幕間コラム:注目したい3つのサブルート

 サブルートと言いつつ、別に分岐があるわけではないんだけども(苦笑)。



 映画ドラえもんの主役はもちろんドラえもん達であり、彼らを主軸とした物語で構成されています。特に大活躍するのはドラえもんorのび太くんで、『日本誕生』ではのび太くんの活躍が特に多いと言えるでしょう。


 そんな中『新・日本誕生』では、ドラえもん達以外に3つのサブルート(この表現が正しいかはアレですが)がメインルートに絡み、深みと厚みを増しています。これらに注目すれば新たな発見と面白さに出会えるかもしれない。そう思ったので、今回の幕間コラムで紹介していきまっしょい!




●その①:ククル ルート

 最もわかりやすいのがこちら。『日本誕生』のメインゲスト・原始人の少年ククルです。

 本編開幕直後に時空乱流に呑みこまれ、ドラえもん達と出会い、ギガゾンビを知るor倒すキッカケとなるこの少年は、新版では旧版よりもとても大きな出番が与えられています。


 まだクライマックスの解説まで進んでいないため少し曖昧な表現にしますが、ククルがいなければ新版のクライマックスは成立しません! なんならギガゾンビの計画も止めらない。間違いなくMVPの一人です。そこに漕ぎつけるために、とにかくククルはのび太くんと交流を繰り返します。

 ククルが登場したシーンを並べて一連の流れをチェックすれば、「主人公達と初対面のヒロイン+協力者」ポジションのキャラがどういった順番で絆を深めているのかが大変参考になります。そんなん全部チェックしてられっかーい、という方は、


・夜の洞窟でククルとのび太が会話するシーン

・ペットが行方不明になって落ち込むのび太をククルが励ますシーン

・クライマックスにおけるククルの役割・活躍

・エンディング

 

 上記4つだけでも注目してみてください。その際には、ククル視点から周りがどう見えているかを想像できるとグッド!!

 

 その時代に生きる者の弱さと強さを感じとれる事でしょう。




●その②:ペット ルート(のび太にとっての子供視点)


 こちらはペガ・グリ・ドラコの3体を指します。


 ポジションとしては主役達の頼れる仲間。ドラえもん達が障害を前にした時、その突破を手伝う(どころかその力で障害を速攻で取っ払う)強い友達といったところでしょうか。


 ぶっちゃけてしまえば、ペット達の活躍や出番はエンディングで迎える涙の別れに向けた布石です。新旧問わず、ペット達とのお別れシーンは『日本誕生』における代表的な感動場面であり、ペガ達が活躍すればする程、主役達(主にのび太くん)と絆を深めれば深める程に共感度が増していくわけです。


 その性質を理解していれば、新版でペガ達の個性が強まったり出番が増えている変更点には非常に納得できます。

 もし新版を見直す機会があれば、彼らからすればどういった視点で物語が進んでいるのかを考えてみてもいいですね。特に中盤で行方不明になる辺りは本編中で解説されていませんから、想像し甲斐があると思います。


 ――あんまり感情移入しすぎるとエンディングで涙が止まらなくなるので要注意ですけどね(笑)。



●その③:のび太ママ ルート(お母さん視点)


 最後は出番が少ない上に登場もとびとび。しかし、のび太くんの表現や掘り下げには欠かせない現代人代表ののび太ママです。

 

 彼女が登場するのは現代のシーンのみ。それもド頭に1回、前半1回、中盤1回、エンディング1回です。のび太の幻覚はノーカウント(笑)。

 共に戦う仲間ではなく、なんだったら主役ののび太くんにプレッシャーしか与えていないようですが、のび太ママの視点で物語を追うと「子供の成長を見守ろうとする親」キャラの理解が深まります。


 個人的に、のび太ママのイメージといえば「いつものび太を叱ってる怖い母親」でした。ですが新版のママはその印象が一気に消し飛びます。

 視聴者の好き嫌いはあるでしょうが、とっても良いお母さんしてるんです! 最初からいいお父さんオーラ全開の新版のび太パパも面白いですが、のび太ママはこれまた違う味わいが出ています。


 なんだったらのび太ママのシーンだけまとめれば(『日本誕生』のストーリーを知ってるの前提ですが)、『ドラえもん』の1話、1本が成立しそうな気もしますね。そんな回があれば、きっと色んな人がのび太ママの印象を改めるんじゃないかな~と思ってみたりたりタリ。


 


 

 メインキャラ以外の視点だと、どのような物語になるのか? 

 そう考えてみると一層シナリオの理解が深まる事や良い閃きに繋がる事があります。お暇があれば試してみてはいかがでしょうか(b ̄▽ ̄)


 

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