⑪ミドルⅨ:楽園へ戻ろうとする一行
ツチダマに勝利したドラえもん(達)。
精霊大王の名前が効いたのか、ヒカリ族から「ドラゾンビ様」として崇められます。「よしてくださいよ~」といった態度ながらも満更でもなさそう(笑)。
彼らはヒカリ族を安全な場所に連れて行こうとゆー理由で、楽園(日本)へと移動します。活躍するのは定番の「どこでもドア」(※1)。ココでドラえもんは楽園へドアを繋げようとしますが、「ペガ達を迎えにいかないと」とのび太が待ったをかけたので一旦行き先を変更します。
お馴染みピンク色のドアに全員が入ったのを確認。ドアが消えてから少しすると、カメラがバラバラになったツチダマを映します。旧版にもあった復活シーンですね(※2)。
くやしそうな言葉を言い残して、ツチダマがどこか遠くへ飛びだっていく場面でこのシーンは〆。
続けてペガ達を迎えに行くところに移ります。
(※1):以前にも書きましたが、行きは使えなくて帰りは使えています。コレについては行きの移動中に必要な情報を覚えさせたからとドラえもんが説明しています。
また、同様の理由によって後々トコヤミの宮を目指す際にクラヤミ族に追いついたところまで一気にショートカットできるようになっている。ひとつの理由でふたつの回答になっているとも言えそうです。
(※2):未来の特殊なセラミックの性質で復活しているわけですが、後でドラえもんが持って帰ったパーツの一部をハンマーで砕いてるのも旧版と一緒です。ちょっと面白いのは、ハンマーで砕いた時は割とすぐにくっついてるのですが、ひらりマントの反射でバラバラになった時はドラえもん達の姿がいなくなるまで復活していません。
もちろんお話の都合上そうなってるのでしょうが、もしかしたらツチダマ自身の意志で多少復活時間を操作できる可能性があります。その仮説が合っているなら、ツチダマは復活する前に「この青ダヌキに勝つのは簡単ではない」「下手すれば復活できなくされるかもしれない」「ならばギガゾンビ様に情報を伝えよう」と判断した……と、言えるかもしれない。情報は大切です、ナイス部下。
●昼間②:ペガ達を迎えに行ったけれど、姿は見えず……
昔と変わらず、ペガ達に対するのび太の愛情が強く表現される場面です。
時間的には半日も経っていないはずですが、留守番してもらった場所に三匹のペットの姿はありません。メンバー全員で探すのも同じ、発見できない点も同様です。
強いて挙げるとすれば、のび太が白鳥とペガを見間違える演出はカットされ、みんなで探してるところも短めになっているのが変更箇所でしょうか。
「ボクのせいだ……置き去りになんてしたから……」
そう呟いて落ち込むのび太。他メンバーがそれぞれ慰めの言葉をかけますが、それだけじゃ気持ちにふんぎりがつきません。
心配いらないわ、案外のびのびとやってるかも、いったん帰ろうぜ。これらはしずか・スネ夫・ジャイアンがのび太の気持ちを汲んで発言した台詞ですが、のび太にとっては説得力に欠けています。なんなら増々意固地になって、
「いやだ、見つかるまで探すんだ!!」
とすら返してしまう。
あのぐずでのろまなのび太くんが……。そう考えると劇中における彼の変化や成長を感じさせてくれます。
ですが打開策は提示されません。
最終的にはドラえもんによって「ヒカリ族のみんなを日本に連れていかなきゃいけない」という、どうしようもない理由を切りだされて渋々折れたような形です(※3)。すぐに場面が切り替わるのでこの辺はそれ以上表現されませんが、1分もない尺の中でコロコロ変わるのび太の表情 (全部泣き顔)が大変素晴らしい。
あの表情の連続が文章で表現できたらいいんだけどな~と思わずにはいられません。
(※3):のび太くんに対する声掛けは、ククルも入れれば3つに分けられそうです。
①しずか~ジャイアン:具体例のない希望的想像からくる説得
②ドラえもん:ペット達そのものではなく、並行して抱えている案件を持ちだす。
③ククル:自分が体験した具体例を話す。
①と③は慰めている点が同じですが、体験談がある分ククルの方が強力ですね。ドラえもんは慰めてはいますが、別の大きな理由を持ちだす事で事態 (のび太が諦めない)の解決をはかっている感じ。
最終的にのび太が一旦踏ん切りをつけられたのは③だったわけですが、アレに関してはロウとククルのエピソードが完全にのび太とペガ達とダブるゆえの展開です。ククルの体験にのび太が大きく共感できたからこそ、彼は前に進むことができるようになったのですね~。よく練られてます。
●ちょっと余談
『日本誕生』においてペガ達が行方不明になった事件はクライマックス直前で解決されます。だから大して気にかけなくてもいいのですが、あえて「ペガ達はあの時どうしてたの???」を考えてみるのも一興でしょう。
とりあえず私からは2つ程、妄想案を上げてみますが。
①最初は留守番してたけど、やっぱり追いかけてた。結果、どこでもドアのショートカットによって行き違いに。
②のび太の発言どおり、置き去りにされたのがショックでどこかへ行ってしまった → 迷子になってた
……うーむ、どちらもグッとくる理由にはなりづらそうです(苦笑)。どちらかと言えば①を推したいですが、それはそれで演出したらマヌケな感じが強く、コメディ・ギャグ度が上昇してしまいます。番外編の四コマ漫画とかならセーフかな?
②については演出しようとすると尺をとってしまいそうですね。ペット達が言いつけを守らず、のび太達に愛想をつかしてしまったように見えるのもよろしくない……。
となると、やっぱり「表現されてないだけで、何かあったんですわ」と曖昧にしとくのがちょうど良いに着地しそうです。
あんまり別行動組の動きをガチガチにしてしまうと、最後の合流シーンのつじつまが合わなくなりそうですしねw 必要なところだけを映して、他はあえてカットする。
これもまた作品作りには必要な技術でしょう。
今回はここまで!
また次回、お会いしましょう。
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