第5話
苛立たしい学生どもだ。おまえらの死んだような顔は、不潔すぎて、吐き気がする。学生どもに向かって、おれは唾を吐いてやった。お前たちは、おれにとって耐えがたい存在だ。貧乏臭くて、耐えられねぇ。おまえたちに足りないものは、何て言うのかなあ、破壊の意志だ。甘い夢だ。暗い、暗い、パリの街のような夢だ。酒に溺れた作家の男と、男なら誰でもいいわよ、って女の恋の物語だ。分かるか?お前ら。男は、第一次世界大戦で負傷したんだ。みんな、みんな、死んじまった。人間なんて、簡単に壊れちまうんだぜ、豆腐みたいにな。目玉が飛び出し、血液は飛び散る。破壊の讃歌、生命の消費。作家はアル中になっちまった。そんな光景を見せられたらなあ、しかたねえよな、そこへ、街いちばんの美女、男から男へと渡り歩く美女が現れたってわけだ、夜の闇、夜の霧のようなジャズが、二人を包んだ。生きることの肯定?そんな貧乏臭い話じゃないぜ、もっともっと、深いものだよ、おまえたちに分かるか?そんな感覚が。おまえたちは、おれには耐えがたい、汚ならしい存在だ。おまえたちに足りねぇのは、作家と女を包み込んだものだ、なんだか分かるか?破壊だよ。
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