五章・心移りされるまでが(逆)NTRです
第1話【裏・動き出す邪悪】
【Side.イチゴ】
「うわああああああっ!!!きょーくんが寝取られるぅ!!!」
私は自分の部屋のベッドの上を転げ回った。
理由は勿論、きょーくんの気持ちがユカちゃんに頷き掛けて本気で寝取られそうだから。
中学の頃に田中だったか中田だったか名前も思い出せない女子に浮気された時とは比べ物にもならない程感情が昂ぶった。
「ああああああああぁ」
田なんとかの時は、きょーくんが脅されて仕方なく浮気したのを知ってたから、まだ余裕があった。
でも今回は浮気所じゃなくて本気できょーくんの気持ちがユカちゃんに頷きかけてる。
きょーくんの気持ちが離れる事の悲しみ、私への気持ちを忘れかけたきょーくんへの怒り、抜け駆けしてきょーくんを搔っ攫おうとするユカちゃんへの怒り、きょーくんの気持ちを繋ぎ止められなかった自分への不甲斐無さ……。
色んな感情が混ざって渦巻く。
つまり……
「凄く興奮する……!」
既にこの興奮と、もしもの未来をオカズにもう何度も一人で致した。
「……はぁ、……はぁ」
この楽しさ……、他の子にも分かって欲しい。
特にアリアちゃんとか。
ユカちゃんとリナちゃんはあまり適性無さそうだもんね。
でもユカちゃんはいい仕事をしてくれたよ。
最初は長沖何某に色目を使われた報復で、そいつの幼馴染だったユカちゃんをきょーくんに寝取らせただけで、きょーくんを本気にさせる本命はアリアちゃんだと思ってたのにね。
やっぱりアリアちゃんが私を人質に脅して好感度マイナスから始めたのはハンデがデカ過ぎたかー。
一方、ユカちゃんはきょーくんの前では大体可哀想な子やいい子を演じてて、コツコツときょーくんからの好感度を稼いだからね。
きょーくんは真面目な分、受けた好意は好意で返すから割とチョロいもん。
交際初期ではアリアちゃんを毛嫌いしたのに、今まで色々して貰った事があってもう差し引いて好感度ゼロからちょっとプラスになったしね。
逆に、私がきょーくんのハーレムを作ったりしてきょーくんの不信感を買うような真似をして来たから、きょーくんの私への好感度は減るばかり。
これは心移りされてもしょうがないね!
こういう風に他の女子に好感度を抜かれるのが寝取られの醍醐味だけど。
ただ、このままだとユカももっとアクションを起こしたりしないだろうし、きょーくんも義理に縛られたままだから停滞するだけ。
それではつまらない。
「さて、そろそろ動きますか」
色々落ち着いた私はパソコンを立ち上げて別の仕込みを始めた。
ユカちゃんには本気できょーくんを寝取ろうとしたお返しをしてあげないとね。
本当に今までにないくらい興奮出来たんだから。
もう少し背中を押してあげよう。
私の調べによると、ユカちゃんのお父さんはあの長岡と友達で、隣同士の家を買う時には長岡家はローンを組んでユカちゃんのお父さんがその連帯保証人になってる。
でも長岡のおじさんはローンを組んだ甲斐もなくバカ息子の所為で離婚し、家は慰謝料としてリナちゃんのお母さんに渡したままローンだけ抱えて引っ越した。
その借金も今、矯正しようと連れ出した長岡何某が脱走して、そいつの捜索に忙しい所為で、返済所ではない。
つまりそろそろローンの取り立てが斎藤家に向かう訳。
そこでウチのお父さんか利幸お義父さんにお願いしてこの借金の債権を買い取って(お金は勿論私のお金を使うけど)、裏から斎藤家を追い詰めれば……。
ふふふ。
ユカちゃん、どうするのかな?
きょーくんかアリアちゃんに金の無心をする?
でもそうしたらただでさえ対等とは言い難い関係が、ハッキリと序列を付けられた不健全な物になってしまう。
きょーくんは気にしないだろうけど、アリアちゃんは一生マウント取るだろうね。
それとも自分と家族だけで何とかするのかな?
でもこのシェアハウスで同棲しながらバイトしたら、ユカに集中してた家事の負担が他の皆に向いて居心地悪くなると思うけど。
で、どうするにしてもきょーくんは黙っていないだろう。
二人がどう踊るのか、楽しみだねー?
――――――――――
という訳で、五章にして第一部最終章が始まります
章タイトルも話サブタイトルもこれだ!と思うのがなくて後付けになります
なんか今回も見積りが甘くて書き溜めしてたらもう20,000字越えてしまったんですが……
一先ず仮の完結までよろしくお願い致します<(_ _)>
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