第12話【裏・邪悪なる反撃】
【Side.イチゴ】
このシェアハウスは私のテリトリー。
同意の上でインストールさせた盗聴アプリ以外にも、盗聴器やカメラはいたる所に仕込まれてる。
建前としては防犯用だけど、操作権限を持つ私は遠慮なく自分の趣味のために使う。
『今の俺は……ユカが一番だ。この場凌ぎでの嘘なんかじゃなく本当に。だから……嫌じゃなければこれからも一緒にいてくれ』
「はあ……はあ……ぐすん……うわあああああああっ!!……くけけ」
私は一人自分の部屋で、きょーくんの台詞を何度も聞き返しながら悦に浸ったり、不安になったり、怒ったり、笑ったりと絶賛情緒不安定でいた。
まさか、本当に、本当にきょーくんがユカちゃんに心移りするなんて!
まあ、きょーくんを寝取らせ続けた私の自業自得だからきょーくんだけを責められないんだけどね。
きょーくんが気持ちでまでも私を裏切って他の女と睦み合うとか……最高過ぎる。
おかげで最高のオカズを手に入れた。
特に相手があのおっぱい化け物のユカちゃんなのもいい。
まるであのおっぱいに誑かされて下半身で心移りしたみたいだから。
実際は違うと分かっているんだけどね。
でもそう思った方が興奮出来る。
あの真面目なきょーくんが結局性欲に負けて他の女を選んだような状況に、一種のカタルシスを感じるから。
まあ、アリアちゃんだったらアリアちゃんで、結局金髪色白の美人が好きか!って思っただろうけどね。
で、ここ数日、私は部屋に引き籠ってこのオカズで色々致して楽しんでたんだけど、そろそろ情緒も落ち着いて来た。
流石にいつまでも同じネタばかりだと飽きるからねー。
さて、ここからどうするか考えよっか。
きょーくんがユカちゃんを助けるためにアリアちゃんとの婚約を決めて、ユカちゃんも自分が一番ならとハーレムを受け入れたから、これできょーくんのハーレムも安泰……とはならない。
むしろこれでハーレムが崩壊する可能性が出て来た。
私の強みは言うまでも無いけど、きょーくんの幼馴染で、今まできょーくんを手塩に掛けて育てて来て、きょーくん本人もその恩義を自覚し好意も持っていて私を一番大事にしてくれてた事。
だから今までは私の知能を欲しがる花京院家が私ときょーくんを同時に抱え込む方法としてきょーくんハーレムを認めていた。
アリアちゃんの為に私ときょーくんを引き裂こうとしたら当然きょーくんが反発しただろうから、きょーくんへの配慮として私ときょーくんはある意味セット扱いされてた訳。
でも私がきょーくんの一番じゃなくなり、引き裂いても構わない相手になると話が変わる。
あくまで可能性の話だけど。
きょーくんの一番が変わったのを花京院家が知ったら、もう配慮する理由もないので『今なら別れても構わないよね?』って感じで私ときょーくんを引き裂いて、私は別の形で花京院家に囲われる。
例えば私が直接花京院家の養女になるとか、そうでなくても普通に花京院家が運営してる会社の幹部にスカウトされるとかで。
きょーくんについてはもうアリアちゃんも婿にすると決めてしまったから切り捨てる事は出来ないけど、ユカちゃんは違う。
ユカちゃんにきょーくんのハーレムを認めてまで抱え込む価値は……残念だけど無い。
あの化け物みたいなおっぱいとか、シェアハウスの五人分の家事を一手に担える能力は確かにユカちゃんだけが持つ価値だけど、きょーくんとセットにするほどでは無いから。
という訳で、ユカちゃんもポイされてる可能性が高い。
まあ、そうしたらきょーくんがユカちゃんと駆け落ちする可能性もあるからユカちゃんは最悪愛人として残れるかもだけど、その他のケイコちゃんとかは切り捨てられてきょーくんのハーレムが崩壊するだろうね。
で、きょーくんはハーレムの無いままアリアちゃんの誠実な婿になるのを求められる。……ユカちゃんの事はギリギリ例外として。
そうなるときょーくんも元々ハーレムなんて望んで無かったし、ユカちゃんをギリギリ捨てずに済むのならばと受け入れる可能性が高い。
……というのが、私が予想するハーレム崩壊の可能性。跡形くらいは残るけど。
『自分が一番だと言ってたハーレム野郎彼氏が心移りして捨てられました。その所為でハーレムが崩壊しましたが、どうでもいいです』って感じ?
いや、どうでもよくないけど。
絶対阻止するけど。
という訳で、これを回避する為には、花京院家にきょーくんが一番大事にする相手が変わったのがバレる前に手を打たなければならない。
きょーくんを寝取り返して好感度を回復するとか……は今更過ぎる。
逆にきょーくんに呆れられて好感度が下がりそう。
でも別に、きょーくんだけじゃないんだよねー。ハーレムに残れる鎹は。
つまり……私がアリアちゃんとユカちゃんを寝取ればいい!
女の子同士でもエッチな事は出来るからね。
ハーレムメンバーの顔になるアリアちゃんと、きょーくんの一番になったユカちゃんの縛る事が出来れば、私が追い出される事はないでしょ。
私にそういう趣味があった訳じゃないけど、これもきょーくんのハーレムを維持する為で、アリアちゃんとユカちゃんはそれなりに好きだしね。
これでも一応、今まで一緒に暮らして来た情とかあるし。
アリアちゃんの今の人格は私が育てあげたようなものだし。
何なら3Pとか4Pとかした時にお互いにあられもない姿も見せあったんだから。
同性同士での生理的な嫌悪感なんて今更だよね。
そうと決まれば早速動こう。
目標は、夏休みまでにアリアちゃんとユカちゃんを落とす事!
気持ちと体のどちらでもいいから、私をハーレムから切り捨てられなくなるのが目標ライン!
リナちゃんは……まあ、今のままで放置しててもいいか。
「くっくくくく」
きょーくんに寝取られを経験させないと言ったね?
あれは半分嘘。
今嘘にしました。
間男に女を寝取らせるつもりはサラサラ無いけど、女の子同士で、しかもハーレムメンバー同士ならセーフでしょ!
という事でー、先に脇が甘々でチョロチョロなアリアちゃんを攻略する事にしました。
「ねえアリアちゃん。今きょーくんいないし、私と一緒に遊ばない?」
「構いませんが……、また何かゲームを作られたのですか?」
「ううん。でもアリアちゃんも楽しめると思うよ?」
といた感じでアリアちゃんを部屋に誘い込んでからの~
見せられないよ!
まあ、ご想像してる通りの色々な事をやりましたけども。
いやー。落とすまでに一週間くらい掛かると思ったけど、四日で済みましたよ。
日頃の情もあったと言え、やっぱチョロかったねー。
姉妹分(意味深)として悪い人に騙されないか心配だよ(棚上げ)。
これからも目を光らせていかないと!
「ねえ、アリアちゃん。私の事好き?」
で、一緒にイチャついた後にベッドの上で半裸のアリアちゃんに聞いた。
「それは……その……嫌いではありませんが……」
「じゃあ好きって事だよね?」
「えっと……ええ」
まだハッキリ言うのは抵抗があるのか、アリアちゃんは私が好きだと明言するのを避けている。
私はこんな事するくらいに好きなのにねー。
反発されても困るから、あまり追い詰めないでおくけど。
「じゃあこれから先、何があっても私を捨てないでくれる?」
「それは……もちろんです」
「ありがとアリアちゃん。きょーくんの次に好きだよ」
「……私も、恭一さんの次にす……好きです」
きょーくんの次ってなら言えるんかい。
別にいいけど。
とにかくこれでアリアちゃんは攻略完了!
次はユカちゃんだね。
別日、リビングで家事をしているメイド服姿のユカちゃんに声を掛けて。
「ねえユカちゃん。そろそろ私の部屋を一回隅々まで掃除したいんだけど、手伝ってくれる?」
「いいわよ。前に掃除して結構経ったもんね」
って感じでユカちゃんを部屋に誘い込んだ。
くけけ、アリアちゃんといいユカちゃんといい無防備過ぎだよ。
まさか自分が同性の女の子に狙われてるとか思ってもなかったでしょうけど。
ガチャっと、ドアノブの鍵を掛けると、ユカちゃんがこっちに振り向いた。
「ん?イチゴ、何で鍵掛けてるの?」
「それはねー。今からユカちゃんと仲良くする為だよ?」
「は?ちょっ……やめなさいっ……来るな!」
流石に身の危険を感じたユカちゃんが逃げようとしたけど逃げられず、この後私が美味しく頂きました。
「はあ……はあ……。イチゴあんた、こんな事してただで済むと思ってるの?」
ベッドの上で全裸で疲れ果てているユカちゃんに睨まれたけど、全然怖くないですねー。
今はまだ反発されてるけど、落とした後が楽しみだよ。
「思ってるよ?逆にユカちゃんは自分の立場分かってる?」
「は?あんたの下にまでついた覚えはないんだけど?」
「そんな事言うんだ。私が債権者様なのにねー」
「……はあ?」
ユカちゃんは訳が分からなさそうにしてる。
ここら辺でネタバラシしましょうかね。
「ユカちゃんがこの前家出しようか悩んだ借金って、実は私が情報を仕入れてからお金を出して利幸お義父さんに権利を買い取って貰ってたの」
「それって、私の実家への取り立ては……」
「その時点でもう債権者は私たちだったねー。ユカちゃんときょーくんは、きょーくんが利幸お義父さんに相談して一旦解決したんだと誤解してるけど、実は状況は何も変わってない訳」
「くっ……」
ネタバラシを聞いて、ユカちゃんの一層憎そうに私を睨んで来た。
泣きそうな顔で睨まれても全然怖くないんだけどね。
「それで、今更なんでこんな真似する訳?」
「心当たり無いの?ダメだよー、きょーくんは皆の為に切り分けたパイなのに真ん中にある一個だけのフルーツを横取りしちゃ。お行儀が悪いにも程があるでしょ?」
「恭一を物扱いしないで!あんたがそんなんだから恭一が苦しんだのでしょうが!」
分かった風な口を。
きょーくんを育てた私には、きょーくんの将来を決める権利があるんだよ。
言っても分からないだろうけど。
「まあいいよ。今からそんな口聞けないように調教してあげるから」
「……っ、助けて恭一!」
「無駄だよ。このシェアハウスが部屋毎に防音処理されてるのを忘れた?」
さっきの事の最中だって散々きょーくんに助けを求めても来なかったのを忘れたのかな?
そのまま私がもう一度ユカちゃんを調教しようとした瞬間。
不意に部屋のドアが開いた。
「……何してるんだ?」
そしてドアの前に立っているきょーくんが引きつった顔で聞いて来た。
あちゃー、バレちゃったかー。
声は届いてないはずなのに、呼ばれた時に現れるとか少しロマンチックなんじゃない?
まあ、最初に呼ばれた時は来なかったからちょっと手遅れだけど(笑)
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