の騎士モードに入っているのび太が、ゆっくり旋回しながらギガゾンビに攻撃を仕掛けます。

 「頼むよペガ!」の掛け声とペガの嘶きが気持ちの通じあいを感じさせてくれますね。この攻撃の前にギガゾンビは防御姿勢をとりますが、のび太の槍によって仮面の装飾(角)が切られています(※1)。


 のび太が槍で直接攻撃をするシーンは、『ドラえもん』全編を通して中々見られません。大分貴重。



(※1):この攻撃時ですが、何故ギガゾンビは杖(黒オーラ)で迎えうたなかったのか? ツチダマを溶かした時はビーム的なのが出てたので遠距離攻撃が出来ないわけではないはず。思いつく仮説は2つ。


・襲撃に動揺していたので対応が遅れた

・のび太+ペガの攻撃が反撃不可と判断させた


 前者は予想外の展開にビックリしてたパターン。生贄は救出されるわ、ヒカリ族に反逆されるわと予想外の展開に動揺してた説。後者はそれだけのび太達の攻撃脅威度が高かったという話ですが……映像上だと割とゆっくり突撃しているようにも見えますね。しかし、これはあくまで視聴者の視点。ギガゾンビからすれば自分よりもデカい白馬に乗った少年が槍で攻撃してくるのは普通に怖そうです。

 ペガの飛行速度は2000キロを約10時間?くらいで踏破する=最低200キロは出せるので、もしアレが最高速度に近い状態だったのであればF1のレーシングカーが突っ込んでくるぐらい出てる?w



▼調子に乗った直後、ツチダマ×4に追われて助けを求めるのび太(笑)

 ヒーロータイムが終了したのび太が、いつもののび太に戻ってしまいます。ギガゾンビ本人に飛行能力はないですが、ツチダマは飛べる上に衝撃波まで撃てますから、そんなのが4体も追いかけてきたら逃げたくもなりましょう。


 主人公側のキャラが一気に優勢となる場面は盛り上がるシーンでよく見られますが、それは永遠に続くものではなく割とすぐに終わりを迎えます。終了ラインは敵の殲滅時が多いですかね? 特撮系なんかが顕著。



▼瞬間接着銃を超AIM(エイム)で命中させていくドラえもん達。

 ツチダマが再生してしまう事は事前調査で判明しているので、ドラえもん達が瞬間接着銃を用いて動きを封じる場面です。ツチダマに瞬間接着銃で対抗するのは旧版でもありましたがが、あっちはビュッ!と接着剤を吹きかけるような演出だったのに対し、新版の接着銃はバシュン!とイイ音と共に発射されます。すごい強そうな弾丸に見えますね。


 この時、次々とツチダマ達は壁や天井にくっついて身動きが取れなくなります(事実上の戦闘不能)。その命中率たるや高いなんてもの物足りない、凄腕の領域(笑)。空中を高速移動している対象に弾を当てるのは、実際とんでもなく難しいはずなのですが難なく命中させています。キャラ的にはスネ夫が一番射撃能力が高そうですが……残念ながら、誰がどれに命中させたかはわかりません^^;


 ツチダマの出番はコレで完全に終わりで二度と姿を見せませんが、土砂に埋もれるよりかはマシな退場でしょうかね?



▼形勢不利を悟って撤退するギガゾンビ

 ツチダマも倒して、フルメンバーで揃うカットが映ります。あんなに絶望的だったのに、誰もが笑顔を浮かべている良い場面カット!

 とはいえ戦いはまだ続いており、ギガゾンビは「今のうちに」と言いたそうに奥の方へと撤退。強引に戦おうとはせず、不利を悟って逃げるその姿勢は頭の良さを感じさせてくれますね。1対多数を嫌がったのもありましょうが、最大の目的である「亜空間破壊装置の起動」を急いだのでしょう。



▼「ここは俺達に任せて先に行け」ジャイアン&スネ夫、さりげなくドラコも一緒です。

 ギガゾンビを追わねばならんが、クラヤミ族vsヒカリ族も終わってません。

 そこでジャイアン&スネ夫が超有名なテンプレである「俺達に任せて先に行け!」をやり始めます(笑)。『ドラえもん』じゃなければ、この役目を負ったキャラは大抵ロクな目に遭わない(※概ね死亡かそれに近い状態になる)死亡フラグ

を立ててるのですが、さすがにフラグ回収はしません。


 最終的にはドラコに乗った二人がクラヤミ族を追いかけ回すカットが出てきます。が、ココで出番が終わりじゃないのが新版のいいところ! ジャイアン&スネ夫には後に最大の見せ場が残されているのです。ソレがどんな見せ場なのかはもう少し先のお楽しみ☆


 ジャイアン達にその場は任せ、他のメンバーはギガゾンビの後を追います。ふつーにククルが同行するので「おや?」と感じる方もいたかもですね。

 彼が同行する意味。それが明らかになるのは2シーン程先になります。





●クライマックスは全部で3つ!

 今回の項で紹介したのが個人的に最も100点満点を大きく超えた箇所でしたが、クライマックス(EX)は全部で3シーン存在します。


 今回が大きく異なる展開となった始まりの1シーン目。

 次が抑えめだけど新規戦闘の2シーン目。

 そして最後。完全新規かつ最もククルが活躍し、皆で一緒に戦った3シーン目。

 

 これらを乗り越えた先に、また二段構え(?)で泣かせにくる感動のエンディングが控えています。最後の最期までずっと楽しい新版は本当に面白い☆


 

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