第48話 日曜のランチタイムで過ごすひと時は(6)
「いえ、お役に立てたんでしょうか」
「ええ。とても興味深い内容ね」
満足そうな顔で言う滝田さんだが、こちらはそれほど大した返答をしただろうか。
それに、肝心な所が聞けていない。即ち何の為に病院へ捜査に訪れたかだ。でも、これ以上はその件を深く尋ねても返答はしてもらえないだろう。
ただ、エリナは通院していたことは間違いなさそうだ。確か家に病院のパンフレットがある。見たら何か分かるかもしれない。
「あの、日奈からは話を聞けたんでしょうか」
私はここで話題を移すことにする。秋田日奈の動向について警察は何か掴めているだろうか。
「ええ。昨日、警察署の方に秋田さん、宮前さん、本宿さんの三人に来て貰って話を聞いたわ」
「そうなんですか。結局、彼女は事件の時にどこにいたんでしょうか」
「授業が終わるのが十五時だったのよね。本宿さんはその後すぐに帰ったみたいね。十五時三十分過ぎには家に帰ってお店の手伝いをしてるのが確認されているわ」
「それは聞いてます。で、日奈達は図書室に行ったんですよね」
「ええ。でもその後移動して上の階段の踊り場にいたみたいね」
「ひな、ゆりな、まいの三人ですよね。そして、階段の踊り場っていうのは……」
「屋上の入り口前。二見エリナさんが出入りした場所ね」
「彼女たちはエリナの姿を見てないんでしょうか」
「見てないそうよ。そして十六時三十分前までいたそうね。だから彼女達の言葉を信じるなら二見さんが屋上に上がったのはそれ以降ということになるわね」
「信じるならという事は嘘を言っている可能性もあるという事ですか」
「んー。どうかしらね。今の所彼女達の証言に矛盾はない様に見える。確かその後、宮前しょう子さんは家政科室で料理に参加したという事も確認んされているしね」
「ああ、そうでしたね」
しょう子は日奈達と一緒に降りたところを香に捕まった。そしてその後エリナが家政科室にやって来た。という事は少なくともその間まで屋上で何らかのトラブルがあったということはないという事か。
「で、結局ひな達は結局どこで何をしていたんでしょうか」
「一応、学校敷地内にいたそうよ」
「え? そうなんですか?」
「ただ、旧校舎の方にいたみたいね」
「旧校舎にいた?」
この学校は普通に私達が使う授業が行われている本校舎があり、グラウンドを挟んで正面に体育館、そして北側に旧校舎というのが建っている。
文字通り昔使われていた校舎で、数年前に建て替えられた後は、文化部の部室や用務員室、事務室などとして使われていた。
でも、日奈達は部活に参加していた訳ではない。にも関わらず何故そちらに居たのか。
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