第21話『――死・すべてに絶望しろ』
今話、長岡修二に移入し過ぎると胸糞悪い話になりますのでご注意ください
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【Side.長岡修二】
葛葉への糾弾に失敗してから数日。
処分待ちの間は仮処分として停学となり、俺は学校にも行けず、家からも出して貰えず、そもそも外に出る気力もなかったので部屋に引き籠っていた。
今日も今日とて無気力にスマホをいじっていると、不意にレインの通知が来た。
ユカのアカウントからの画像付きメッセだ。
今までユカやマイに何度も弁解のメッセを送ったのに未読スルーされてたけど、やっと返事してくれたのかと思い、何気なしにチャットルームを開いた。
そして目に入ったのは、マイが葛葉と一緒にラブホらしき場所に入る写真だった。
「は!?」
だるかった目がパッと覚めた。
写真はその一枚だけじゃなくて何枚もあり、他の写真はどこかしらの部屋でマイが服を脱ぎ出す写真だった。
これがラブホに入った直後の写真なのか、誰と一緒にいるのかも分からないし、マイが服を脱いだ後に何かをする写真は無い。
けど、十分過ぎるくらい危機感を煽られた。
「嘘だろ、まさかマイまで……!」
高鳴る胸の音が聞こえる。
俺はすぐマイに電話を掛けた。
………
…………
………
けど反応が無い。
ちょっとだけ冷静になって時間を見たら午前授業の時間だった。
「すぅー、はぁー」
俺は深呼吸して気持ちを落ち着かせ、しかし悶々としながら昼休み時間を待った。
そして昼休み時間になってすぐマイに電話を掛けた。
けど電話に出ない。
昼休み時間が終わるまで掛け続けても出ない。
「クソっ」
居ても立っても居られなくなり、俺は親に隠れて学校に向かった。
学校の正門に着いてすぐ教室まで行こうとしたけど。
「長岡修二!君は停学中だろ!大人しく家に帰りなさい!」
校門で警備の人たちに捕まり、また親を呼び出されて家に帰されてしまった。
結局マイには会えなかった。
所か親の監視がより厳しくなって、家の中なら出歩けたのが部屋からも出られなくなった。
「父さん、母さん!頼む!マイに会いたいんだ!家から出させてくれ!」
「あんたが何するか分からないから家からは出さないよ。でも、マイさんには私が連絡してみるから大人しく待ってなさい」
母さんに頼み込むとそう言い付けられて待ったけど、帰って来たのは「会えない」との言葉だった。
レインも反応が無いままだ。
クソっ、俺が部屋から出られなかった間に一体何があったんだ!
葛葉の奴、ユカにアリアさんに続いてマイにまで手を出しやがって!
奪うなら他の奴の女子を奪えよ!何で俺ばかり!
一体俺に何の恨みがあるんだ!
今すぐにでも葛葉を殴りに行きたいけど、残念な事に今は部屋からも出して貰えない。
しばらくは大人しくしているしかない……けど、こうしてる間でもアリアさんたちに葛葉の魔の手が!
その時、またもレインの通知が来た。
今度はマイからのメッセージだった。
すぐにチャットルームを開くと、またも写真だけだった。
そしてその写真は、夜みたいな闇の中のベッドで下着姿のリナが裸の葛葉に抱き付いて寝てる写真だった!
「うわああああああ!!!!」
リナまで!まさかとは思ったけど本当にリナまで!
子供の頃は俺と結婚するって言って、同じ事言ってたユカと喧嘩してたのにぃぃ!!!
「修二!うるさいよ!静かに反省してなさいって言ったでしょ!」
俺の叫び声を聞いたのか、母さんが部屋に怒鳴り込んで来た。
そうだ!母さんにこの写真を見せれば!
「母さん、これを見てくれ!リナが葛葉に!」
「はあ?……って修二!!!あんたなんて写真持ってるの!」
でも母さんが俺の予想とはズレた方向で怒りだした。
「え?はっ、まさかまた!」
俺は生徒会室での事を思い出し、スマホの画面を確認した。
画面ではリナと葛葉が寝てる写真が消え、リナがこの家の自分の部屋で一人で寝てる写真が映ってた。
しかも半脱ぎの下着姿で!
またやられた!
フリーアプリだけどワクチンアプリも入れたのに!
これじゃあ、俺が寝てるリナに悪戯してたみたいじゃないか!
「ち、違うんだ母さん!これはあいつの罠なんだ!」
俺は弁解しようとしたけど、母さんに頬をぶたれてしまった。
「うるさい!中学まではバカで女の子にだらしなかったけど、それでもいい子だったのに、どうしてこうなったの……」
「母さん!待って―」
母さんは俺の言葉を聞かずに泣きながら部屋を出て行ってしまった。
終わった……
俺はもう親からも信じて貰えなくなるだろう。
もう一度スマホの画面を見たら、まるで俺を嘲笑う様にまた写真が変わってた。
さっきの下着姿のリナが、上半身だけに見切れてるけど裸の葛葉にキスしてる写真に。
クソっ!
何でよりによってマイのアカウントで送られて来るんだよ。
本当にマイも葛葉の手に落ちてしまったのか?
一瞬、葛葉の奴を刺しに行く事も考えたが、これ以上親を悲しませられないので踏み出せなかった。
縋る様に窓の外を見たけど、正面に見えるユカの部屋のカーテンにユカと葛葉の影が重なる場面を幻視してしまった。
俺はさらに落ち込み、カーテンを閉めてベッドにもぐりこんだ。
アリアさんもユカもマイもリナも皆俺が先に好きだったし、間違いなく両想いだったのに、今じゃ誰もいない……
皆どうして俺を捨てたんだ……
もう何もかもダメだ……
いっそ殺してくれ……
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転落で合わせるつもりでしたけど、分割して増えてもう一文字付け加えました
次回、マイやリナの写真とかのちょっとしたネタバラシ編になります
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