⑮クライマックス:ドラえもん達を助けに行く のび太とペット達 → 絶体絶命!?

 場面が切り替わった先は のび太が雪山で気絶している場面。

 謎の喋るマンモスのスープで生き延びたのび太が目を覚ますと、目の前にはスープの器と不思議な小箱。


「アレは夢じゃなかったんだ!」


 とはいえ元気にはなったものの迷子なのは変わりません。

 友達の名前を呼びながらトボトボ歩くぐらいしか出来ない……。そんな時、上空から翼を持つ三つの影がのび太にかかります。


 この世界に翼を持つ幻想生物なんて、あの3匹しかいません。


「ペガ! グリ! ドラコ!!」

「みんなどこ行ってたんだ、心配したよー!」


 のび太は涙を流しながらペガ達と再会して(※1)、早くドラえもん達と合流しようとします。


 ――――その合流の手助けになったのは「のび太の答案」!

 明らかに原始時代にあるまじき物を発見したのび太達は、そのまま近くにあった洞穴が目に入るのでした。



(※1):ここにきてペガ達が再登場。道具も何もないのび太にとって心強い味方です。彼らの強さと能力は視聴者も知っていますから「ペガ達がいるならドラえもん達を助けられるかも!」と希望が見え始める事にも繋がりうる、感動的な再会シーンですね。

 ところで何故ペガ達はのび太に合流できたのでしょうか?? コレについてはククルのしてくれた「ロウと帰巣本能」が補強する形になります。もしククルがのび太を励ます場面がなければ、終盤におけるペガ達の合流は感動よりも先に強い違和感を与えてしまうでしょう。




●ドラえもん、皆、助けに来たよ!!


 次の場面はトコヤミの宮内部。

 捕まったドラえもん達が儀式の生贄※2にされてしまうシーンです。


 何やら怪しげな儀式をしているギガゾンビ&クラヤミ族。その〆はドラえもん達に対してサーベルタイガーをけしかける事でした。


(悲痛そうな声で)「ドラえもん!?」

(諦め顔で)「……あいつには手も足も出ない」(※3)

 

 怯えるしかない一行に向かって凶暴な獣が放たれます。

 万事休す!


 しかし、そこで聴こえてきたのは皆がよく知る少年の声でした。

 ペガ・グリ・ドラコの3匹と共に、のび太が儀式の間に颯爽登場します!


「のび太くん!!」


「出口はこっちだ!」


 サーベルタイガーをドラコの威嚇でビビらせ、一行は出口の方へ一目散。


 突然現れたのび太&ペットに不意をつかれたギガゾンビでしたが、すぐに対処に入って彼らの後をツチダマに追わせます。自分自身は秘密の部屋に移動して何かする気満々です。


 ここから少しの間、2つの視点が交互に切り替わります。


・ペガ達に乗って逃げるドラえもん一行 ← 追いかけるツチダマ

・秘密の部屋で何かしようとするギガゾンビ



(※2):闇の精霊に捧げる生贄となってますがそれはクラヤミ族原始人に対する建前で、要は逆らった者・邪魔者に対する見せしめの意味合いが強そうですね。別段ギガゾンビが「お前ら食っちゃるぞー!」って訳でもなさそう。


(※3):あのドラえもんから衝撃的な敗北宣言が!? よほどひみつ道具が効かなかったのがショックだったのでしょうか……。皆の頼れるドラえもんがそんな状態ではしずか・ジャイアン・スネ夫が絶望するのも仕方ない。個人的にはたくさんある映画ドラえもんの中でも「ええーーー!?」(ステラスタンプ)となるシーンですね。




●崩れる逃走経路・憐れなツチダマ


 岩に囲まれた道を逃げるドラえもん達とツチダマがチェイス中、ギガゾンビが機械要素たっぷりの部屋でモニターをチェックすると、ドラえもん一行に合わせて光点が動いています。

 位置を確認しつつタイミングよく(たくさんのボタンの内1つを)ポチッー!


 ドラえもん達の目の前で落盤が起こり、逃げ道が塞がれてしまいます。

 ほくそ笑むツチダマ。衝撃波の構え。


 だがしかし、ドラえもんは事前調査でツチダマの弱点を看破済み!


「お前にはコレだ!」


 ひみつ道具「瞬間接着銃」。

 銃の形をしたソレから大量の超強力接着剤が発射されます。コレにはツチダマも動けない!

 “バラバラになっても直る”なら「身動きを封じてしまえばいい」。対処法が上手くキマってツチダマが実質無力化されます。


 それを見たギガゾンビさん。

 余裕綽々で残酷な行動に出ます。


 さらにポチッー。


 そのスイッチによって、引きかえそうとしたドラえもん達の前にさらなる落盤が発生。


「ウ、ウワッ、ウワワワワァ!?」


 慌てて後退するドラえもん達と違って、地面に接着されたツチダマは落盤に埋もれてしまいジ・エンド。

 ちょっと憐れな最期でした。


→ ギガゾンビの部下を切り捨てるなんて余裕でやっちゃう残酷さ表現


 

 さてさて、一方ドラえもん達は怪我こそしてませんが閉じ込められて大ピンチ。

 せっかくのび太が救出してくれたのに、今度は地底深くで身動き取れない状況になってしまいました。


 ギガゾンビはさぞかし愉快な事でしょう。

 これで邪魔者はいなくなり、完全勝利は間近なのだから。




●重なるピンチ。このままどうしようもないのか――いや、まだ使ってない物があった!


 取り出した明かりだけが照らす地下通路。

 ドラえもん達は ほとほと困り果ててしまいます。落盤はどかせそうになく、進む道も戻る道もない。こういう時はひみつ道具の出番なのですが。


「そうだ、とおりぬけフープは?」

「……さっき使っちゃった」

「ええー!?」


 のび太の閃きも残念ながら使用済み。

 他に何かないかと探しはするものの、出てくるのは役に立たない物ばかり。


 このまま死ぬまで暗い地の底にいるしかないのか。

 絶望に涙が出てきます。


「ごめん皆……ボクが誘わなければ」


 原始時代に行けばいいなんて言わなければ……。のび太がそう呟いた時、彼はある物を思い出します。

 それは謎のマンモスに渡された小箱でした。


 小箱を開けると中にはスイッチ。

 用途はわからないものの、のび太がそのスイッチを押すと――――。


 ピピーッ、ピピーッ、ピピーッ (※あるいは、トゥットゥッー)



 なにやらうるさい音が箱から鳴りはじめます。



 その音を察知したのは、雪原を歩いていたあの謎の喋るマンモス。

 小箱の音を察知して“彼”が現わした正体は、



 内定調査のためにマンモスに扮していた“タイムパトロール”だったのです!!(※4)





(※4):時間犯罪者がいるなら、それを取り締まる未来の警察もいます。それがタイムパトロール。

 ドラえもんでは度々登場する彼らはドラえもん達にとっては最強の味方。彼らの基本的な物語中の能力と役割は「クライマックス時に悪を敗北させる」でしょうかね(笑)。

 終盤でタイムパトロールが登場したならもう安心。逆に序盤~中盤で登場した場合は、警戒すべき相手を取り逃す時もあったりします(例:『のび太の創生日記』) 

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