⑦ミドルⅤ:水面近くを走るジャイアン、スネ夫、あとワニ → ククルの素性が明らかになる
次のシーンでは、近くの川で水遊びをするジャイアンとスネ夫が映し出されます。楽しそうにしてますが、調査には飽きてしまったんでしょうかね?(笑)
そこへゆっくりと近づくワニ。
間一髪その襲撃を察知したものの、ジャイアン達は武器を持っていなかったため急いで逃げる事しかできません。
川に沿って行って帰ってくる2人と1匹。
初めて原始時代に到着した際のサイに引き続いて中々のピンチです。
あの時とは違ってドラえもんはいません。ならばどうするのかといえば、駆けつけてくれた強い味方がワニを追い払ってしまいます(※1)。
強い味方の正体は、ペガ、グリ、ドラコの3匹。余裕さえ感じられる状態で「大丈夫~~?」と声をかけるペット大臣のび太に対して二人はかなり感謝したのではないでしょうか。
(※1):このワニを追っ払う下りですが、かなりコミカルに演出されています。個人的に大好きなシーンの1つです。
ジャイアンとスネ夫が追いかけられている際は走って逃げているようですが、ワニがドラコに踏まれた際には川がかなり深かった事が判明します(ツッコミどころ)。直後に「どこのどいつだ邪魔しやがって」と言わんばかりに水面から顔を出すワニでしたが、さすがにワニの遺伝子が入った竜のドラコの前では形無し。今度は自分が水面ダッシュをすることになってます(笑)。
●一いちイベントと情報収集を終え、ククルの素性がようやく明かされる
ドラえもんの時空乱流調査の完了。
ククルの目覚め。
強いペット達の頼もしさ等。
今後のために必要な一連のイベントが終了したため、ドラえもん達は住居に集まります。
ククルの故郷の位置はドラえもんが詳しく解説してくれますが、この辺は「ククルの故郷は現代から7万年前の中国」(つまり時代は今で、場所はとても遠い)とだけ視聴者に伝わればOK(※2)。
続けて言葉の通じないククルに「ほんやくコンニャク」を食べてもらって、ようやく会話が成立するようになります。時空乱流に吸い込まれたという予想が合っているのか、ククルはどういう事情を抱えているのかの答え合わせパートです。
コンニャクを食べたククルは言葉がわかるようになった事に驚きつつも、自身の知っている情報をドラえもん達に伝えます。
メタ的には視聴者にもククルの紹介がされますね。「不幸にも時空流離に吸い込まれた原始時代の子」で「夢では悪そうな原始人に襲われていた」という情報が更に正確な情報へと更新されていくわけです。
【情報】
・謎の少年の正体は、ヒカリ族のククル
・突然現れた時空乱流に吸い込まれて、のび太達と出会った
・ヒカリ族は、クラヤミ族という別の部族に狙われていた。さらにクラヤミ族のバックには「不死身の精霊王ギガゾンビ」を名乗る恐ろしい存在がいる〈New〉。
さあ、ココにきて黒幕とおぼしき人物の情報が開示されました。
クラヤミ族だけでも中々凶悪そうですが、その背後にいるギガゾンビに至ってはビジュアル・登場演出がインパクト抜群!(※3) こいつがボスじゃなきゃ何がボスか(笑)。
『日本誕生』に至るまでに何度も大冒険を繰り返してきたドラえもん達です(※4)。そんな原始時代の怪しい呪術師まじないしなんかを恐れはしない。
ククルを友達として見始めた彼らは、ククルを故郷に返す+クラヤミ族に襲われたヒカリ族を救うために、力を貸すことを決意します。
――まあ、いざとなったらドラえもんの「ひみつ道具」があるからね。なんとかなるだろう。
キャラも視聴者もそう考える流れですが、ククルだけがのび太達の優しさに感謝しながらも不安を感じずにはいられなかったようです。
その心情は、夜になっても眠れないククルとして演出されています。
合わせてククルとのび太が初めてちゃんとした交流をするシーンでもありますね。友好的な関係性の構築+絆を強くする意味合いがあります。
しかし、翌日になると。
1人で楽園を出て行こうとするククルの姿があったりするわけで――――。
今回はここまでにしましょう。
また次回。
(※2):北緯31度7分、東経118度2分の場所とドラえもんが言ってますが、それでどこだか正確にわかる人は大人でも早々いないでしょう(笑)。というわけで中国大陸・和県ホーシェンの辺りと改めて説明されます。視聴者たる我々は(現代なら)スマホで調べれば一発ですが、放映当時にそんなものはなく……。
もしかしたら子供に「ほーしぇんってどこにあるの?」なんて訊かれて困った親もいたでしょうかね(苦笑)。
(※3):『日本誕生』のボス・ギガゾンビ! なんでギガゾンビなんて仰々しい名前やねんとツッコミたくなりますが雷のような音とククルの気合入った呼び声。そして直後に「ギガー!」「ギガー!」「ギガーーーー!!」と鳴く(かけ声)が響きます。ああ、ギガって鳴くゾンビだからギガゾンビなん? メガゾンビとかテラゾンビもいるのかなー……なんて考えた人は――まあそんなにいないかw
命名理由に関しては私もわかりません。でもインパクトはすごいし、強そうではありますね。
(※4):あまりハッキリさせなくてもいいのですが、ドラえもん達は歴代映画版の話をすべて乗り越えてきていると考えれば相当な大冒険家です。ちなみに『日本誕生』は10作目。
それに、いざとなれば「ひみつ道具」があるのですから、小学5年生の4人+1体の未来ロボットが悪い原始人と呪術師に負けるはずもない。そう考えるのはまったくおかしくないでしょう。それとは別に、見ず知らずのククルと友達になったからには助けてあげたい気持ちが芽生えている表現でもあります。
映画ドラえもんにおける一行は、友達のために巨悪と戦うことができる。強くて優しい&かっこいいヒーローなのです。
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