彼誰

 朝起きると、長袖を着てから一階に降りて、朝食をとるというのが習慣になった。日付を見てみると、もう10月で寒いのも道理だなあと思いつつも、もう少し半袖でがんばろうかなとかと考えつつ、今日も夜の時間を過ごしている。


 クラスマッチが近づいているというのもあって、最近は、16時から18時くらいの間はみんだでソフトボールの練習をしていることが多い。ちょうど日の入りの時間と重なっているのだ。ソフトボールをしていると、西日とか夕日というのは邪魔でしかない。捕球が難しくなるからだ。実際、邪魔だなと思う。その中で、今まさに沈もうとしているくらいの時間に、いっそう太陽が輝くのだ。


 「今日はこれで終わり。みんながんばった。また明日。」


 太陽は好きなことだけを言って沈んでいった。邪魔だった夕日も、沈んでみるとすぐに辺りは真っ暗となる。そうなると自然に解散の時間だ。太陽の死に際の応援を受けて、30分くらいしたらみな自然と解散し、自室に戻っていく。



 秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行く とて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて雁などの つらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。日入りはてて、風の音、虫の 音など、はたいふべきにあらず。                 『枕草子』(清少納言著)


 平安時代の方と感性が同じというのは嬉しいことだ。僕が彼らの血を受け継いでいるのなら当然というのかもしれないけれど。


 僕は四季の中では今くらいがちょうどいいと思う。一番は、と聞かれたら冬と答える。冬になるために、今は準備しているのだ。少しずつ寒くなっている。登校を半袖にするのを、難しくする。毛布ではなくて、布団を使うようにする。香りがね、夏のアスファルトとか湿気の匂いではなくて、だんだん乾いてくるのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る