第2話【感染する歪み・後】

 引き続きスイートルームで私と恭一さんが各々くつろぐ途中、私はイチゴさんに連絡を入れました。


 本当の所、今日は性交渉するとしても前戯だけで終わらせるつもりでしたけど、先ほどセリフを呟かれた事で興奮し過ぎて気が変わりました。

 今日は最後までします。


 二人きりのデートではなくなりますが、イチゴさんに少し手伝っていただきましょう。


『ごめ~ん。今日は呼ばれないと聞いてたし、今忙しいからそっちに行けないの』


 えっ。


 しかしイチゴさんに呼び出しを断られました。


 今までは予定があっても、恭一さんと性交渉する為と言えば予定をキャンセルしてでも来たというのに。


 それじゃ、恭一さんとの性交渉はどうすれば……。


『私の代わりに、ユカちゃんを呼ぶのはどう?』


 むっ。


 ユカさんですか……。


 恭一さんはユカさん相手でもアレが大きくなるのでしたね。


 理由はまだ検証中だとイチゴさん言われましたが、真の恋人である私を差し置いて愛人相手にばかりそうなる事には思う所がありますが……。


 それにユカさんを呼ぶという事は、恭一さんが私に大きくならないという情けない事実を明かすという事です。


 知られては舐められるに違いありません。それでは奥の仕来りが乱れます。


 仕方ありません。今日は前戯だけで我慢……。


 我慢……


 ……出来ません!


 体の奥の欲求に突き動かされる様に、スマホを操作してユカさんを呼び出してしまいました。


 我が家の運転手にユカさんの迎えをお願いして、ユカさんはすぐに到着しました。


「マウント取るつもりで呼んだのかと思えば…………はあ?あんたバカなの?女として情けなくない?私が言うのもあれだけど、素直に恭一の事は諦めて他の相手を探した方が良くない?」


 そしてスイートルームに入って来たユカさんに情事……こほん、事情を説明すると、案の定ユカさんから厳しい言葉を言われました。


 そうですね。そう言われるのが普通ですよね。


 こういう事を言わずに私を手伝ってくれると言ってくれたイチゴさんの優しさが今になって身に染みます……。


 やはりイチゴさんは私のかけがえのない親友だったのですね。


 ……それでもいずれ追い払いますが。


 それはともかく今はユカさんです。


「お願いします……。恭一さんと最後までしたいのです。学校で便宜を取り計らったり、金銭での支払いなど、私に出来るお礼はしますので……」


 私は頭を下げてお願いしました。


 く、屈辱です……!


「はぁ……」


「アリアさん……」


 ユカさんだけでなく、恭一さんにまで哀れみの目で見られていう気がします。


「お礼ね、それじゃあ……」


 ユカさんが私に近寄って肩に手を乗せました。


「私もあんたの後に、ここで恭一に抱いて貰おうかしら。ウチはお金あんまり無いから、こういった場所とも一生縁が無いだろうからね」


「ぐっ……」


 よりによってイチゴさんと同じ様な条件を……。


 これならお金で済ませられる方がよっぽどマシです。


「嫌なら帰るけど。あ、返りもあんたの所の車でね」


 しかしユカさんがイチゴさんと違う所は、断られても残念ではないという点です。


 彼女は恭一さんの愛人になった過程や状況がイチゴさんとは違うので、スケジュールさえ合わせれば私の顔色を窺わずに恭一さんとデートして最後まで致す事だって出来るので。


 あの時はイチゴさんの言葉に流されるまま契約を緩く結びましたけど、もっと厳しくするべきだと後悔します。


「……分かりました。それでいいです」


 私は苦渋の思いでユカさんの条件を受けました。


「うわっ、まさか本当に受ける訳?女としてのプライドが無いの?」


「俺とするために俺を売るのか……」


 その際に、恭一さんとユカさんから引かれた様な目で見られましたが。


 それでも恋人とのスキンシップは重大事案なのです!


 ………。


 ………。


 ………。


 はああ………。


 気持ち良かったです……。


「終わった?じゃあ、次は私の番ね。私は他人に見られる趣味は無いから、あんたはそのまま寝てなさい」


 ユカさんを交えた私と恭一さんの行為が終わった後。


 ベッドの上で精魂尽き果てた私に、ユカさんが布団を被せました。


 そのまま隣のベッドで恭一さんとユカさんが動く気配がします。


 私も恭一さんが他の女性とするのは見たくなかったので、布団を被って寝て過ごそうとしましたけど……。


 どうしても隣から恭一さんとユカさんの声や行為の音などが聞こえて……


 恭一さんが私やイチゴさん以外の女性とする時はどんな感じになるのか、その……少し気になりました。


「………」


 結局寝付けなかったのでこっそり布団を持ち上げ、恭一さんとユカさんの行為を覗き見て……


 ………


 ………ああああ


 ああああああああああああ


 恭一さんが!私の恭一さんがぁ!


 胸を締め付けられる様な気持ちのまま、見なければ良かったと後悔しながらも目を逸らせません!


 あの!あの胸のお化けが!


 生まれ持った体で恭一さんを誘惑するとか、卑怯なああああ!!!


「……ん?アリアあんた……何見てんのよ……。しかも自分でしながら……」


「……はあ……」


「えっと、これはその……ごめんなさい!」


 結局恭一さんたちにバレて、色々気まずい思いをしてしまいました。




 後日。

 私は恭一さんとの性関係を少し考え直しました。


 一刻も早く、二人だけで最後まで出来る様になりたいと。


 その為にはやはり、何よりも恭一さんの限定的不能の原因を究明する必要があります。


 病院に行く事は……出来れば避けたいです。


 だって、彼が他の女性とは問題ないのに私だけには大きくならないと言ったら、何故他の女性だと問題無いと分かるのか突っ込まれるのを考えると、恥ずかしくてとても相談出来ません。


 ならやはり、イチゴさんの言う通りサンプルとデータを集めないと……


 出来ればイチゴさんやユカさんよりも私に都合良く扱える人だといいですね。


 では早速恭一さんに宛てがっても良さそうな相手を探しましょう。


 どんな人がいいでしょう。どうせなら見栄えのいい相手を……はっ。


 ……け、決して!


 恭一さんがイチゴさんやユカさん以外の女性と致す所も見たいとか、そう訳ではありませんからね!!!


 ―――――――――――――――

 ハーレムってヒロイン側からしたら(逆ハーレムでも性別逆転して)、寝取られマゾの天国だったり寝取られマゾ養成所だったりするんじゃないかと、これ書いてて思ったりしました(歪み)


 軽い次回予告として、次2話分は信号娘の黄信号金髪、鈴木優里メイン?の小話です

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