⑫ミドルⅩ:日本誕生の始まり と ククル&ロウのエピソード



●昼間~夕方前:ヒカリ族が日本へ。村作りが行なわれる


 ペガ達捜索を打ち切って、一行は日本(楽園)に帰還します。ヒカリ族の面々はドラゾンビ様がおられる豊かな土地に大感動。ククルの提案で村を作る場所もバッチリといった様子です。


 ヒカリ族は、原始的な道具を使って木を切り、草を刈り、(様子は映ってないけど)獲物を仕留めます。

 大人だけかと思いきや小さな子供までしっかり働いているため、現代人であるジャイアン&スネ夫にとっては大変な現場に見えて仕方ありません。


→原始と現代。技術と常識の違い



 そこでジャイアン達は、神様ポジションになってしまったドラえもんの下へ向かいます。頼れる猫型ロボットに「らくらく道具」を貸してくれと頼みに行くのです。

 それを聞いたドラえもん。獲れたて焼きたての肉を頬張りながら、こんな感じに諭しはじめる。


「ダメだよ。ヒカリ族のみんなには らくらく道具(ひみつ道具)は使わせない」


 当然ですが、原始時代にとって未来のひみつ道具は便利すぎる代物です。それを使わせてしまうと、今後生まれるはずの技術や考え方に影響を及ぼす=歴史改変に繋がるというわけです(※1)。

 その答えに対して、ジャイアン達は「ケチゾンビー」と言って去ります(苦笑)。単純に手伝ってあげたいという気持ちからの発案だったでしょうから、断られて残念だったのでしょう。視聴者側にはドラえもんの答えは大変正しい思うのですけどね^^; 小学生らしい反応とも言えます。


 とはいえ、結局先に手伝っていたしずかを見習ってジャイアン・スネ夫も作業に加わります。ひみつ道=未来の技術がなくても、出来ることがある。無意識でも彼らはそれに気づいたのかもしれません。


 で。

 ココまでの村作りシーンですが…………のび太の出番がありません(笑)。


 のび太の姿が見当たらない事に気づいたジャイアン達がぼやいて、それを聞いたククルが探しに行きます。なんでもない場面に見えますが、シナリオ的にはジャイアン達からククルへのナイスパスです。

 コレがTRPGだったら「次はククルとのび太のシーンになる」と予想or知ってるジャイアン・スネ夫のプレイヤーのパス回しが光る。一見地味かもしれませんが、自然とそういう流れに持ってくのは案外難しいものです。わんだほー!!


 総じてこの場面は旧版にあった要素をさらに掘り下げ、洗練したと言えそうですね。

 


(※1):現代人メンバーはセーフ。使わせたところで歴史改変には繋がりにくいですし、劇中以外でもこれまでに「ひみつ道具」を何度も何度も使用してますしね(笑)。




●夕方:落ち込むのび太、元気づけるククル。そしてロウ


 筆者的、新版における超重要シーンの1つ。旧版を知っていて、改めて『新・日本誕生』のすごさを体感するだけならこっからが要注目ですよ~。


 ココは旧版でもあった「落ち込むのび太をククルが元気づける」場面ですが、後々の展開まで知っている状態でチェックすると超良いフリになっています!!(興奮



 ちょいとその素晴らしき要素を並べてみましょうか。


・新版ククルが首からさげていた「犬笛」が意味をなす、にくい演出!

・ロウが可愛い!(個人の感覚強めw

・ククルとロウの思い出話に対して、のび太の共感度が半端ない!


 他にもたくさんあるため、情報量がスゴイ。

「犬笛」「マンモスの狩り」「ロウが帰ってきた話」だけでも覚えておくと、本編の続きが大変楽しく観れます。


 セリフとしては、ククルの「ワガママは言えないからね」が最高! 最初に茂みのガサゴソ音を聞いたのび太が「ペガ!?」と反射的に言ってしまったのもナイスです。でてきたのはククルですからバツが悪くて仕方ない(笑)。


 僕は昔こんな体験をした。

 はぐれたはずのロウが僕の下に帰ってきてくれた。

 だからのび太の三匹もきっと……。


 やり取りがエモすぎる!!(※1)。

 時期と流行が合致してたらウスイ本でこのカップリングが流行ったかもしれません(ォィ


 元気づけてもらったのび太は、こうして村作りの手伝いに向かうわけですが。

 この時の話が、あとでのび太の窮地を救うキッカケに繋がるわけで。いやー、どんだけ上手に伏線を張ってるんだww その思考回路を分けてもらいたいですね!



(※2):見方によっては、このククルの行動は恩返しともとれます。自分やヒカリ族の皆を助けてもらったのは勿論ですが、直接的な関係としては「見張っていた夜に羽織るものをくれた」時のお礼という筋を推したいところ。二人の絆ゲージがあったら、まず爆上がりしてるでしょう。

 ゲームであれば旧版と新版に分かれるフラグ管理の条件――なんてのも面白いですね。なお新版ルートの方が面白いけど難易度ベリーハードです(笑)。




 

 まだ『新・日本誕生』を見た事がない方は、ここからの流れ以降だけでも観るといいでしょう。シナリオ構築の超参考になるはずです。


 以上、今回はここまで。

 次回は「恐怖! まさかの5体揃ってツチダマレンジャー!!」(笑)の予定です。

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