第19章 ケルキラ『新』要塞攻略⑵
第109話 ボス部屋の前まで
「ひょっとしてメアリー、それで今日、私に着いてきたんですか?」
メアリーさんはにやりと笑う。
「もし競合相手が奥義書を取ったんなら、こっちも作戦を進めないとまずいだろ。その辺を確認するってのは確かに理由の一つさ。
ただよく考えたらそんな可能性は無かったかもな。チャージャーとかカマロとかだったら逃げるどころかその場でアピールするだろうしさ。大体あいつら学業的にはアホの子だから正攻法で満点賞なんて無理だしな」
チャージャーとかカマロってのは、メアリーさんと同じように
ただサイトを見たのは2人とも情報収集時に見た1回だけ。
何というか大した事が無いのにやたら騒ぐ感じで、見ていて疲れたから。
アホの子というのはなんとなくわかる気がする。
「それだけではないでしょう、きっと。メアリーはわりとお節介ですから」
「それはどうかな。それにミヤさんが興味深いというのは事実だよ。
それはそうともうすぐ分岐だ。今回は上と下、どっちに行くんだい?」
新要塞も旧要塞と同様ボスは2体いる。
地下2階にいるのがエキンムという名の魔法を使う悪霊。
地上5階にいるアフカルは戦斧使いのグール系上位種。
難易度は旧要塞のリッチーやスケルトンジェネラルと同程度とされている。
「まずは上の予定です。今使っている斧ほどではないけれど、それなりに強力な斧を落とす事があるそうですから」
私が一番使いやすい武器は戦斧だ。
しかし斧、どうやら
例えば剣士や槍術士はいるのに斧使いという職業はないとか。
普通の武器屋では斧はあまり扱っていないとか。
それでも私の体格や戦闘スタイルの場合、剣より重く一撃が強力な斧の方が使いやすい。
だからカリーナちゃんと話して、斧を手に入れられる可能性があるアフカルを優先する事にした訳だ。
「斧優先ってのはカレンの影響かい、やっぱり」
「わかりますか?」
カレンさんは今は斧を使っていないと聞いている。
だから斧からカレンさんを連想できるのは、昔のカレンさんを知っている人だけだろう。
「
やはりその頃のカレンさんを知っていたか。
さて、ラッキー君とサラちゃんが先で立ち止まって待っている。
見ると少し広いホールになっているようだ。
行ってみると階段、そして左右にそれぞれ通路が続いていた。
「ここは上でいい?」
「ええ、5階まで上がって下さい。階段を上るとアルグルが3体扉を護っています。その扉の中がボス部屋です」
「わかった」
アルグルはグールの上位種で、鎧と長剣を装備している。
難易度的にはスケルトンナイトと同じようなものらしい。
なら念のため、ここは武器をチェンジしておこう。
ただのグレイブから神槍にバトンタッチ。
さてこの階段、5階までとなると結構長い。
こちらでは元脳筋だから楽だけれど。
10段あがって踊り場でUターンして10段上がるのを8回繰り返す。
ラッキー君とサラちゃんが最後の1段を上らずに待っていた。
上ると敵が戦闘モードになるとわかっているのだろう。
階段を上ったところは下と同じようにホールになっている。
ホールの左右に扉が有り、左の立派な扉の前に鎧を着装したグールっぽいのが3体、剣を持って立っていた。
あれがアルグルで、あの扉の中がボス部屋か。
天井が充分高く左右もそこそこ広い。
これなら武器、神槍よりこちらだな。
「それでは一気に行きます」
「わかりました」
カリーナちゃんの返答を確認して、私は斧を右後ろに構えた体勢で階段を上りきる。
動き始めたアルグル3体に向け、斧を左へと全力で振りきった。
『斧技:パワースラッシュ!』
ガラガッシャーン! 大きな音が響く。
アルグル3体がまとめて吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた音だ。
これでアルグルは倒せただろう。
しかし他にゲンエイグアナとかいると不味いので、念のために周囲全体を確認。
『奥義:面制圧突!』
壁や床に3カ所違和感を覚えた。
いるな、間違いなく。
アルグルが動かない事を確認して、そしてラッキー君へ。
「ゲンエイグアナはお願い」
ラッキー君、ダッシュ!
もうこの辺の作業は安心して見ていられる。
あっという間に3体のゲンエイグアナを倒した。
『アルグル3体、ゲンエイグアナ3体を倒した……』
うん、これでこのホールは片付いたようだ。
「メインのアルグルは一撃かい。何というか、カレン以上に力業だね」
「これが一番手っ取り早いですから。エア・スラッシュより攻撃力が高いですし、倒せなくてもまとめて端に吹っ飛ぶから処理しやすいですし」
「斧技って確か
「ミヤさんは限りなくエルフらしくないステータスでしたから。講習で
カリーナちゃんがそう解説。
「だよな。獣人とかならもう少しわかるけれど。誰にでも出来る方法じゃない。確かに効果的かつ効率的だし見ていて壮快だけれどさ」
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