歳時記

 インフルエンザが身の回りで流行っている。みなさんも、気をつけてお過ごしくださいね。


 僕の高校は中学生と高校生は別のフロアに分かれているのだが、日本史を受けるときには中学棟に行かなくてはならないのだ。普段生活をしていると、用事がないと行くことはない中学棟。日本史勢の特権だなと思いつつ、走り回っている中学生を避けながらも、毎回楽しんでいるのだ。高3エリアにいつもいるので、中1エリアの騒がしさは際立っている。なにも、悪いことではない。みんなそのうち気づくのだ。こんなにはしゃいでも、何の意味もない、と。僕も多分その過程をどこかで経ているのだろうが、忘れた。何にせよ、何も考えず叫び、走り回っていることは当人たちにとって楽しいのならそれでいいのだ。僕の同級生が、殴り返していたのは少しいただけない。そういうものなのだ。


 僕の高校には、どの学年にもラウンジといった休憩場がある。中学棟にのみ、本棚が置かれているのは羨ましいかな。まあ、中学生なんて人格形成に置いては大事な時期なのだろうから、たくさん読めばいい。そんなこといいだしたらね、僕だって中高をもう少し有意義に過ごしたかった、とか溢れてくる思いはいっぱいあるけれど。そのときどきで、自分がいいと思った選択をしているから、今はこうなのだ。


 その本棚の4分の1くらいを、歳時記が占めていた。高1のとき、好きだった古典の先生が俳句部の顧問だったということもあって、僕はその書物の存在くらいは知っていたが、今日始めて手に取った。春夏秋冬とあって、本当に分厚かったな。僕は一番好きな季節でもある冬を読んでいた。いろいろと美しい言葉も見つけたのさ。たとえばね、「露凝る」とか「冬銀河」とか「虎落笛」とか「夜神楽」とか。一目では何が言いたいのかさっぱりだったけどね。意味を知る楽しさは、各自で味わってくださいということで。


 


 

 8月の君の誕生日

 半袖と長袖のシャツをプレゼントしたのは


 から始まる歌を知っているかな。冬についての歌なのに、”8月”から始まるという。


 

 もうひとつ。


 山里は 冬ぞさびしさ まさりける

            ひとめもくさも 枯れぬと思へば

                        (源宗于朝臣)


 百人一首って、冬の歌が少ないんですね。秋ばっかり。 

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