第8話 優奈は司を想う-2
気が狂いそうになった。
自分が大嫌いな男は嫌と言っても図太くやってきて、自分がどうしても会いたい男は自分から遠ざかる。
一日も彼のことを忘れたことはない。
年をとって、ますます色気を放つようになった自分に近づく男たちを見ていると、司のとのギャップがあり過ぎて司の事がますます好きになっていった。
小学校からの親友である奈々が合コンに行かないかと誘ってきた。
最初は断ったが、奈々が送ってきた参加する男性たちの写真を見て鳥肌がたった。
加工されて、解像度の低いプロ画だったけど、見た瞬間自分の女としての本能が反応した。
でも、写真だけだと分からない。
確かめないと。
そう思って、合コンに参加したら、
そこには
自分を救ってくれた男がいた。
逃したくない。
絶対逃したくない。
ずっと彼を閉じ込めたい。
永遠に。
彼と再会した瞬間抱いた感情だ。
「ああ……昨日の司……いい……」
そう。
再会した彼は、想像以上だった。
『……そ、その……俺は、ずっとそばにいてくれる人がいいかな……』
ずっと司と一緒にいたい。大学は違うけど、アインでやりとりをしたり、デートしたり、同居したりして、彼のそばにいたい。
「……」
これまでの男たちが自分にしようとしたこと。
それは快楽を得ると同時に子供を作るための行為でもある。
気持ち悪い。
本当に吐き気がする。
男が自分の体に触るだけでも気色悪いのに、さらにあの犯罪者DNAを私の大事なところに?
そんなことは一生あり得ない。
もし、そんなことが起きて自分の処女が失われたら、自分は死ぬ。
でも、
でもでも……
その男が司なら。
「あっ……」
他の男のことを考えていたことで怒りが込み上げたが、司を思い出すだけでも、怒りは未知の興奮へと姿を変える。
もし、司が自分の体に触れたら?
「……」
そして、
『優奈、俺の子を産め』
『そ、それは』
『うめ。お前に拒否権はない』
『そんな……』
『望んでいるくせに』
『……ひゃい……私は司様の子供が欲しいです』
「っ!!!!」
司のDNAが自分の体に入ってくる。
そして彼のDNAと自分のDNAが絡まり合って新たな命が自分のお腹に宿る。
彼に支配されながら自分は孕む。
支配されたい。
彼に依存したい。
彼の全てが知りたい。
『私は、私を守ってくれる人がだーいすき』
普段、あまり感情を面に出さない自分だが、あの時の自分は欲望を丸出しにしていた。
だが、彼は自分の予想を遥かに上回る男だった。
自分は密かに彼の方から来てほしいと思っていた。
女としてのプライドのせいだろうか。
今考えたら本当に馬鹿みたい。
だが、
『本当に……来てよかった。嬉しかったよ』
そう言って、また何も連絡先も教えずに去ろうしたのだ。
あの時は理性を失いそうになった。
心が張り裂けそうに痛かった。
また司に会えないと考えると、死んだ方がマシだと思った。
なので、優奈は適当に言い訳を言って、そのまま抜け出した。
そして点となった彼の後ろ姿を追いかけた。
今まで散々男たちに追いかけられた自分が今度は逆に男を追いかけて行く。
彼を離さない。
優奈は連絡交換する時はとても不安だった。
この男が自分の電話番号やアインアカウントをブロックしたらどうしよう。
自分がこれまで散々男たちにやってきたことをそのまま司にされるのではなかろうか。
不安でしかなかった。
自分は司とずっと繋がりたいのに、彼がそれを拒んだら……
それは辛い。
ああ、
繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい繋がりたい
依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい依存したい
「熱い……」
布団の中に熱がこもりすぎて、優奈は布団を蹴る。
すると、彼女のフェロモンがあっという間にこの部屋に広がる。
まるで、今すぐにでも赤ちゃんを作る準備ができたと知らせるように、優奈の匂いは強烈だった。
「ああ……」
彼女はもどかしそうに色っぽくため息をついて、ベッドの隣にいるサイドテーブルに視線を送る。
そこには
スタンガンがおいてある。
このスタンガンのおかげで、どれだけの脅威から守られたことか。
これさえあれば、ガタイのいい男も簡単に倒すことができる。
「ん……司のもの……」
そう言って、優奈はそのスタンガンを握る。
そして、横になった状態で、スタンガンを、寝巻きを着ている自分の胸の中に入れて挟み込んだ。
横になっているが、元々爆のつく乳の持ち主であるため、そのスタンガンは
巨大なマシュマロによって完全に埋まってしまった。
「司……ああ……やばいっ」
こんな感じで10分ほどが過ぎると、彼女はベッドから降りて、スタンガンを戻したのち、部屋を出る。
すると、広いリビングでルンルン気分で朝の準備をしている美女がいる。
長い黒髪、彫刻のように美しい顔。男心を刺激するメリハリのある体。
ジンズを履いていて、白いtシャツを着ているだけなのに、それすらも彼女の美を見事に引き立てている。
美女は振り返って笑顔を向けてきた。
「優奈ちゃん、おはよう」
「お姉ちゃん……おはよう」
すでに色褪せた瞳ととろけ切った顔、そしてブルブル震える身体を見て姉(桐生楓、芸名:柊楓)が妖艶な表情をする。
「あら、今日の優奈ちゃん、とっても綺麗よ」
楓は手を自分の頬に当てて微笑んだ。
テレビからは、育児番組が流れている。
『オギャー!!オギャー!!』
『あら、どうしたの?』
『オギャー!!』
『お母さんが抱きしめてあげる。だから落ち着いて』
『オギャー……オギ……ん……』
『お母さんにいっぱい甘えてね。ふふ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます