④ミドルⅡ:原始時代に僕らの楽園を作った!
日常パート・オブ・原始時代とでもいいましょうか。
ココからは怒涛の夢を叶えるモードに突入するのですが、一気に色んなイベントが発生するので制作側からすれば忙しかったかもしれませんね。視聴者にとっては基本的にシリアス抜きで楽しめるとても面白い箇所になります。
色々イベントが起きているため、今回は箇条書きで並べてみましょう。
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・原始時代に到着する。普段着ではとても寒い。
・ちょっと離れてる間に、ジャイアンとスネ夫が“サイ”に襲われる
・原始生活セットの登場
・「ここから僕の土地~~~~」(道具の柄で線を引きはじめる)
・拠点に良さげな立地を発見。ジャイアン建設大臣
・お花を咲かせるために育てる環境庁長官しずか
・スネ夫、農林大臣になる
・ペット大臣のび太、閃く
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以上。多少細かくピックアップしただけでこの項目の多さです(苦笑)。
これらが視聴者に何を伝えたいのか。いっちょギュッとまとめてみましょう。
①原始時代の脅威とその対策
②生活するために必要な衣食住の確保
③今後に備えた伏線の配置。ペガ・グリ・ドラコの意味
続けて、上で箇条書きにした項目と合わせて①~③を掘り下げてみます。
▼その①:原始時代の脅威とその対策
原始時代に到着早々、寒そうにするのび太くん。
7万年前の日本は氷河期だから寒いとドラえもんが説明すると、「寒いパラダイスなんてやだぜー」とジャイアンがごもっともな感想を口にします(笑)。
→ 情報:7万年前の原始時代は寒い!
次に、しずかが楽園に関する希望を述べている間に(※1)少女趣味に反対なジャイアン&スネ夫が立派なサイに遭遇。追いかけ回されます。幸いドラえもんのひみつ道具で事なきを得ましたが、そのままだと大怪我では済まなかったかもしれません。
→ 情報:猛獣の脅威
(※1):旧版ではさりげなくココで「ペガサス」の名が出てきます。のび太の閃きに影響を与えた可能性と小さな伏線の意味合いがありそうです。
ジャイアン達を助けたあと、ドラえもんが改めて原始時代の脅威を説明します。
何種類もの猛獣を挙げるのは子供達でも知っている猛獣が1体でも出てきた方が、その恐ろしさが伝わりやすいからでしょうか。どいつもこいつも人間にとっては強敵です。襲われればひとたまりもない程に強い。
目指した楽園は「寒くて」「猛獣がいっぱい」。一体全体どこら辺が家出先としてふさわしいのか(笑)。自由な土地メリットがあるにしても割に合わない感じです。
こういう時こそ あらゆる障害を解決する超万能アイテム「ひみつ道具」の出番でしょう!
ドラえもんが取り出したるは「原始生活セット」。原始人の服にしか見えないエアコンスーツは、大抵の環境に対応できる冷暖房完備。石槍ビジュアルのショックスティックは、ボタンを押せば象を気絶させる電撃を放てます。
こうして、気温と猛獣という難点をひみつ道具は一瞬で解決してしまいした(笑)。
さすがドラえもん。
→ 前提となる大きな障害2種の排除+衣の確保
▼その②:生活するために必要な衣食住の確保
何故か印象に残っている「ここから僕の土地~~~」は、「人間とは自然と自分の土地を主張し始めるもの」なんて示唆かもしれません(勝手な予想)。無限に広がる土地に対して道具の柄で線を引く辺り発想は小学生っぽい(笑)。
それはさておき、原始生活セットの恩恵で生活に必要とされる衣食住の内「衣」が確保されました。
少なくともコレで暑さや寒さとは無縁です。
残る「食」「住」は、5人が手分けして確保していく形になります。
といっても実際には2人で事足りている。
・ジャイアン → 住める洞窟を作る
・スネ夫 → 食べられる物を作る
残りの3人は何をしてるかというと、ドラえもんは監督・指示役として皆を見回っていましたね。おそらく最も能力が高いのもそうですが、ひみつ道具を取り出す&説明できるのは彼だけなので、ふさわしい役割と言えます。
→残りの食・住が確保される
しずかとのび太に関しては、衣食住の先にあるもの。生活環境の充実を行なっています。
のび太ペット大臣は作中でも非常に重要な要素となるペット。ペガ、グリ、ドラコ、の3体を生み出すわけですが、そもそもはドラえもんが「他に誰もいないのは寂しいから」といった理由でのび太に頼んだのが始まりです。
制作側の視点から見てみれば、ただのペットじゃ面白くないからどうせなら空想生物にしよう! そんな思いつきがあったと予測できますね。
そうなると しずかのお花畑に関しては色んな意味で優先度が低いとも取れます。伏線でもなく、衣食住にダイレクトな影響もありません。もしかしたら食用や薬用なんて想像もできますが、そういった説明も無し。言うなれば嗜好品の類いでありましょう。
そんなこんなで、ミドル②では「僕らの楽園を作ろう」=「衣食住の生活環境を整えよう」に基づいた大きな動きがありました。
お見事なのは、小難しい説明をほとんどせずに子供でも理解できる上に楽しく描かれている点です。楽園を生み出す彼らには苦労している様子は全くなく、みんな気分上々で楽しそうに作業をしています。
すべてはひみつ道具があってこそ。最もネックになりそうな作業時間に関しても、作中の描写を見る限りでは1日も経っていません(笑)。なんなら1日どころか昼から開始して夕ご飯を食べるまでに終えています。超高速!
あえて端折った要素ではありますが、この楽園創造フェイズは前後半に分かれており、間には「ククルの現状」が挟まれます。これは同じ風景を映し続けると飽きやすい+ゲストキャラを忘れさせないための仕組みだと思われます。あとは場面を区切って時間経過を感じさせるための演出とかね。
放映当時、画面の前にいた子供達は、さぞ愉快な気持ちで一行の作業風景を眺めていた事でしょう。
一緒に観ていた大人も「いいなぁ」と強く感じたかもしれません。
本来ならリスクが高すぎる「家出」も、『ドラえもん』にかかれば旅行も同然。
苦しい事態が続いている令和の世であれば、『日本誕生』のこのシーンは放映当時よりもさらに強い共感を視聴者に与えてくれるかもしれませんね。
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