20
九時の鐘がなり、教官たちが
全員の目がそちらに向かう。
「集合!」
シュワルツの大声が、場内に
今日も半そでにハーフパンツ。
筋肉をもりあげながら、おおきな箱をかかえ、ゆかにそっと置いた。
「おはよう、諸君。校内魔術大会がやってきた。『校内』と名がついているが、毎年、
くすんだ金髪の男子生徒が手をあげる。
友人にこづかれ、にやにやとくちをひらく。
「知りませーん!」
ぎゃはは、と笑い声をあげる生徒に、
シュワルツは、いつもどおりに笑ってうなずいた。
「そういう生徒もいようかと、俺がわかりやすいボードをつくってきた!」
シュワルツが
「まずは大会の
そして
「
シュワルツは
つぎの説明ボードがあらわれ、ロイの右後ろのチームが感嘆する。Sクラスの生徒だ。
説明ボードには、人と
「つぎにカウンターの説明だ。身につけると、からだに
シュワルツは高らかにわらい、
つぎのボードには、あくしゅをするふたりの人間が描かれている。
ロイの真後ろのチームが、
「
シュワルツは、足元の箱から、ひとつとりだす。
ふとい
「これがカウンター。
シュワルツは、緑色にひかる部分をゆびさす。
「ポイント数は、つけている者にしか見えない。だがこの色は
そしてまたひとしきりわらうと、箱に手をおいた。
「よーし! ひとり一個、とりにこい」
ダッシュをきめたのは、Sクラスの面々だ。
カウンターを手にすると、すばやく数人であつまり、
「これが
「なぜ色がかわる。そもそもポイントの
「この
「くそ。カバーはひらくが、基盤が外れない」
カウンターがいきわたり、シュワルツは声を張る。
「全員、カウンターを
ロイは左腕にカウンターを通す。
上腕のあたりで、カチリと音がしてロックされた。
固い素材だとおもったが、当たりはやわらかく、うごきは
緑色の基盤を透かせば、「5」と浮かんだ。
「よろしいですか」
メガネをかけた女子生徒が手をあげた。
マスタード色のショートヘアは鳥の巣のよう、ロイは記憶のなかから彼女を名をさぐる――メアリ・サンドだ。
「なんだ」
「
シュワルツはメアリの言いたいことがわからず、首をかしげる。
「腕につけないと、
「失格でも、17時0分までは返却の義務はありませんね」
「あ、ああ」
「ではそれで」
ぽかんとするシュワルツに、メガネをかけた男子生徒が手をあげる。
「僕も失格でかまわないので、カウンター
「そ、そもそも!
「君はまだそんなことを言っているのかい? おととし王立魔術研究所が発表した
みかねたケネスは、魔術オタクの集団にむかう。
「本件は
「お言葉ですがケネス教官。本件の
「評価者は私だ」
「教官に納得いただける
「そういう意味ではない」
ケネスの周囲に、生徒がむらがる。
「教官! 『任意によるポイント譲渡可』という、任意の定義についてどうお考えでしょうか」
「条件づけで発動される転移魔術は、
「ケネス教官! あなたは毎年、カウンターを見ているのでしょう!」
生徒たちにとりかこまれ、ケネスはあごをあげる。
「ふん……それほどまでに魔術バカとは。しかたない。開始まで、特別講義だ」
わあっと生徒たちに歓声があがる。
ガラス張りの天井から、かれらを祝福するように、光が差しこんだ。
「……では参加者組は、説明をつづけるぞー!」
シュワルツはケネスたちに背をむけ、いつもどおりに笑う。
そのきりかえのはやさに、ロイは感心した。
「ここにリュックがある。中身は四人分の水と
ルークが長い足をのんびりうごかしたので、ロイはまかせる。
カウンターのぼんやりひかる緑が気になり、透明なカバーをめくる。
さきほど誰かが言っていたように、
「なにやってるの」
オニールの問いに、ロイは顔をあげる。
「とれないかなって。交換できたら、戦術が増えるだろ」
もどってきたルークは、リュックを手に苦笑する。
「難しいんじゃないかな。このカウンター、裏をかけないように、年々改良されているらしいよ」
「
かんがえこんでいると、シュワルツの声が聞こえた。
「チームで手をつなぎ、転移魔術陣の上へ。孤島のどこかに到着するが、手をはなすとはぐれるから気をつけろ!」
顔をあげると、それぞれの教官のまえで、転移魔術陣が光をはなっていた。
「Sクラスはケネス教官の魔術陣だ。いこう、ロイ」
ルークがうながす。
となりのアンジェリカとオニールも、ロイをみてうなずいた。
ふとロイは思う。
このチームで優勝をつかむ。ならば、できることはやるべきだ。
「手をつなぐより、おたがいの手首をつかもう。だれかがいなくならないように」
ロイの提案に、三人はうなずく。
男女交互に手首をつかみ、片眉をあげるケネスの魔術陣に入る。
そして
「いくぞー!」
『おー!!』
魔術陣が発光し、視界と
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