⑪ミドルⅨ:ヒカリ族、日本へ行く → ククルが一緒にいた狼の話 → 祝いの宴

 ドラえもん達の案内で楽園日本に到着したヒカリ族。早速彼らは新たな村を建設します。

 石斧で木材を調達して枠組みを作ったり、刈った草を束ねた物で外側を覆ったりと大忙し。いつものメンバーもそれぞれお手伝いをしている光景が描写されます(※1)。


 けれど、どこにものび太の姿だけがない。

 ソレに気づいたククルが一旦作業から離れてのび太を探しに行くのですが、のび太が居たのはペガ達が生まれた川のほとりでした。ペガ達を見つけられなかったショックから立ち直れず、孤独に落ち込んでいる彼の横に座るククル。


 先日の拠点前で不安になっていた時とは立場が逆になっているようですね。

 のび太が落ち込んでる原因を理解しているククルは、ひとつ昔話をします。昔の自分と共にいた一匹の狼“ロウ”の話です。


「獲物がいなくなったから皆で旅に出た。ロウも一緒に」

「可愛いやつだったよ」


「ある時、皆で鹿の群れを追いたてた。大騒ぎだったよ」

「その時にロウがいなくなった」


「でも、後になってボクの下に帰って来たんだよ!」

「だからのび太さんのところにもきっと」


 動物には帰巣本能があるためどれだけ離れていても戻って来れる力がある。自身の体験談を伝える事でククルはのび太を元気づけます。これにはのび太もすっかり元気を取り戻したようです!


 このククル&のび太の交流シーンは、ヒロインからヒーローに対するある種の恩返しとも取れます。不安になっていたククルを気にかけて声をかけたのび太 → 落ち込んでいるのび太を励ますククル。同じ子供同士でありおそらくは遠い遠いご先祖様と子孫による二人だけの会話は、心温まるエピソードとして盛り込まれたものでしょう。



(※1):すごいノスタルジックな歌が流れつつみんなで村を作り上げている場面ですが、ひみつ道具は一切使っていません。あくまで7万年前の道具と技術を使う人の手のみで行われています。この辺は新版ではフォローが入っていますが、旧版でもそれとなく理由を察することはできそうです。

 個人的にはドラえもんが木材を頭の上で跳ねさせながら運んでるのがツボ(笑)。



●めでたい日の宴


 全員で大きな火を囲んで宴が催されるシーンです。

 クラヤミ族から解放され、安全な新天地での暮らしが始まる。平和と安寧の祈りもセットで行なわれ、新天地の豊かな恵みを皆で味わっていますね。


 この宴の場面は旧版『日本誕生』にしかありません。新版では別の場面に尺を割くためにカットしたのでしょうが、コレはコレで旧版ならではの特別なシーンですね。

 野牛の姿焼きやフルーツの盛り合わせが出てきたり、お皿は平らな石の上に大きな葉っぱが乗ってたり。時代考証が行なわれた結果がああゆう演出に繋がったのでしょう。宴を盛り上げる歌い手や踊り子も登場しますが、お酒は無いとかね。

 その歌に反応してジャイアンリサイタルが開始された時は大参事待ったなしでしたが(笑)。ドラえもんが花火を打ち上げる事でどうにかスルーさせたようです。ヒカリ族からすれば見たこともない美しい術として認識されたようですが、急いで準備したドラえもんはやれやれ……とちょっと疲れた感じ。


 

 そんなこんなで、ちびっとトラブルはあったものの。

 楽しそうな宴で時間が過ぎていき――。


 拠点の洞窟に戻ったヒーロー達が、どこか哀しそうな顔でテーブルを囲んでいるシーンが映るのでした。



 


 

 今回はここまで~。

 また次回。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る