第47話 日曜のランチタイムで過ごすひと時は(5)
「えっと、そもそもエリナはあの後どうなったんでしょう」
彼女は即死でなかったらしい。ならばその前に病院へ搬送された可能性はある。そうだとしたらエリナの件で警察が病院に訪れるのも分からなくはない。
「いえ。死亡の確認は校内でされたの。だからご遺体は警察の方に送られたわ」
しかし、滝田さんはそれをあっさり否定した。
つまり病院は介在せずに、解剖へ回されたということなんだろう。
であれば、何故エリナの捜査で病院を訪れる必要があるのか
「じゃあ、何でお二人は病院に居たんですか」
「んー。それは、どこまで話していい物かしらね」
尋ねる私に少し困った顔をして滝田さんは小首を傾げた。
「えっと。どこか悪くして病院にかかっていたんでしょうか。そんな風には見えなかったんですけど」
「そうね……。寧ろこちらから聞きたいんだけど。彼女授業態度ってどうだったのかしら」
「じゅ、授業態度ですか?」
滝田さんが何故そんな話をするのか、それが今話していた内容とどう繋がるのか。
「ええ。例えば居眠りをしてたとか、それを注意されたとか、そんなことは無い?」
「居眠りですか? いや、そんなことは無い筈です」
二学期から彼女は私の後ろの席に座っていたので、授業中どのような態度で臨んでいたか直に見えた訳ではない。が、すぐ真後ろに居れば気配でわかる。教科書を開きめくる音や、ノートに板書するペンを走らせる音などだ。
更に、先生から彼女が注意を受けている場面は一度も見た事は無かった。
「そうなのね。じゃあ、それ以外でも寝れないとか、寝不足だとかっていう様な話はしてなかった?」
「いえ。全然。そんな素振りもありませんでしたよ」
彼女が寝不足だったのかどうか、実際には分からないが、表面上そんな風には見えなかった。寝不足なら表情や顔にも出るだろうが、クマが出来てる様にもみえなかったし肌つやも悪くはなかった。
「そう。じゃあ、普段例えば急に興奮したり、極端に明るくなったり、もしくはあからさまに落ち込んでたりする素振りとかってなかったかしら」
「ええ? いや……どうでしょう」
更に何を聞かれてるのか分からなくなったが、精神的に不安定だとは見えなかった。勿論、人の内面までは分からないが。
「ふむふむ、じゃあ、その他に例えば具合を悪くして保健室に何度も行ったりとかはなかった?」
「それも無かったですよ。寧ろ彼女、保険委員だったので連れて行く事の方が多かったですね」
「そうなのね。ありがとう、参考になったわ」
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