第13章 コリション干潟攻略中⑵
第71話 本日の攻略はここまで
道の先30mくらいのところから、両脇にある筈の壁のような雑木や草地が途切れているように見える。
雑木林の終わりだろうか。
「これで終わりかな」
「時間的にもそうだと思います」
そこから周囲の雑木林が途切れた。
草地、そして所々に大きめの樹木が生えている。
今までと同じような小屋もあった。
「抜けたね」
「そうですね。ただあの小屋、使わない方が良さそうです」
カリーナちゃんがそう言う理由はわかる。
窓が半開きで明らかに誰かが使っている気配がするのだ。
雑木林に入る前の小屋を使いっぱなしにした連中かと思うと、あまりお近づきになりたくない。
「そこの木の辺りで休憩しようか」
「そうですね」
道から脇に逸れ、小屋から少し離れた木陰にシートを敷いて座る。
勿論ラッキー君も一緒だ。
休憩が無かったからそろそろ何かちょうだいという感じでお座りしている。
「昼が甘い物だったから、今回はフィッシュサンドにしましょうか」
「お願い」
ラッキー君と2人? でカリーナちゃんが出してくれるのを待つ。
ピタパンにフライと野菜が入ったもの、冷たいお茶という組み合わせだ。
「このフライはあの泥魚?」
「ええ。肉の色は微妙ですけれど」
既に素揚げや唐揚げを一度食べているから、ふかふかで美味しいだろうと想像はしていた。
ただ実際に食べてみるとソースが違うし、ピタパンや野菜と一緒に食べるのでまた味が違う感じになる。
美味しいのは同じだけれど。
「あとは遺跡をうろうろして敵を倒すだけだよね」
「そうです。ただ先に入っているパーティがいるなら、この辺の敵は大分少なくなっていると思います。無理して探してオブクラリスが出てくると面倒なので、今日は帰った方がいいでしょう」
視界の端にある時計表示を確認しつつ確かにそうだなと私も思う。
「時間的にもいいと思う。もう15時だし、魔石を役場の出張所に出して帰れば」
「そうですね。何ならコリシアの集落で少し買い物をしてもいいかもしれません。食料はまだ十分ありますけれど、何か変わったものがあるかもしれませんから」
「ここからなら簡単に帰れる道があるんだっけ」
「ええ」
「ならそうしようか」
美味しいものはすぐに食べ終わる。
例にによってラッキー君が追加希望という顔をしてお座りしているけれど気にしてはいけない。
奴はいくら食べても満足しないから。
立ち上がってシートをアイテムボックスに仕舞い、そして歩き出す。
雑木林からの道に戻って小屋を過ぎたところに分岐があった。
案内板が立っていて、
○ 直進方向に『チャリクナス遺跡』
○ 右方向に『コリシア(一方通行)』
と書いてある。
「やっぱり親切だよね、この世界」
「確かに案内は行き届いている気がします」
幅2m位の石畳の道を歩いていく。
赤褐色のやや乾いた砂っぽい土と草、まばらに高さ5m位の樹木、そんな感じの場所だ。
敵が出ないまま5分程度歩くと高さ3m位の岩場に出た。
岩場を階段で上った先に門のような場所が見える。
「これで出口って訳か」
「ええ。出るとコリシアの集落の外れです」
階段を上って押して開く形の扉を開ける。
確かにコリシアの集落、街壁の内側だった。
集落の中心である家が多い場所が畑の先に見える。
今入った門には『魔物出現につき立入禁止』と書かれていた。
「ここから行ければ遺跡が近いのにな」
「以前は此処を開放していたとあります。ただ遺跡荒しみたいな者が出るようになって問題となり、此処から入れないよう魔術的措置を行った。設定ではそうなっています」
「微妙に世知辛くて現実的だよね、この世界も」
まずは役場出張所で魔石を換金。
次は冒険者ギルドでスケルトンイエーガーを倒した時に回収した装備を売却。
「こういった魔物の装備って買い取ってもらえるけれど、これってどんな風に利用するんだろう」
「一度完全に分解して洗浄した後、素材として再利用するようです。
金属は修理して使えるものは修理して、それが駄目なら一度溶かしてインゴットに戻す。革は洗浄した後オイルにつけ直して乾かせばそれなりに加工しやすく使いやすい状態になる。
生産職の掲示板にそんな事が書いてありました」
なるほど、そうやってリサイクル出来る訳か。
「そういった生産職もやってみれば面白そうだよね」
「確かにそうかもしれません。ただ
前にその辺は聞いたなと思い出して、そして浮かんだ疑問を口にしてみる。
「患者系のフルタイムで入っている人って、エンジョイ系というかのんびりまったりこの世界を楽しもうという人は少ないの?」
カリーナちゃんは頷いた。
「ええ。もちろん探せばいないことはないと思いますけれど。だから生産職はほとんどが一般人のプレイヤーです。ただあまり親しくするとこちらがいつもこの世界にいるのを不審がられたりするんです。だから付き合いはほとんどありません」
そんな事を話しつつ外の通りへ。
「それじゃそこのお店から見てみましょう」
冒険者ギルドの隣の隣、入口で野菜などを売っているのが見えたお店へと入る。
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