第8話
「今日はさ、監禁したいの!ね?いいでしょ?」
「そんなこと言われたって……」
ある朝。
俺はあやかに見事な土下座で頼み込まれていた。
そう、監禁を。
ことは数日前にまでさかのぼらない。
今朝の単なるあやかの思い付きである。
それを真横で見ている俺の友人とあやかの友人は引いている。
「ついに、一線超えちゃったの……?」
どうにかあやかの友人である美智子さんがなんとか言葉をひねり出す。
そして、俺の友人である益男は肩をポンと叩き、「武運を祈る」と言ってくる。
「いやいや!!別に大丈夫!理性はギリギリ持ってるから!」
「「ギリギリ?」」
俺と美智子さんが同時に問いかける。
その言葉に、あやかはブンブン首を縦に振る。
「もう、結構限界。ほら、手の震えが」
そう言ってあやかは手の震えを見せてくる。
「俺はアルコールか」
「似たようなもの!!」
「はっきり言ったわね」
俺は、どうしようかと思案する。
「でもなぁ……来週テストだし……流石に今監禁されるのはつらいな……」
「ちょっと待て、わが友海翔よ、それは今週じゃなきゃ監禁もやぶさかではないという意味では!?」
「まぁ、監禁っていっても、きついことは無いだろうし、まぁ、受ける分にはいいんだけどな……」
「マジかこの男……」
俺がそう言うと、あやかは目をキラキラさせる。
「じゃ、じゃあ、今週末は!?一緒に勉強しようよ!」
「……それなら、まぁ……」
「やったーーー!!」
「凄いわよ、このカップル。片方が監禁を提案して、もう片方が週末にそれを承諾したわ」
「もはやこいつらにとってこれがデートなんじゃないかと思うわ」
「失礼な!これとは別にデートもするよ!」
そういう問題じゃない!
という言葉を飲み込んで、二人はじっとこのヤンデレバカップルを見つめる。
「できれば、数学を教えてほしいかな……」
「任せといてよ!」
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