それぞれの恋

1.卵です。

  大大大ニュースですっっ!!

  きききっ昨日っ!しょ、食パンさんが話しかけて来たんです!!

  それもすんごくそろ~っと……。

  ……あれ?私やっぱり嫌われてるんでしょうか…。

  で、でも!でも!

  話し方はすんごく優しかったです!

  幸せだったなぁ~。

  あ、でもそういえば1つ気になることがあったんです。

  食パンさんが、私の匂いをクンクン嗅いでたんですよ!

  私、変な匂いするんでしょうか……?

  嫌われたくないよぉ。




2.ハムよ。

  今日すっごい気持ち悪いことがあったの。

  食パンくん、いや食パンのやつがさ……。

  あたしの匂いをクンクン嗅いできたんだよっ!

  それだけならあたしも気持ち悪いなくらいですむのにさ。

  あいつ、何て言ったと思う?!

  『ハムちゃんって、何も匂いしないんだね』

  はぁ?!って感じだよほんとに!

  あたしからどんな匂いがすると思ってたのさ!

  いい匂いが嗅ぎたいなら卵ちゃんのところ行けばいいのに。

  卵ちゃんっていい匂いがするんだ。

  優しくて暖かい、いい匂いなんだこれが。




3.食パンだよ。

  昨日、卵ちゃんと話したんだ。

  ずーっと僕のこと見て黄色くなってた。

  そんなに僕が嫌いなのかな?

  それは置いといて。

  この前レタスくんと話した時に、良いこと聞いたんだ。

  卵ちゃんってすっごくいい匂いするんだって。

  思わずすぐに嗅ぎに行っちゃった。

  ほんとにいい匂いで驚いたよ!

  ところで今日ハムちゃんと話したんだけど、

  卵ちゃんみたいにいい匂いするのかなって思って匂ってみたんだ。

  そしたらどんな匂いがしたと思う?

  ……無臭。

  びっくりするくらい何の匂いもしなかったんだ。

  それからちょっと相談なんだけど……。

  前から感じてた視線が強くなってる気がする。




4.レタスだ。

  卵ちゃんが相談してきたんだけどさ。

  その内容が納得できなくて。

  『食パンさんが怖い』って言うんだぜ?

  あの食パンが?

  怖い?

  卵ちゃんには悪いけど、それだけは同意できない。

  でも一つ気付いたことがある。

  卵ちゃんってすんごいいい匂いするんだ。

  で、それを食パンに教えたんだ!

  卵ちゃんのおかげで食パンと話すきっかけが出来たよ!

  卵ちゃん、感謝。

  話した後すぐ卵ちゃんの匂い嗅ぎに行ったらしい。

  めっちゃいい匂いだったってさ。

  教えてくれてありがとうって言われちったよ。

  まいっちまうよなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る