旧版について まとめ
ここまでは旧版『日本誕生』の各フェイズやシーンについて書いてきました。少しでも楽しく、あるいは参考になるような点があれば幸いです。
本作は歴代ドラえもん映画の中でも最高レベルの観客動員数を誇り、その記録が抜かれたのはなんと『のび太の宝島』(2018)だというのだから驚き!
私の記憶にある限り、最もテレビで放送されていた映画ドラえもんだったのはそういう理由もあったかもしれません。
それだけ『日本誕生』は多くの人達に楽しんで貰えた傑作だったのでしょう
。
ならば、その物語は十分すぎる程にシナリオ作成の参考になるはずです。子供向けだからといって決してナメちゃいけません。子供を楽しませるのは大人よりも大変な時がある。
「この映画は面白かった?」
そう聞いた時に「つまんない!」と火の玉ストレートな感想が返せるのが子供ですからね(笑)。
――少し長い前フリになりましたが。
ここからは私なりに『日本誕生』の面白い点、そしてツッコミたい点についてまとめていきましょう。
●面白いところ
私が本作で最も面白いと感じる場面は「ドラえもん達が原始時代で楽園を作るところ全般」です。作中においては最も平和で楽しそうなシーンであり、衣食住を充実させていく子供達が描かれているのが魅力的!
本来必要な手間や時間をとっぱらい、ただただ楽しい面だけを体験していく。まるで夏休みの旅行のような素晴らしさがあふれています。
“家出”とは本来あまり良い意味では使われません。
それを楽しい事に転化した『日本誕生』は、マイナス要素をプラスに変えた良い例でしょう。のび太くん達よりも随分年上になってしまった今でも、私はあの光景をうらやましく思います。さすが夢を叶えてくれるドラえもんです。
続けて『日本誕生』の構成について。
全体的に出来が良いのは勿論なのですが、各エピソードの区切りがハッキリしているのがスゴイ!
私は今回のエッセイにあたって本編をいくつかの区分に分けました。ただ、実はそんな事をしなくても分けられているんだよな~とひしひし感じた次第です。
本編の区切り。
それはドラえもん達が概ね原始時代へ行く時に始まりがあり、現代へ戻る時に終わりがあります。大きな枠組みとしては「ククルの魚獲り ~ ペガ達とのお別れ」になりますが、コレを過去へ行く&現代へ戻るで区切ると、いい感じに3~4部構成になります。
コレは意図してそう作られているのでしょう。
おそらく主人公達が現代へ戻る場面で区切っていくと、それだけで30分アニメが3~4本分納まる状態になると思われます。その30分の1つ1つに起承転結があるはずです。うーん、そこまで考えて作れるものなのかと唸るばかり(苦笑)。
他の映画ドラえもんもこうなっているのでしょうか。ちょっと思い出してみると、作中で時代や舞台を行き来するタイプの作品はいくつかあった気がしますので大体そうなっていそうな予感。
すごいよドラえもん。その辺が人気の秘訣に繋がってるのかもしれません。
●ツッコミたいところ
ココからはあえて意地悪くツッコんでいきましょう。
いきなりですが問いかけます。旧版『日本誕生』を観たあなたは、『日本誕生』を評価するとしたら何点をつけますか?(100点が最高)
私は85~90点ぐらいです。
その理由は、主にミドル終盤からエンディングにかけてにあります。
特に大きな点として挙げたいのが「ドラえもん達が自分たちの手で勝利したように見えない」ところですね。
クライマックス辺りでドラえもんがギガゾンビに負けてしまいます。
そもそも主役が負けるというのがけっこう残念に感じる展開ではあるのですが、この後の逆転劇に繋げるための布石と考えれば問題ない。ただ、その後にのび太くん&ペガ達が助けに来るまでは良いとしても……再戦に臨むのではなくその場から逃げちゃうんですよね^^;
ちょおまっ、そこは全員の力で立ち向かっていくんじゃないのかーーーい!? って感じです。
しかもその後はギガゾンビの手によって逃げ道を塞がれお手上げ状態になります。コレは勝ち負けで判断するならしっかり負けてしまっていますね。
タイムパトロールが来てくれなかったどうなっていたかは容易く想像できます。さらに言うなら、あの展開ではギガゾンビを倒したのはドラえもん達ではなくタイムパトロールになっています! ずっと頑張ってきたドラえもん達がサポート役になり、美味しいところはタイムパトロールが横取りした―――は言い過ぎですが、そう感じる面がある。
タイムパトロールを登場させるなら、ドラえもん達がギガゾンビに勝利してからの方が良いでしょう。
もしそうなっていたのなら、昔の私は『日本誕生』の終盤が「なんか面白くない……?」と感じなかった……かもしれません。
細かく見ていくと他にもあります。
・時空乱流が発生したのはギガゾンビの亜空間破壊装置とやらのせいだが、その辺の印象が非常に薄い(装置本体が出てこないから)。その結果、ククルとギガゾンビと時空乱流の関係性が希薄に感じる。
・トコヤミの宮へ着いて以降、ゲストキャラクターたるククルの出番が超少ない。少し役割多めなだけのモブと化している。
・ドラえもんが「手も足も出ない」と諦めるのがカッコ悪い(苦笑)。
・ペガ達とお別れするシーンで、のび太が自分で別れを決断できていない。タイムパトロール(大人)にただ従っているように見える。
等々。
なんでかわかりませんが、私の不満点の大半が物語終盤に集中しています。
一応フォローしますとこれらの不満点で『日本誕生』の面白さが根本的に覆ったりはしません。あくまで少し気になるというか「ちょっと残念なポイント」って感じです。
惜しいなぁ……ほんとに惜しい……。
●だがしかし、『新・日本誕生』が生まれたのである
後日からUPし始める本エッセイの新版編。『新・日本誕生』の話をするにあって、先出しで言いたい事があります。
あの作品は、私がわずかながらに感じていた不満をほぼ完全に解消しております!!
それどころか大変細かいところにまで手が入っており、文句のつけどころがゼロに近い。個人的な作品の好き嫌いを抜いて考えれば、映画ドラえもんにおける最高傑作の1つ。100点満点の評価で、限界突破の150~200点を叩きだす勢いです(笑)。
※ちなみに同ランクには『のび太の宝島』があります。「ほんとにこれはドラえもんか?w」と感じるストーリーでした。
その辺もあって『新・日本誕生』の記事に関しては「旧版からどこがどう変化したのか」を追っていく形が多くなる予定です。細かく見ていくと無数にあるんですが(台詞の言いだしっぺが違うとか)……そこはまあ書けるとこだけ書くって事でひとつ。
旧版と新版。
両方観ている人だとより楽しめる。知らなくても多少なりとも理解できる。
そんな内容を目指しつつ、今度は『新・日本誕生』へ 本エッセイはシフトしていきます。
多分旧版で書いた分と同程度の文量になると思われますが……どうぞお好きなペースで読んでみてくださいw
それではまた次回お会いしましょう!
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