第9話

そして週末になった。

目が覚めると、足元から、「ジャララ……」という金属の擦れ合う音が聞こえる。

見ると、足は見事に鎖でつながれており、部屋から出るのは不可能となっていた。


「……おーい」

「はい!何?」


俺がどことなく呼びかけると、扉がバッと開いて、あやかがすぐに入ってくる。


「おはよー!」

「おはよ」


俺はあやかと挨拶を交わすと、とりあえず、あやかと基本的なことについて話す。


「まずは、俺はこの部屋から出られないんだよな?」

「うん!基本的には出られないと思っていいよ!」

「トイレは?」


俺がそう聞くと、あやかはペットボトルを取り出す。


「ここに………まぁ、冗談。その時は、鎖を変えて、トイレまでついていくよ」


そう言って、あやかはペットボトルをしまう。

俺の尊厳は、どうやら守られたらしい。


「ご飯は?」

「今日と明日は私が作るから、基本的にはここに持ってくるよ」

「分かった」

「波音は……」


そう話していると、扉が開いて、波音が入ってくる。


「あ、お兄ちゃん。……意外に似合ってるね」

「あ、波音、おはよう」

「おはよう。今日は、お姉ちゃんが監禁するって聞いたから、頑張ってね。私、今日は友達の家にお泊りさせてもらうから」

「おう」


そう言うと、波音は部屋を出ていく。


「そういう事。今日は二人きりだから」

「分かった」


俺は頷いた。


「じゃあ、朝ご飯持ってくるね」

「OK」


そう言うと、あやかは部屋を出ていく。

俺は周囲を見回す。

まぁ、いつも通りの俺の部屋だ。

とりあえず、動ける範囲を見ておこうと、俺はベッドから降りる。

少し部屋の中を歩き回ってみたところ、どうやら部屋の中は十分に歩けるみたいだ。

でも、部屋の中の本やゲームは無くなっている。


そうした確認をしていると、あやかが戻ってきた。


「……何してるの?」

「部屋の確認」

「あぁ。ゲームなんかは没収してるよ。今日は私か教科書だけを見ていてほしいもの」

「できればあやかだけ見てたい」

「それは嬉しいけど、明後日からテストでしょ?理系科目はあまり得意じゃないんだから素直に勉強してね」

「はい……」

「それじゃ、朝ご飯」


そう言って、あやかはいつも通りの朝ご飯を目の前に出した。

俺は、それを綺麗に食べる。

それをじっと見つめるあやか。


「見ていて飽きない?」

「飽きない」

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