私はヤンデレですっ!!!
青猫
第1話
俺の彼女は彼女曰く少しおかしいらしい。
なんでも、自分はヤンデレとか言ってる。
……まぁ、確かに、俺にGPSつけたいとか、なんか髪の毛とか血をいれた料理を食べさせたいとか、まぁ少し「ん?」と思うようなところもあるけど、かわいい彼女である。
そんなかわいいかわいい彼女は今日、俺にお願い事があるらしい。
「ちょっと、私の部屋が大変なことになってて。どうしたらいいのか分からないの」
なるほど。
「じゃあ、まずはあやかの部屋まで行こうか」
「うん!」
俺達はあやかの部屋に向かう。
ちなみに俺とあやかは同棲している。
まぁ、俺はあんまりあやかの部屋にはいかないんだが……。
俺はあやかの部屋の扉のノブに手を当てて、覚悟を決める。
——よし!
ガチャっとノブをひねり、部屋の中に入ると、なかなかに地獄な光景が広がっていた。
部屋の壁中に俺の写真が貼られている。学校で授業を受けているものもあれば、家の中でゆっくりとしているものまで。
カメラ目線のものもあるが、大概そうでない。
「……なぁ、この部屋でよく生活できるなぁ……」
俺が部屋を眺めつつ言葉を漏らすと、あやかは
「まぁ、海翔がすっごく好きだから!見てて飽きないんだよね」
と満面の笑みで答えている。
そして、きょとんとした顔で「海翔はやっぱりあんまり好きじゃない?」と聞いてくる。
「そりゃあ、自分の写真だからな……。自分の写ってる写真とか見るとなんかこそばゆくならないか?」
あやかは、頬に手を当て、「あ~」と納得がいったようだ。
「なんか分かるかも」
「だろ?」
そう言って、俺は部屋のベッドに座る。
「で?問題はこの写真か?」
というか、問題になりそうなものがこれしかない。
「そう!」
あやかは壁中を見回す。
「これ以上写真を貼るスペースが無くて。でも、写真はたまっていくし……」
「写真をはがすのは?」
「だって、どの写真も捨てがたくて。それにどこかで使うかもしれないし!」
「それ、捨てられない人間の常套句だぞ……」
俺はため息をついた。
「とりあえず、アルバム作ってしまえばどうだ?」
「それが……」
そう言ってあやかが指した先には本棚が。
そこには、あやかの今読んでいるラノベ数冊(残りは俺の部屋に置いてある)とそれ以外にたくさんのアルバムっぽい本が。
「まさか……」
俺がその本棚の本を一冊とって開くと、そこには俺の写真が。
「この本棚全部……?」
「うん……」
……さて、どうしようか……。
ぺらぺらと写真集をめくっていくと、ふとあることに気づく。
「あれ?同じ写真が何十枚もある?」
俺があやかを見ると、「バーストで撮ったんだよ!」と笑った。
「これ、一枚に絞れないのか?」
あやかは顔に手を当てて考える。
「うん……無理!どの写真にも違った海翔の顔があるんだもん!」
「そうか」
俺は何十枚とある同じような写真を見つめる。
「そうだ!」
俺は、俺が写っているたくさんの写真を取り出して、床に並べていく。
「?どうするの?」
あやかは、今から俺が何をするのかわかっていないみたいだ。
「これを、こうやって……」
俺はポケットから携帯を取り出して、写真を撮る。
そして、それをあやかにみせた。
「ほら、これならどうだ?」
これは、俺が買い物レシートの整理をする時にやる方法だ。
これなら、レシートを保存しておかなくても、後から何を買ったかが見返せる。なかなかに便利だ。
「わぁ、これなら写真の数が減らせるね!」
「まぁ、一枚一枚の写真のサイズは小さくなっちゃうがな」
「でも、これならとりあえず整理できそう!ありがとう、海翔!」
あやかは、俺の手をぎゅっと握る。
「……まぁ、俺の部屋にまで浸食されても困るからな」
「そうだね……」
「それじゃ、整理していくか!」
「そうだね!」
ここから写真の整理だけで5時間かかった。
「今度から現像せずにデータを取るのはどうだ?」
「それいいね!動画とかもとれるし!」
「……なるべく自重しろよ」
「善処します!」
……後にTBのメモリまで買うことになるのは余談だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます