第11話【裏・アリアの誤算と報復】
【Side.アリア】
私、花京院アリアに新しい玩具が出来ました。
その名前は、宗方三明。
私と恭一に代わる学校の広告塔として呼び寄せた人です。
もう片方であるアイドルの花村リンゴさんは、残念ながら転入して間もなく学校を去る事になりましたが。
まあ、私としても恭一さんにおイタするような人を、私の
宗方三明さんがどんな人か説明するなら……端的に言えば負け犬です。
ええ、恭一さんほどではありませんが優れた容姿を生まれ持ち、中規模の会社の社長を親に持って生まれた、勝ち組に近い人生を歩んでいるのに。
肝心な恋愛では幼馴染の伊藤さんを恭一さんに取られた負け犬なのです!
そして私こそが恭一さんの正妻(予定)で、伊藤さんはただの愛人!
容姿や成績、家柄などではなく、恋愛においてハッキリと他の女性が私の下だという実感……!
しかも伊藤さんもただの有象無象ではなく、宗方さんのような人に求められる程の人材!
女としてのプライドが満たされます。
ふふふ……イチゴさんにはいい事を教えていただきました。
彼氏にハーレム?を作ってみるものですね。
そして伊藤さんだけでなく、宗方さんもまた私の手の平の中……。
伊藤さんに振られて傷心していた宗方さんに、浮気にならない常識的なラインを守りながらちょっとだけ優しくしたら、宗方さんはコロッと私に惚れました。
恭一さんの正妻たる私も、恭一さんに負けず相応しく、異性に好かれるのに苦労しない容姿を持っているのですから当然ですね。
そしてこのまま転入を勧めた人としてのアフターケアを装い、そのアフターケアすら浮気に誤解されるのを避けるのを兼ねて恭一さんに任せ、宗方さんが私に尻尾を振る様を見下して。
一番盛り上がった瞬間に、私と恭一さんの関係と、今までチャットしていた相手の正体を宗方さんに明かして絶望の底へ落とすつもりでしたのに……。
「あああああああっ!学校での、恭一さんの恋人の座があああああっ!!!」
まさかこんな事になるなんて!
どこの誰かは知りませんが……恐らく、宗方さんの可能性が高いですが。
恭一さんの不貞を告発して糾弾するつもりなのか、恭一さんが伊藤さんと一緒にホテルを出入りする写真を学校に回されました。
そしてそれが巡り巡って恭一さんと伊藤さんが付き合っている既成事実になってしまうとか!
写真にこそ写ってませんが、あのホテルには私もいましたのに!
非常に不味いです。
このままですと私たちが三年生になる時期、つまり私や恭一さん目当てに学校へ来た新入生や転入生が後戻り出来ないタイミングで私と恭一さんの交際を明かす計画に支障が出ます。
恭一さんの女性関係が乱れているという噂は、あくまで「~かも」の段階止まりですからギリギリ大丈夫でした。
しかし公然と複数の相手と交際していると知られるのはまずいです。
やはり世間に指をさされてしまいますから。
そうなりますと、恭一さんは色んな女子を毒牙に掛けたクズに、私はそんな人に傷物にされた人を見る目のない女になってしまいます。
だからこそ、私も恭一さんも来年までは誰とも付き合っていない事にしていましたのに。
「一つしか無い恭一さんの公式の恋人の座があああぁ!」
こうなってしまうと、伊藤さんも吉田さんみたいに排除するしか……!
「死体蹴りしたくて半端に生殺しなんてするからそんな事になるんだよ、アリアちゃん」
リビングのソファで転げ回りながら考えていると、別のソファに座っていたイチゴさんにそう言われました。
「むぅ……。でも、こんな飛び火の仕方をするとは予想出来ないじゃないですか。精々恭一さんの二股を突かれた時にそんな事ないと切り返す事しか予想しませんでしたのに」
「そういう所が甘いの。余裕ぶってたからきょーくんが付けられてあんな写真取られる事になったんでしょ?」
「じゃあどうすれば良かったのですか」
「私ならー、あの宗方
「そうなのですか?」
驚きです。
写真の犯人の正体ではなくて、それを難なく掴んでいるイチゴさんの能力に。
今まで見せつけられて来たイチゴさんの能力からすると、当てずっぽうなどではなくしっかり証拠を掴んでの言葉でしょう。
「まあね。何のつもりかは……想像出来るけど、裏で色々動いているみたいだね」
「むぅ」
そう言えば少し前にお父様から、宗方家が私を狙ってるみたいだから気を付けるようにと言われた事がありましたね。
聞いた時は何が出来るのかと笑って流しましたが、まさか恭一さんの方を狙って来るとは。
この仕返し、どうしてやりましょうか……。
「ねえ、アリアちゃん」
「はい。どうかしましたか?」
「あの宗方のおじさんの事だけど、私に任せてくれない?」
「あら、イチゴさんがやってくださるのですか?」
意外ですね。宗方さん絡みの遊びは、全部私に任せきりにするのかと思いましたが。
「まあね。実は私も、きょーくんを突かれたのにはちょーっと怒っているんだよねー」
イチゴさんは言葉通り怒っているのか、真顔で手前のタブレットPCを睨んでいます。
恐らくそのタブレットPCで仕返しする為の色んな準備をしているのかも知れません。
「そうですか。ではお任せします」
どの道、私が仕返しするとしても家やイチゴさんの力を借りる事になると思うので、最初からイチゴさんに任せた方が早いでしょう。
「任せて。それとだけど、国光先輩の事はどうするつもり?」
「ああ、あの羽虫さんですか」
それだけじゃなく、恭一さんが生徒会副会長になった辺りからさらにしつこく私や恭一さんに付き纏っています。
何故そうしているのかは容易に想像出来て、だからこそ羽虫と呼んでいるのですが。
今までは一定の道理を守って来たので
「彼女には、今まで見逃してあげたツケを払っていただくとしましょうか」
ふふふふふ。楽しみですね?
―――――――――――――――
アリアたちも知っている国光先輩の真意は、ちょっとネタバレになるかもと思いボカしました
……まあ、徹底して隠した訳でもないので、もう察している方も多いと思いますが
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