⑥ミドルⅣ:ククルの事情 → その日の夜にあった交流

 今回は二つの場面について追っていきます。

 れっつすたーと!





●ククルがどこから来て、どんな事情を抱えているのかが開示される

 

 時空乱流の調査とペガ達の成長・活躍、オオサンショウウオの襲撃に続きましては、ククルの事情が把握されるシーンです。

 変化としては「ほんやくコンニャク」が串団子タイプになっていたり、ククルの口調が旧版より男らしく(※一人称がオレ)になってる点が挙げられます。前者は単にデザインの違いでしょうが、後者の方はそれなりにククルの印象が変わってみえます。筆者的には旧版ククルはのび太達より少し幼い感じでしが、新版は同い年かちょっと上っぽく感じました(笑)。


 ひとしきり事情を説明した後、「みんなでククルのお父さん・お母さんたちを助けに行こう」という流れになるのは同じ。そういえば、ククルと合流した日=ドラえもん達が楽園で一夜を明かした初めての日かもしれません。特段シナリオに関係する事ではないでしょうが、日帰りの家出から数日の家出にランクアーップ。


 なんだかんだで一気に色んな情報が入ってくるため、個々の印象は薄くなりがちかもしれません。ペガ、グリ、ドラコの3体にのび太、スネ夫、ジャイアンが揃って単独騎乗しているのも実はこの場面だけでしょう。とても短いですね(笑)。



●のび太とククルの交流、注目するのは笛

 

 新版において私がピックアップしたい箇所の1つです(※1)。

 「ギガゾンビが来るかもと警戒して寝ないククル&それを気遣うのび太」のシーンという意味合いでは一緒ですが、旧版よりも絆の深め方が強化されています!


 旧版では洞窟入口に座っていたククルが、新版では見張り台(?)っぽい場所に居ます。そこへ登ってくるのび太が「僕の部屋で寝ようよ」と声をかけるのですが、まだ信頼関係が薄いククルはその気遣いを断ってしまう。その態度にのび太はちょっとそっけない態度をとって引き返すのですが、羽織っていたマント(※2)を残していきます。


 そこに込められた想いを受け取り、ククルはマントを羽織って見張りを続ける。

 孤独なククルにとってそのマントがどれだけあたたかい物だったのかを想像してみれば、中々に味のあるシーンですね^^


 最後はおまけ程度。のび太が自室の天井が人の顔に見えてビビっちゃうところでシーンが閉じられます(※3)。

 


(※1):このシーンで初めてククルが首から提げている笛の音が聴けます。この笛がなんなのか解説されるのはなんぼか先ですが、実はこの時点での笛の音がさりげなーく大きな意味を持たせてると思われます。

 場面内の視点移動として、最初はペガ達が映る → 笛に反応するペガ → ペガの視線の先=音が鳴る場所にはククルが――といった流れになっていまして、「なぜ最初にペガ達を映したのか?」に注目してみるとコレが面白い! この面白さに気づくには、クライマックス直前に加わった大きな変更点と繋げてみる必要があります。

 視聴済みの方ならアハ体験出来たでしょうか?



(※2):のび太は冷暖房完備のエアコンスーツを着ていますから、マントを羽織る必要がありません。よって、「最初からククルに渡すつもりだった」と想像できます。現代の服に身を包んだのび太達が寒がる気温なのにククルは半裸みたいなものですから「寒くないように」という気遣いではなかろうか、と。 

 のび太くん優しい!



(※3):多分シミュラクラ現象というヤツ。作中では特に説明されませんが、のび太の心の内にはギガゾンビに対する未知の恐怖があったのでしょう。普通に考えれば村一つ焼き払う連中の親玉ですからね、多少怖く考えてしまってもおかしくはないです。






 次回は中国大陸へ出発する朝 ~ ヒカリ族の村跡に到着するまで、

 を予定しています。

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