第14話 悪役令嬢、DLCキャラを改めて欲す
(まさかグスターヴォを赤子の手をひねるように勝つなんて……)
ヴィットーリアはDLCキャラは強いとは考えていたが、まさか物理系でも上位の強さを持つグスターヴォをこうまで圧倒かつ安定して倒せるとは思っていなかった。
どうやら魔法を使っても、
大公家の【
そんな成り上り者の騎士に嫁がせる貴族など居はしない、結局地元の豪農の娘と結婚し地縁を固めた。
そこで第一子が誕生したのが、彼女エレウノーラ・ディ・カミタフィーラ。
長じて身体的には恵まれている所では無く、長身に筋肉の付きやすい体質と本人の鍛錬が合わさり13で初陣を迎えた折には、騎士首を上げている。
その後、騎士爵の代理として継承し弟であるアメリーゴ・ディ・カミタフィーラが成人した際に交代する予定と日々、公言している。
そしてここ1年で大きな動きは、領内を襲ったスーノ人を決闘にて撃退し配下に置いている。
スーノ人は原作ゲームにおいては所謂【お邪魔キャラ】と言った所だった。
戦争パートで兵力の少ない地域を襲っては軍資金が減らされるので、海を通って帰られる前に討伐する事で金を取り返せるといったギミックだった。
そんなスーノの戦士が100名近く、専業の兵士として思われるのは20名程カミタフィーラ家の常備軍として設立されている。
この村が3つ程の小身ではかなりの軍勢と言っても良い、同規模の騎士なら従卒5名程に徴収した農民兵が2~30人と言った所だ。
農閑期の税代わりに動員された兵士と、略奪を生業とする兵士では正面からぶつかり合った時の持ちが違う。
(まだ出兵はしていないから分からないけれど、この分だと軍を率いても強そうね……)
ヴィットーリアの感想として、エレウノーラ・ディ・カミタフィーラは個人の武と軍を率いる事に秀でたユニットなのだろうと感じていた。
その分、魔法があまり使えないのでその辺りを補う人材を宛がえばきっと帝国との闘いも楽に進めれるのだろう。
(となると、どうにか引き入れたいのだけれど……)
目の前でクラリッサの涙をハンカチで拭いながら微笑む彼女へどう切り出した物かと悩むヴィットーリアだが、今はクラリッサの用事を終えてからの話だ。
「エレウノーラさん、貴女は弟さんが継承したら野に下るとお聞きしたのですけれど本当ですか?」
「ええ、ヴィットーリア嬢。私は引継ぎが終わったら平民になって、そうですね……冒険者にでもなろうかと」
「冒険者ですか、しかし、貴女の経歴と力量ならば相応しい場所があるのでは無くて?」
クラリッサが辞した後、残ったヴィットーリアは結局正面から話を切り出す事にした。エレウノーラならば、迂遠な事を話してからよりも単刀直入に話した方がまだ好意的に接してくれそうだと感じたからだ。
「良いじゃないですか、冒険者。私は憧れますよ、好きな場所へ好きな時に行き興味のそそる物を探して手に入れて、己の物とするも良し、売るも良し。楽しそうじゃあないですか」
「刹那的に過ぎますわ、貴女ならばきっと名を遺すでしょうがより良い生活を求めるなら貴族の将として仕官されては如何?」
「仕官は絶対に無理ですな、軋轢が酷すぎて殺し合いになる」
「え」
エレウノーラはヴィットーリアに向き合うと言葉を繋げた。
「女が家臣として迎えられて、しかも騎士として活動するなら元からいた指揮官級と溝が出来る、決闘で負けでもすれば兵が付いてこない。女に負ける騎士の言う事を聞く兵等居ませんから」
「それで……、殺し合いと言うのは」
「決闘で勝てないなら、毒でも盛れば良いのですよ。私も身を守る為に、その者を斬らねばなりませんね。はい、御家でそんなことが起きれば当主は両名を処断せねばなりません」
「だから、野に下ると?流石にそんな事が必ず起きるとは限らないでは無いですか」
「ですが、可能性はある。男ならこんな面倒な事考えずに済むんですがね」
決して彼女は手に入らないのだろうか?
あまりにも惜しいのだ、なまじすぐ目の前にあるのだから手を伸ばしたくなる。
いっそ、大公家の権力をフルに使ってしまおうか……
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