第5話


「最近海翔君の付き合いが悪い?」

「そうなの……」


しくしくと私はみっちゃんたちに相談する。


「ついに一線超えてしまったのでは?綾香さんが」

「そんな事ないと思う!……多分」

「もしかして、海翔君、浮気とかしてたりして~!」

「こら、冗談でもそういうことは言わないの!」

「あ、ごめん……」


陽菜ちゃんを窘める南さん。私は「大丈夫」と陽菜ちゃんに伝える。


「それはない」

「断言したわね。何か根拠でも?」


南さんが聞いてきたので、答える。


「いや、盗聴器でも、他の女性と密会してることは無かったし、携帯の通話やメールの履歴もおかしいところも無かったから……」

「あやかさん、携帯の履歴も把握してるのね」

「うん、この前不安だって伝えたら、『じゃあ、見るのは構わないぞ』って言って携帯のパスワード教えてくれたし」



「……何か、心当たりはないの?」

「……思い当たるところが多すぎて、少し困ってる」


私は、大きくため息をついた。


「とりあえず、謝れば?」

「そうした方がいいよね……」


その時。

教室に海翔が入ってきた。


「ほら、今よ、行って!」

「えっ!今!」

「今行かないと、後からずるずるとなって後悔するよ!」

「腹を括って!」


三人が私を海翔の前に押し出す。


「お、どうした、あやか」

「海翔……」


「ご、ごめんなさい!!」


突然頭を下げた、私に、海翔はぎょっとしている。


「え、突然何?どうした?皿でも割った?」

「海翔、何か怒ってるんでしょ?」

「いや、怒ってないけど……」

「私の事、うっとおしく思ってない?」

「まさかぁ!めっちゃ可愛い」

「かわっ!?」


私はゆでだこのように顔を一瞬で真っ赤にする。


「そ、そうなんだぁ。良かった~」

「……不安なのか?……だったらほら」


海翔はそう言うと、両手を広げてきた。

私は恥ずかしいけれど、前に進む。

ギュッと海翔の胸に触れる。


「……えへへ」


「この人目をはばからないバカップルめ」


みっちゃんのその声がして、はっとする。

——ここ、教室じゃん!

すっごく恥ずかしいんだけど!


「海翔、今日は一緒に帰ろ?」

「おぅ!いいな!」


満足した私は、放課後を楽しみに待つことにした。


なにか、忘れてる気がするけど、まぁいいか!


「結局、海翔君の付きあいの悪かった原因って何なんだろうね」

「さぁ。でも本人が満足してるからいいんじゃない?」

「「確かに」」


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