⑧ミドルⅥ:ヒカリ族の村へ向かった日の出来事 その2

 前回から引き続きまして、お昼の場面に入りましょう。



●昼:富士山の近くでお昼休憩、ハンバーガーセット


 富士山も見つけたし眺めのいいところでお昼休憩しましょう、といった場面です。

 用意していたダイコンをカパッと開けると、中身はハンバーガーセット! 今更ながら原始時代でのハンバーガーセットは本来存在しない食べ物なわけで、一緒に食べたククルはさぞビックリした事でしょう(笑)。


 このシーン内では、人間がどうやって日本に引っ越してきたのか、どこからどう移動していったのかが語られます。スネ夫の気づきから始まり、ドラえもんの解説がとってもわかりやすいですね。


 のび太の「ククルは僕のおじいちゃんのおじいちゃんの――」ネタも健在。ククルに突き飛ばしツッコミを喰らってコケたのび太が「元気なおじいちゃんだなぁ~……」口にしてみんなで笑う。とっても和やかな雰囲気です。



 状況的に、この時点でククルは完全にドラえもん達を信用していると言えます。その魅せ方として「一緒に仲良く食事をする」は非常に有効な手段でありましょう。





●夕方~日暮れ前:ヒカリ族村跡に到着。そこで一夜を明かすことに


 昼食を食べ終わったら、空の旅は一気に進みます。気付いたらもう中国大陸です。

 事前調査で大まかな位置はわかっていますが、実はアレだけではヒカリ族の村跡を発見するのは難しいはずです。


 そこでククルの出番です。


 彼がプロローグ時に魚獲りをしていた川に気づいてくれたので、苦労せず村跡に到着していますね。

 黒く焼け焦げて無惨な状態になっているヒカリ族の村を見回して、憤りを顕わにする一行。ククルは悲しみの方が大きかったために膝から崩れ落ちています。


 とはいえ、コレは元々わかっていた事でもあります。

 その悲惨な状態からヒカリ族を救うために、ドラえもん達は中国大陸まで来たのですから。


「ぼくらはスタートラインについた」


 ドラえもんの台詞が中々に頼もしい。

 しかし、さすがに2000キロも移動すれば夜もすぐそこ。追跡は明日からにして今日はココで休もう、といった感じでキャンピングカプセルが設置されました(※1)。



(※1):このシーンでは特に「キャンピングカプセル~~」と取り出すいつもの演出や、道具の説明もありません。序盤でのび太が使っていたのもありますし、キャンピングカプセルは比較的よく知られた道具だから演出・説明を省略したのでしょう。

 いやー、便利そうですよねキャンピングカプセル。持ち運び簡単だし、寝床としての機能バッチリ。アウトドアには是非とも欲しい道具です。




●夜中:のび太とペガ達の交流。ペガのブラッシング+眠れないから一緒に寝る


 今回紹介する3シーンの中では一番のメインディッシュ。

 

 シーン冒頭で人数分のキャンピングカプセルが映った後、ペット達の世話をするのび太にカメラが切り替わります。

 ペットルートとしては今回はペガのターン。白いつやつや毛並をブラッシブラッシ。きっちりやり終わったのび太は自分の寝床に移動しようとするのですが、


 グリに引き止められます。服の後ろを嘴でパクッと。


 どうしたんだろうとのび太が振り向くと、ペット三匹の寂しげな声と愛嬌あふれる顔がアップで迫ってきます。みんな目がビー玉みたいにキラッキラッです(笑)。こんな表情をされたらペット好きなら一撃ノックダウンでしょう。

 ココでのび太お母さんはというと。


「……そっかッ。初めての場所だから眠れないんだね!」


 一発でペット達の心情を理解します。グッドマザー!!

 そこでのび太が選んだ行動は非常に愛情であふれており、まさかの「一緒に寝る」でした。


 キャンピングカプセルは人間用なので、ペガ達の大きさだと(多分)入らないゆえの選択(※2)です。

 その上でどうやって寝るのかなーと思いきや、


 ドラコの枕、グリの掛布団。ペガは二匹に気をつかったのか、ちょっと離れたところで寝ます。それぞれのび太との距離は違いますが、安心感は同じでしょう。超神速で眠れてしまうのび太(※3)に合わせるように、三匹もご就寝。その姿からは不安なんてどこにも感じられません。


 最後に1人と3匹の様子を上から見守っていたドラえもんの姿が。


 もう完全に保護者っていうか「うんうん、のび太くんは優しいな~」「いいお母さんだな~」と言いたげな表情! 特に台詞があったりはしませんが、しっかりペット大臣&お母さんとして過ごしているのび太の成長を嬉しく思っているのでしょう。


 そして1つずつ消えていくカプセルの灯。

 翌日の追跡に備えて、一行は身体を休めるのでした。



(※2):旧版でタイムパトロールのタイムマシンにぎゅうぎゅう詰めになってたシーンがありましたが、アレを知っているとやろうと思えばイケるのかな? なんて思ってみたり。

 だが大事なのはそこじゃない。のび太がペガ達のために一緒に寝る → 絆が深まる演出が大事なわけです。まあもしカプセル内でぎゅうぎゅう詰で寝ようとしたらギャグっぽくなるので相当印象が変わるでしょうしね(笑)。


(※3):のび太の特技の1つは睡眠です。設定によれば「0.93秒で眠りにつくことが可能」で、オリンピックの睡眠・昼寝大会でも金メダルを獲得できる世界記録レベル(もしもボックス関連のエピソードらしいです)。

 昔は「しょーもなw」と思ってましたが、今なら「けっこういい特技なのでわ!?」と感じてしまいます。多分どこでも寝れます。のび太くんスゴーイ。


 他に射撃・あやとり等がありますが『日本誕生』では出番がありませんでした。





■そういえばの話を1つ


 アニメ作品ではOP・ED曲のBGMアレンジが流れることが多くあるのですが、前回・今回と続けて紹介した1日のシーン中ではエンディングテーマの『空へ』のBGM版が流れます。

 具体的には出発時辺りからスタート。


 この『空へ』は本作のために書き下ろされた曲との事で、歌詞にはのび太の成長が表現されているようです。

 『新・日本誕生』がとても良い仕上がりに感じるのは楽曲の力も大きいのではないでしょうか。


 特に最も良いシーンに関しては曲の力が凄まじすぎて――――この辺はクライマックスの下りで解説する予定です^^




 それではまた次回! シーユーアゲイン。

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