魔法使いのクソビッチ達と俺はどうやら恋仲と勘違いされている!?

有栖川 黎

プロローグ:朝香襟の帰朝 

 朝香襟…彼女は朝帰りした。

 帰朝と言うべきか、とりあえず時刻は朝なのである。

 年頃と言うこともあり、如何わしい想像力だけは豊かなのである。

 確かに、如何わしい想像は状況的に合ってるかもしれないが、失礼に当たるのでこの辺にしておこう。


「おかえり、ずいぶん早い時間帯だな」


「ただいま…まぁいいじゃない少年」


 彼女は僕に熱い抱擁を交わした。


 外国から数年ぶりに帰国したと言うこともあって驚くほどあか抜けているように感じる。


 ひょっとすると関係ないかもしれない。


 僅かに一歳、年齢が上である自称魔法使いの朝香襟。


 僕は襟のことをエリーと親しみを込めて呼んでいる。


 エリーからは強烈な香水の甘く石鹸の様な香りが纏わりついていて「私はここにいます」とアピールをしている様にすら感じてしまう。


 実は僕が住んでいるこの学生自治寮にはあと6人外国へ行ってから行方知らずになっている者がいる。


「修行で素晴らしい魔法が使えるようになったから見てもらえる?」


「どんな魔法?」


「パチュ」


 これは恋の魔法なのか、僕はエリーに口付けされてしまった。

 そもそも、これは魔法なのか疑問が残るし動揺している自分がいる。


「できた!」


「えっ何が?」


 よく見ると僕の身体は宙に浮いていて無重力空間にいるかのように体を自由自在に動かすことができた。


「うわぁ凄い…でも何故口づけを…」


「何故ってキスしないと魔法使えないから」


「え~不便すぎるだろ」


「いいの、毎日使う訳じゃないし…でもこのことは内緒にしてね」


「分かったよ」


 エリーの帰朝は僕にとっては刺激の強すぎるトップノートだった。


 こんなところを誰かに見られて勘違いされていないと良いなと感じるがラストノートは微かに匂い始めている様に感じた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法使いのクソビッチ達と俺はどうやら恋仲と勘違いされている!? 有栖川 黎 @Asaka_ray

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ