第2話

お昼時。今日は珍しく、みっちゃんを含めた4人でご飯を食べている。

普段はみっちゃんと私の二人でしか食べないから、にぎやかになった。



「昨日のテレビ見た?」

「あ、私見た!ほら、王冠のコレクターさんが出てた番組!」

「あ!私見たよ!」


確か、何万個も集めていて、そのために一日に何本も瓶ジュースを飲むのだとか。


「あれは、熱意が凄かったよね!私だったら腹タプタプだよ」

「だね~。皆は何か集めている物とかあるの?あやかさん以外」


と、南さんは、突然そんな事を聞いてきた。

——ん?私以外?


「どうして私以外なの?」

「だって、あやかさんは何集めているか容易に想像がつくもん」

「ぐぬぅ……」


否定できる要素が存在しない。

南さんが話を続ける。


「私はこれね!」


南さんがカバンから取り出したのは、今を時めく男性アイドルのグッズだった。


「わぁ、あれじゃん!ほら、有名な事務所の……あれ!」


やばい、名前が出てこない……!


「……あやかちゃん……」


南さんがじとっとした目で見てくる。


「だめだよ、あやかは二次元と海翔にしか興味ないから」

「みっちゃん……」


すると陽菜ちゃんがぴくりと反応した。


「え?あやかちゃん、アニメとか見るの?」


「あー、アニメはあんまり……。小説とかなら」

「え!?じゃあこれ知ってる!?」


そう言って陽菜ちゃんはいくつかアクリルキーホルダーを取り出して見せてきた。


「あ!知ってる!それ面白かった!」

「え!嘘!やったー!!!」


陽菜ちゃんは椅子から立ち上がってぴょんぴょん跳ねている。


「マイナーだから知ってる人いなくて!誰かオタク仲間が欲しかったの!!ねぇ、今度私の家来ない?色々と語りつくせそう!」


そう言って陽菜ちゃんは私の肩をがっしり握ってくる。

私も、海翔ぐらいしか感想を共有できる人いなかったから、願ったり叶ったりだ。


「いいよ!」

「やった!!」


お弁当を食べ進めながら話も進んでいく。


「そういえば、美智子さんは何か集めてたりするの?」


南さんがみっちゃんにそんな事を聞く。


「私?私は別に……」

「え?みっちゃん、部屋にぬいぐるみ沢山あるじゃん。あれでしょ?」


みっちゃんはぎょっとして私を見る。


「ちょっ!あやか!!!?」

「この前だって、ゲームセンターでクレーンゲームに……」

「それ以上はストップよ、あやか!!」


みっちゃんは真っ赤になっている。


「へぇ~、美智子ちゃんって、ぬいぐるみが好きなんだ?今度うちにあるやついくつかあげようか?」

「いいのっ!?」


陽菜ちゃんの提案に飛びつくみっちゃん。


「うん。こう、映画に行った帰りとかについやっちゃうけど、結局のところ持て余しちゃうのが現状でね……」


みっちゃんは目をキラキラさせている。


……いいなぁ。私も会話に入りたい。


「ねぇ!」


私は、お弁当の最後の一口を飲み込むと、三人に提案した。


「やっぱり私も三人に集めている物見せたい!放課後うちにおいでよ!」

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