第3話



『ーーーでは放課後生徒会室で改めて話しましょう。』



そう新實さんに締め括られとりあえずその場は解散となった。

俺のメンタルは刈谷さんの視線で既にボロボロ。力無く頷き了承した。



もちろんパスケースは返してもらえず、生徒会室への招待をスルーする事は皆無の様だ。



俺はすっかり眠気が覚めてしまったので泣く泣く教室へと戻る事にした。


それにしても新實さんの短時間でのあのリサーチ力凄すぎないか?

守られるべき個人情報が一個人にダダ漏れになっているとは、、、これが彼女の実力か!!と戦々恐々と深い溜息を吐きながら自身の席に戻りベターっと机にへばりついていると後ろの席から背中をトントンッと叩かれた。



「なんか今日戻ってくるの早くね?ん、何何?昼寝でも邪魔された??」




そう声を掛けて来たのはクラスメイトの鈴木 和すずき かずだ。

新實さんから言っていた様に一番親しい友人である。

アッシュブラウンに染めたウルフカットが似合う超絶イケメンで誰とでも仲良くなれる人気者。そんなクラスの中心人物のカズが何故平々凡々の俺と仲良くする事になったのか未だ謎である。

まぁそれは置いといて、図書室での出来事で一気に疲れが出ていた俺はその倦怠感を隠さずさっきあった事を言葉を濁して伝える事にした。




「ーーー正解。寝ようとしたらいきなり目の前に人影が現れて驚いて眠気が吹っ飛んだ。いつも人が来ないから油断しててさ、、、はぁ〜、ついてない。」



嘘は言っていない。詳細を伝えていないだけでこれは事実である。

するとカズは何かがピンッと来たらしく平手を打った。



「あっ、分かった。それカイチョだろ!

3時限目の放課ん時トイレ帰りにカイチョが話しかけて来てさー。話聞いたらハルキの落とし物拾ったから返したいって言ってたんだー。で、ついそのままハルの話で盛り上がっちゃってさぁ、気付いたら時間無くなっちゃって。

じゃあ落とし物はまた後でハル本人に返すわって言って別れたんよ。いやーすっかり忘れてたわー、へへへっ」



カイチョって生徒会長のことか、、?

ってか放課の時にそんな事があったなんて聞いてないぞ。

あぁーーーなんか情報漏洩の謎が解けそうな予感がする。

つい死んだ様な目でカズを見ながら、恐る恐る口を開く。




「ーーーちなみに俺のどんな話しをしたのでしょうか?」



つい敬語になってしまった。

するとカズは『俺偉いよ、褒めて褒めて☆』と目をキラキラさせ、頬を僅かに染め何か期待を込めたような表情でコチラを見ながら話しだす。




「俺さぁ、いかにハルが良いヤツが教えたけだんだぜ。んっ?内容を詳しく聞きたいん?

えーっと、、確かーーー

『186センチ75キロの細マッチョ(カッチョイイ☆)

親が海外出張で高校生なのに1人で暮らしててー、で成績そこそこ優シューで、だいだいなんでもできる俺の親友☆キリッ

趣味は昼寝で昼食べた後、大・親・友の俺の事ほっぽって(ぴえん。)すぐ第二図書室へ行っていつも窓際で昼寝しちゃうんだ。。。

あっ、でもでも木曜は食堂の特別メニューに命掛けてるから行かないよー。

あとーなんか知らんがクラスで目立たないようにしてる自称平均君?(ウソ、ムリムリ)で、あとーーーーーー」



「『女性関係は来る者拒まず、去る者追わず。

複数人と交際する事も多々。

相手から交際を迫られると断れないとのこと。

昨日は浮気疑惑で女性二人に詰め寄られた結果、両者に両頬を殴打された。』と。」



カズの話しに割り込んで新實さんから聞いた続きを一言一句違わず口にする。

いきなり話に割り込んだ俺を口をポカンと開けて驚いたような表情をしたカズは気を取り直したのかまた話し出す。



「おっ、そうそう!そんなん言った気がする!

朝ちょーどアヤちゃんとユミちゃんの2人がクラスの連中に昨日のハルの話ししてたからそれも最新情報ってコトで言っといたんだー☆☆へへへっ、俺親切っしょ?

ーーーあぁでもあの2人ヒドくね?

ハルは最初から『自分だけを見て欲しいと言うのであれば俺は彼氏には向かないから付き合うのはやめよう。俺は1人だけなんて選べなくて他の子も同時に好きになる節操なしだから。』ってちゃんと付き合う前に言ってるじゃん?

それなのに実際目の前でソレ見たら『浮気サイテー』ってハルの事悪く言うし。ーーー全然ハルの良さ分かってないし。

でもでも俺はハルの事分かってるし、なにより、大好きだぜ!えへっ☆」



頬を染めてハニカムように笑うカズに俺は口元が引き攣る。いや確かに俺をかばってくれるのは嬉しい。そうとても嬉しい!

いかにも親友って思ってくれてるんだなぁって感じて、こんなクズな俺に対して軽蔑せず好意を真正面から示してくれて嬉しいーーーけ・れ・ど・も!

それよりも何よりも今一番言いたい事がある。

俺は大きく息を吸い腹に力を入れーーー




「おまえか!俺の個人情報漏らしたヤツはーーー!!!」




と、クラス中の視線がコチラに向いたことにも気づかず勢いのまま叫んだのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



お気づきでしょうが


彼女Aさん=アヤちゃんさん


彼女Yさん=ユミちゃんさん



です。

2人はビンタ&グーパンから意気投合した模様。




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