エピローグ2『花京院春乃の家族語り』

 子世代の話とか色々フライングですが、一度想像したら書きたくなり、もしかしたらこういう未来もあるかも、という体で書いてみました


 解説ばかりですがどうぞよろしくお願いします




【Side.春乃】


 私の名前は花京院かきょういん春乃はるの


 地元じゃ色んな意味で有名な花京院家の娘。


 父親の名前は花京院恭一きょういちパパで、母親は……沢山いる。


 十人以上とか引くくらい沢山いる。


 有名とはつまりそういう事。


 なので子供たちが取りあえず覚えるべき母親は自分を産んでくれた実の母親と、義理の母親たちの中で影響力が強い二人のママだけ覚えていれば最低限。


 まず覚えるべき母親一人目の花京院アリアママは私たち家族の家名でもある花京院家の血を継ぐ人で、今の花京院グループの会長。


 そんな訳でアリアママがいないと花京院家が成立しないから、パパに次ぐ花京院家の柱だとも言える。


 覚えるべき母親二人目の花京院イチゴママは元々知る人のみぞ知る資本家だった花京院家を世界的な大手クループ企業の会長一家に発展させた功労者。


 イチゴママがやった事を挙げるなら、既存の事業の業績を引き上げたり、新しい技術特許を沢山取ってそれを使ったネットインフラを構築してぼろ儲けしたりと、一人の人間がやったのが信じられないくらいドン引きするくらい大活躍した。


 それに元々はパパとイチゴママの二人だけで付き合ってたのを、アリアママがパパに横恋慕して、色々あって、おじいちゃんたちがパパとイチゴママを同時に抱え込むためにパパのハーレムを認めたのが今の花京院家の始まりらしい。


 そんな無茶して抱え込むだけの価値があったとイチゴママは証明してしまった訳。


 おかげで今の花京院グループは会長一家がハーレム状態というスキャンダルのかたまりなのにも関わらず色んな力を持ってるので色々ヤバい。


 ん?アリアママが会長なら、パパはどんな役職なのかって?


 パパは、毎日ママたちと仲良くするのがお仕事。


 日替わりでママ一人一人とデートしても平気で二週間待ちとか発生するからね。


 それでもたまに悠翔学園の理事とか臨時教師もやってるから丸っきりヒモな訳じゃない。


 ウチのパパとママたちの恋愛話、花京院グループの系列会社でドラマ作られてるんだけど、めっちゃドロドロしてたしドラマでのイチゴママってガチでヤバかったなー。




 この現代日本でどうやってハーレムが作られたのかって?


 説明すると、まずパパがアリアママと結婚しながら婿入りして、パパの苗字を花京院に変えたらしい。


 何故婿入りしたのかというと、アリアママの実家の花京院が結構なお金持ちだから、花京院家に纏まった方が色々都合が良かったんだとか。


 どういう所が都合がいいのかというと、大家族となる私たち全員が暮らしている屋敷が花京院家の所有って所とか。


 元々私立高校だった悠翔学園を、私たち兄弟姉妹が通えるように小学校から大学まである一貫式の大型学園にして、それも花京院家の所有な所とかね。


 そういう訳で花京院家に婿入りしたパパは、少し時間が経った後アリアママと離婚し、イチゴママと結婚した。


 これだけでも驚きなのに、本当に驚くのはこの続きから。


 離婚の際にパパは苗字を花京院のままにしてたのでイチゴママの苗字も花京院になり、そしてパパはイチゴママと結婚した後にまたも離婚。


 その後も離婚と結婚を繰り返し、離婚したママたちは苗字を花京院のままにして皆一緒に暮らしている訳。


 ドン引きでしょ?


 ちなみに私を産んでくれた実の母親は花京院(旧姓は斎藤)由華ゆかママ。


 こんなハーレムが許されるのかというと結構グレーゾーンで、パパたちが訴えられた事もあった、けど一応重婚では無いって理屈で裁判で負けた事は無い。


 つまりギリギリセーフ。




 まあ、パパも好きでハーレム作った訳じゃなくて、それで色々苦労してるのは分かっている。


 けど、私たち兄弟姉妹も結構苦労してる事もあるの。


 例えば家族の名前を覚える事とか。


 母親が多い分、もちろん兄弟姉妹もすぐ覚え切れないくらいいる。


 それこそ家の中では名札を付けるのが半ば義務付けられたくらい。


 家族の名前を忘れるとか気まずい所じゃないけど、実際すぐには覚えきれないんだからね。


 後は家族と他人の区別とか。


 言葉を覚えたての頃は、親しくしてくれる大人の女性を全員ママだって思ってたし、歳の近い子は全員兄弟姉妹だと思ったんだよねー。


 これを矯正するのに結構苦労したし、何なら幼い弟妹で今でもそれを勘違いしてる子もいる。


 こういう風に色々苦労をしてるけど、幸い親がお金の力でハーレムやってるだけあって貧しい思いをした事は無い。


 他所の家では兄弟姉妹で玩具やお菓子の取り合いになったら大体贔屓されてる方の子に譲るように言われるみたいだけど、ウチでは同じ物を欲しがる子の分用意されて、それでも欲張り過ぎると育児担当のユカママとかに説教される。


 逆に玩具とかゲームとかを欲しいだけ与えると教育に悪いからと一か月に何個までとか制限もあって厳しかったりするけど。


 厳しいと言えば、私たち兄弟姉妹はみんな幼い頃から知育ゲームをさせられたり、何かしらの運動や美容管理をさせられて英才教育を受けてたりもする。


 おかげで物心付く頃には兄弟姉妹みんなハイスペックなイケメンと美少女ばかりになってるから、英才教育を恨んだりはしないけど。


 つまり苦労もあれば、お得な所もある訳。




 まあ、それとは別に兄弟姉妹が皆親の事が好きな訳訳じゃないんだけどねー。


 嫌う理由は様々。


 ハーレムやってる親を生理的に嫌うのは割と普通な理由で、ハーレムな親を持つ子ならではのエキセントリックな理由もある。


 逆にママたちは初期にパパと結婚した人ほど、誰が産んだのかを気にせずに私たち兄弟姉妹を全員可愛がってくれてるんだけどね。


 それと漫画やドラマではお金持ちの家が子供を他のお金持ちの家の子供と婚約さる話とかよくあるけど、ウチにはそんな話ほぼ無い。


 まず花京院グループ会長の座を継ぐのは花京院家嫡流のアリアママの子か、事業拡大に大活躍したイチゴママの子の内で決める事になっている。


 だから政略結婚の話は大体そっちに行って、数が多すぎて結婚した所で花京院グループに食い込めるのかも疑わしい私を含む他の兄弟姉妹にはそんな話無い。


 たーまに、乗っ取り目的で他の兄弟姉妹に近付く人もいるけど、そういうのは大体イチゴママに処分されてる。


 私たちは大学出て就職した後は自由に生きろと言われたよ。


 就職だって最悪家のコネで花京院グループの会社に入れて貰って何とかして貰えるしね。


 だけどそれ以上、例えばコネだけで会社一つの社長職を貰うとかは無理。


 兄弟姉妹多すぎるから、そんな事するとグループが離散してしまうからね。




 こんな感じで、家族の話はそろそろいいか。


 ん?私は親についてどう思っているのかって?


 尊敬しているよ?


 この日本でも、能力と容姿とお金と権力があればハーレムもいけると教えてくれたからね。


 ……まあ、全部揃えるのは普通無理だけど。


 でも親というすぐ身近に成功例があると羨ましくて、自分も夢、見ずにはいられなくない?


 あの親を見て育った私は、普通に好きになった一人の男性と結婚する事に憧れるよりも……ハーレムに憧れるようになったの!


 女の子の私が色んなイケメンに囲まれる逆ハーレムじゃないよ!


 正真正銘美少女たちに囲まれるハーレムの事!


 そう、この花京院春乃には夢がある!


 百合園ゆりハーレムの女王になるという夢が!


 パパが色んな美人さんとイチャイチャしてる所が超羨ましかったもん!


 だから私も自分のハーレムを作る!


 能力も容姿も、イチゴママの英才教育を受けて育ったんだから十分いけるはず!


 胸は……ユカママの遺伝子を継いだのに残念ながらほぼ無いけど、逆にボーイッシュな感じが出てるからオッケー。


 それにユカママは実はクォーターで、ユカママのお爺さんが金髪のイギリス人だったらしく、その隔世遺伝で私の髪の色も金髪!


 お金も磨いた能力で稼げばいいし、権力だって花京院グループの会社社長の座をいくつか取ればいい!


 さっきはコネで会社を貰えないと言ったけど、能力で取る分には何の問題もないとアリアママたちに太鼓判押して貰ったし!


 百合ハーレムメンバー候補ももう見繕った!


 後は私の努力次第!


 頑張るぞー!




―――――――――――――――

 解説ばかりでしたが、これは一応エピローグでちゃんと詳細に書くと長くなり過ぎそうでしたので簡潔に書きまくりました

 邪悪な母親たちによって息子の脳味噌すら破壊されるお話とかは、いつかロング版で書くかもです

 春乃が夢を叶えるお話は……ジャンルからして違う物語になるので書かないかもです


 現状、未来ではこうなるんだろうなーって感じで書いた物ですが、高校後半編(二年二学期~卒業)と大学編を詳しく書くと前提が崩れてIFになる可能性もあります


 なのでローテーション結婚が確定するのもアリア、イチゴ、ユカ、ケイコまでで、他のメンバーについてはボカしました。

 でもカヨ、アミまでは固いんじゃないかなーと思ってます


 ではこれにて本作は一区切りして、のんびり休息したり他の新作を書き溜めたりと、ちょっと再開を約束できないお休み期間に入りたいと思います


 もしかしたらいつか第二部を再開したり、そうじゃなくてもたまに不定期でちょっと思い付いた小話とかを更新するかも知れませんので、その時はよろしくお願いいたします<(_ _)>


 追記。子供たちが親を嫌う理由についての具体例は、後から書いた番外編のネタバレになってたり、齟齬が発生したりして削除いたしました

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