第2話

冬の舗道を歩く。小枝がひっそりと落ちている。おれは穏やかな日々が欲しい。涙を流すことを忘れた人々よ、資本主義の毒の汚染を

受け入れるのか。その毒は、価値の蓄積を奪ってゆく。そうして、刺激が、我が物顔でのし歩く。おれは穏やかな日々が欲しい。


武力とカネの力に抵抗せよ。


おれは運慶のように、言葉を刻む。ゆるやかな曲線を刻む。死んじまった詩人が、言葉には可能性があり、なおかつ価値があると言っていた。言葉があるからこそ、おれのこころ

は軟体動物のように、生き生きと舞踊を始めることができる。そして、小枝の落ちた風景から、おれは、鎌倉武士のような勇ましさで、駆け抜けてゆくこともできるのだ。


遠い、遠い、城を目指すような気分だ。おれは懐かしさが欲しいだけなのに。水筒を失った兵士のように、喉が渇き、こころまでも乾いてゆく。疎外された存在よ。おれのこころよ。城を目指す途中、宿で疑われるように、おれ自身も、おれ自身の存在も、何かによって疑われる。生きる資格は、お前にはあったかな?小綺麗な顔をした、若いエコノミストから、おれは問われるに違いない。


おれは、突破したい


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