ばちばちな心情
「ねぇ何で浅野連れてくるかなぁ?!」
本日の被害者である
「その…ごめんね?」
「俺この前睨まれて怖かったんだって!」
肩を揺すっている海の目は涙目である。
私はチラリと問題の
スマホを弄っている目は別に不機嫌になっていることは無くむしろ機嫌が良さそうだ。
「私挟んで歩いていいから帰るよ。今機嫌良さそうだし、海の事睨みはしないと思うから、睨んできても私が守ってあげるから!」
ここで海に情けないとか格好が悪いを言うつもりは無い。
仕方の無いことだと思う。
優しいから人に対して悪口とか言わないし、いつも通りの対応して私が真顔になったりしたら、ちょっと泣きそうな顔して「お、怒ってる?」って聞いてくる。
そんな可愛い野郎なんです。
「ちょっと三人でお茶してかない?」
「却下コンビニでお茶買うなら賛成」
「えーちょっとくらい良いじゃんかー」
「あのね私は来月来るゲームのイベントのために課金するの?分かる?私の推しが出るの!そのためにはねコンビニに行って買う飲み物でさえ血涙流すレベルの物なの!」
「じゃあ俺の奢り…」
「結構!」
浅野が言う前に私は遮った。
人に物を奢らせるのは絶対に嫌だ。
「公園の水飲むので問題ない!」
「紅井…」
いつも通りの憐れむような目を海は向ける。
彼は私が推しのイベントが来る度に私がこういう生活をしているのを見ている。
時々差し入れと称して彼は手作りのおにぎりやお弁当をお昼休みにくれる。
「なんで画面の向こうの人のためにそういうことするの?」
「お前…それは禁句…!」
私は海が止める前に浅野を睨みつけた。
掴みかかろうとした時にピコンと通知が鳴った。
私は舌打ちを打って通知内容を見た。
そして頭の中が真っ白になった。
「あー!ヤバい!イベント!じゃあまた明日!」
そうイベント開始の通知がきたのである。
私は靴紐を結び直して髪の毛を適当に束ねた。
そして全速力で家に向かうために足を動かした。
☆
あいつなんなのー?!と俺は心の中で叫んだ。
紅井お前正気か?俺と浅野置いてきぼりにして…?
でもあそこで通知が来たのはナイスタイミングだと思った。
このままだとバーサーカー紅井になってスッキリするまで怒っていただろうから助かった。
「なぁ、南野くん?だっけ?」
「あってるけど、」
浅野に言いたいことがあるとするなら一つだけだ…睨まないで胃が痛い。
「紅井ちゃんとどういう関係なの?本人から聞きたいけど、なんで俺と関わる度に体調悪くなるの?」
「…ただの友達だよ」
それ以上でもそれ以外でもない。
ただの友達だ。
「お前を見ると具合悪くなるのは…言わない」
「は?なんで?」
「俺の口から言う事じゃないから、それはお前が分かってるだろ」
言ったら俺がアイツに何されるか…まず卍固めから始まって…考えると頭が痛くなる。
「別に良いじゃんそんな事で」
「…お前は紅井の何を知って好意持ってんだよ。お前に尻尾振らないから振らせたいだけなら…アイツは絶対にお前にそういう感情持たないよ」
勢いで言ってしまったが…俺死ぬ?終わる?
俺は本能的に逃げるかのように急ぎ足でその場を後にした。
愛せ平穏!潰せ危険分子!(?!) 赤猫 @akaneko3779
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