すれ違い

1.卵です。

  レタスさんに相談しました。

  食パンさんのことは諦めることにしますって。

  ハムちゃんのことが好きみたいだからって。

  レタスさん、とても驚いた顔をしてました。

  汗までかきながら、色々と聞いてきました。

  私が食パンさんのこと諦めるって言った時は少し嬉しそうでした。

  でも、ハムちゃんのことが好きみたいだからって言ったら悲しそうでした。

  もしかしてハムちゃんのこと好きだったんでしょうか。

  急いで食パンさんのところに行ってしまいました。

  これからどうしたらいいんだろうって思ってました。

  そんな私の目の前に、あの人は現れたんです。

  食パンさんにそっくりな人です。

  挟まれ心地も同じ。

  私を見て嬉しそうにしてくれます。

  好きになってしまいました。




2.ハムよ。

  あたしの好きな人、卵ちゃんとも仲が良いみたい。

  この前卵ちゃんが泣きながら話してたもの。

  多分卵ちゃん、食パンのこと相談してたんじゃないかな。

  やっぱり可哀そうだよね。

  卵ちゃんを泣かせるなんて食パン最低。

  私の好きな人、もう言っちゃお、レタス君なんだけどね。

  レタス君、卵ちゃんの話聞いてる途中で驚いた顔して食パンの方に行ったの。

  きっと卵ちゃんを泣かせたこと怒ってるのよね。

  そういう優しいところも大好き。

  とか思ってたら、卵ちゃんの前に食パンがいるじゃないの。

  あいつ、卵ちゃんにあんなことしといて今更何するつもり?!

  でも何だか雰囲気が違うような……。

  卵ちゃんも幸せそうな顔してるし……。

  いいのかな?あれで。

  



3.食パンだよ。

  卵ちゃんの姿見なくなったなと思ってたんだ。

  ちょうどその時だよ。

  レタス君がすごいスピードで僕のところに来たのは。

  焦った様子で、ハムちゃんのことが好きなのかって聞かれた。

  僕は、好きか嫌いかで言ったら好きだよって答えた。

  そしたら泣きそうな顔するんだ。

  よく見たらいっぱい汗かいてるし、急いで僕のところに来たのが分かった。

  やっぱりレタス君、ハムちゃんのことが好きだったんだね。

  だから僕言ったんだ。

  ハムちゃんのことは好きだけど、友達としてだよ?って。

  レタス君、ほんとか?って言って喜んでた。

  それはそれは嬉しそうだったよ。

  恋愛が実るのって見てて楽しいよね。

  こっちも幸せな気持ちになれるから。




4.レタスだ。

  卵ちゃんの話を聞いていてもたってもいられなくなって直接聞きに来た。

  好きなのは好きだけど、友達としてなんだってさ。

  良かった、まだ俺にもチャンスはあるみたいだ。

  食パンも何だか嬉しそうな顔してた。

  これはワンチャンあるんじゃないか?

  あ、あと、卵ちゃんを置いてきてしまったから戻ったらさ。

  なんと食パンと話してるんだよ。

  びっくりしたぜ。

  でもあの食パンは食パンだけど食パンじゃない。

  説明しにくいんだけど、俺が好きな食パンじゃないってことだ。

  卵ちゃんも幸せそうだし、これで良かったんじゃないか?

  食パンなら誰でも良かったのかよ、とは思うけどな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る