第3話 走る影と
「ラスト一周!気ぃ抜くな!頑張れ!」
「はいっ!」
タッタッタッ。私は軽やかに走る。足の速さには自信がある。だから今ここで練習してる。
足が速い、その自信だけで入った陸上部。
勉強は無理だけど、自分の個性が活かせるところがここだと思ったから。自分が楽しむだけのためにここに入ったと言ってもカゴンではない。
このカゴンの字も思い出せないくらい頭脳は発達してないけど、逆に身体能力は発達してて走るのが好き。
そんなことを考えるうちにもう校庭一周走り終えた。
「咲綾ナイスっ!やっぱり咲綾は足が速すぎ!」
「サンキュ!
ゴールしてから、親友の藍が飛びついてきた。
藍は私とは幼稚園の頃からの付き合いだから、十年くらい親友。まあ今はクラスが違うけどね。足の速さも同じくらいで、陸上部ではライバルなんだ。
ふと私の教室を見ると、またまた親友の郁乃が絵を描いていた。
郁乃は中学生になってからの友達。私と違っておとなしくて、頭もいい。郁乃は美術部に所属している。だから教室で絵を描いている。
こっちを見てくれるかはわからないが、試しに手を振ってみる。
あ、気づいてくれた!
郁乃もこっちに手を振っている。
「ん?咲綾、誰に手を振ってるの?」
「親友の郁乃!あ、分かる?美術部に所属してる中原郁乃って人」
「ああ〜!中原さんね!」
藍も知っていたらしい。
藍は郁乃とは同じクラスになったことはないから名字しか覚えてなかったっぽいけど。
「ささっ、咲綾、一緒に走ろ!」
「うん!負けないぞ〜っ!」
「こっちこそ!」
私達はまだ中2だけど、なんか、今は青春って感じがする!
少し赤く染まってきた校庭に二人、追い抜いたり抜かれたりして走る二人の影が、長くうしろに伸びていた。
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