⑧ミドルⅥ:いざ中国大陸へ!!
中国大陸へ向かう日、早朝。
ククルが一人で故郷へ帰ろうとします。最初に気づいたと思われるしずかが引き止めますが、その歩みは止まらない。続けてのび太以外の全員が登場して、ジャイアンがククルを問い詰めます。
「まだオレ達が信用できないっていうのかよ!」
それに対してククルはこう返す。
「違う。キミ達はイイ人だ」
決してドラえもん達が信用できないわけではない。
しかし、これから向かう先にいるのは凶暴なクラヤミ族と精霊王ギガゾンビ。どんな危険が待っているかわからない。そんな場所にキミ達を連れていくなんて……。ククルが一人で行こうとしたのは一行を思い遣ってのものであります。
ククルがそう判断するのは至って当然です。
彼は「ひみつ道具」を大して知りませんし、協力を申し出てくれたのは同年代の少年少女達。クラヤミ族はどれだけ少なくとも数十人以上はいる大人です。子供達に勝ち目がないのは明白。
と、おそらくそこまでの思考を理解したのでしょう。
ドラえもんがタケコプターをククルに渡して、空を飛ばせます。
現代人でもそんな現象が起きたら驚天動地ですから、原始人のククルはなおさら驚きます。そして着地したククルに対してドラえもんは「今のは風の精霊に頼んだ」的な説明をする。
科学を知らないククルに対しては、精霊の力と言った方が伝わりやすいという判断でしょう。
その意図に真っ先に気づいたのはスネ夫です。彼がドラえもんの後押しをすると、仲間達もそれに続きます。ついでに思いつきで「ドラゾンビ」なんて名付けちゃってますね(笑)。
この一連の流れによってククルはドラえもん達の凄さ・強さを理解※1。単独で行くのを止めて、共に向かう路線に変わりましたとさ。めでたしめでたし。
(※1):描写としては平伏しているので、不思議な力を使う者に対しての畏敬が見てとれます。この瞬間からドラえもんはククル達から呪術師ドラゾンビ様と敬われるようになるので格上の存在となったのでしょう。ドラえもんイズGOD!
■ペガ達に乗って、中国大陸へ向かう一行
寝坊したらしきのび太を起こして、朝食を食べ終えた一行は中国へ向かいます。
ペガ・グリ・ドラコの三匹に二人ずつまたがり、2000キロ離れた目的地までの空の旅。(※2)
この道中では、
①のび太がペガ達の疲れを心配する(海が続くと思っているため) → 7万年前の日本と中国は地続きなので大丈夫とわかる
②畑のレストランで作ったダイコン(ハンバーガーセット)を食べながら休憩する一幕
③スネ夫の発言を皮切りに、どうして日本に人類が来れたのかの説明
大き目のポイントとしては以上3つのミニイベントが発生します。
①と③は原始のお勉強みたいになってますね(笑)。『日本誕生』は原始時代の人類について楽しく学ぶには非常によい教材にもなるでしょうから、そういう点を無理なく物語に馴染ませていたのかもしれません。
②については、ククルと交流するシーン(※3)であり、ククルのキャラ性を掘り下げるシーンでもあります。ハンバーガーを美味しいと評するククルですが、「でも、昨日のこんにゃくの方が…」と言っています。ククルは素朴な味が好きという新たな設定が明かされ、一部の視聴者は親近感を覚えたのではないでしょうか。
道中ではトラブルもなく、一行はククルの故郷へ到着します。
魚を獲った川。襲撃で焼けた村。
ククルは自分の家があった場所で膝から崩れ落ちてしまいます(※わかりやすい悲しみの表現)が、のび太達に励まされた彼の表情には明るさが戻っているようですね。
そして予測どおり夜がきてしまったので人数分の「キャンピングカプセル」でご就寝。
およそ2000キロの空中散歩は終わりを告げ、明日に待っているであろうクラヤミ族との戦いに備えたところでシーン終了です。
今回はここまで。
次からはクラヤミ族と中ボス:ツチダマとの戦いが始まります。
(※2):人によっては「なんで『どこでもドア』使わんの?」と思ったでしょうか。このシーンでは「どこでもドア」はもちろん「タケコプター」も使っていない+理由の説明が行なわれていません。どうせならペガ達に乗っていこうとのび太達が考えた線もなくはない。
ただひみつ道具の設定に詳しい人なら「そりゃそうだ」と答えそうです。「どこでもドア」は自由自在に移動できる道具ではありますが、内蔵されている地図に乗っていない場所では使えません。7万年前の正確な地図はさすがになく、衛星写真では精度が低いから使いたくても使えないのでしょう。
一方タケコプターはペガ達の移動性能に大きく劣ると思われます。速度と持久力ついでに人数、本来最大の強みであるはずの「飛行」も優秀なペット達は全員が備えています。あとは絵的に良い、という理由もありそうです(笑)。旧版では大きくピックアップされませんが、実はペガ達ってとんでもなく強い味方なのですよ。
(※3):休憩している時に「ククルはボクのおじいちゃんのおじいちゃんの――」とのび太が繰り返す場面があります。気の遠くなる話ではありますが実は何も間違っていないというお話で、このやり取りによってククルとのび太達の距離はさらに縮まります。さらに、事実上のご先祖様と認識する事で赤の他人からご先祖様にランクアップ! ますます助けなくちゃいけない理由が強化されます。
完全にIFの話ですが、もしククルがのび太達と出会わなかったら? ヒカリ族がクラヤミ族に全滅させられていたら? ギガゾンビの企みとは別の意味で、のび太達の存在は消えてしまったかもしれませんね。
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