9.泡沫
このごろ、自分の生活についてよく考える。考えない人はいないというのは当たり前のことだ。そして感じることには、人というものは自身が思っているよりも何者にもなれるということだ。誰もが望めば、望む姿になれるのであれば苦労はしない。もちろん、望むだけではなにも起こらない。「願えば叶う」みたいな言葉があるが到底納得はできない。その言葉には、あくまで中途の段階が省略されすぎている。しかも、そこがいちばん大事なのに、だ。最初にいったとおり、人間というのは何者にもなれるし、わかりやすくいくと何者にもなれた、のだ。そして、当時に「なれなかった」人間もいれば、なれた人間もいる。泡沫の希望を、ようやっと捕まえてね。
僕がとある小説から学んだことで、何回か書いてきたことがある。「運命というものは存在せず、すべては各々の選択が重なってできたのが、今の結果である。」というものだ。完全に運命と思えることも、それは積み重ねの結果に過ぎないのだ。これを初めて見たとき、僕はどのように思ったのだろうか。自分の決断で、自分を100%形つくることができるのだから、嬉しいと感じたのだろうか。それとも、最初から神様が決めてくれていたほうが気楽でいいや、そう感じたのだろうか。覚えてはいない。僕は2年前くらいに高校受験をしたのだが、これが前日の夜は結構不安だったのだ。私立だから別に落ちても人生が狂うわけではない。それで友達に寝る前に電話をかけてみると、「受かるかどうかはもう決まっている」と。「君が明日がんばっても、失敗しても結果は神様がもう決めているのだから悩まずにいけ」と言われたのだ。最初から僕が落ちる方になっていた場合はどうやって責任をとってくれるんだろうねと当時は思ったものだが笑。たしかに、そう考えると幾分気楽に受験を終えることができた。ただ、今から大学受験に対してその考え方を持つのは危険すぎるような気もする。そうやってもう、神頼みしかできないのは前日だけでいい。自信というものは積み重ねてきたものに裏付けられるだろうから。
身の回りには「泡沫」が常に漂っている。無視していいものもあれば、無視したらいけないのもあるし、無視しない方がいいものだってある。なにか、捕まえられればいいと思うけれど。
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