第19話『転――・俺はラブコメの主人公かも知れない』

 視点語り手の身勝手な解釈が多いですのでご注意ください

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【Side.修二】


 俺、長岡ながおか修二しゅうじは今モテ期の絶頂にいる。


 幼稚園の頃からの幼馴染のおっぱいが超デカい斎藤さいとう由華ゆかとは今でも仲がいいし、父さんの再婚で出来た義理の妹の理奈りなもいる。


 勉強を頑張って私立悠翔高校に特待生として入学した後は、電車通学中に痴漢から助けた茶色いショートヘアのもり舞衣まいとも仲良くなった。


 そしてみんな可愛い。


 それで俺は確信した。


 今、俺はラブコメの主人公みたいなモテ期の只中にいると!


 今の段階でユカかマイのどちらかと付き合っても良さそうだけど、まだモテ期は続きそうだし、もっといい子が現れるかも知れないから、じれじれした友達の関係を維持キープしている。


 モテ期が続く証拠として、終業式の日も廊下の曲がり角でぶつかるイベントがあったので、その子を保健室に連れて行ってあげた。


 もしかしたらそれであの子にも惚れられたのかも知れない。


 三つ編みに眼鏡を掛けた地味な子だけど、俺には分かる。磨けば光る子だと。


 だけど二学期始業式の日に声を掛けたら避けられてしまった。


 空き教室に誘い込んだのかと思ったけど、ドアまで閉められて。


 照れたのかな?


 そしてついに、俺に本命の子が出来た。


 その相手は花京院かきょういんアリアさん。


 俺の通う私立悠翔高校のお姫様とも呼ばれている金髪の超美人さんだ。


 俺は夏休みの時、彼女を学校一のチャラ男である葛葉くずはのナンパから救ったのだ。


 これってヒロインに惚れられるラブコメ的なイベントに違いないよな!?


 このまま逆玉行けるよな?


 そんで悠翔高校の理事長もしている花京院家の婿になれたら、その財力でハーレムとかも行けるかも!


 だから俺は二学期が始まってから積極的に花京院さん、いやアリアさんにアプローチした。


 けどその度にアリアさんの周りにあのチャラ男、葛葉恭一きょういちの影がチラつく。


 葛葉は金に物を言わせて俺から義妹のリナを奪った憎き宿敵だ。


 そんな葛葉からアリアさんを守るために、あいつを押し退けて生徒会に入ろうとしたらアリアさんにビンタされた。


 思うに、アリアさんは人に言えない弱みを握られて葛葉から脅されているに違いない。


 リナだって葛葉に手籠めにされてあれこれ悪い事を教え込まれ洗脳されて、今のリナは俺を嫌ってるからな。


 聞けば葛葉の奴は彼氏持ちの女子を寝取って、その女子がギャルになってるって話じゃないか。


 絶対間違いない。あいつは人の女を奪って嗤うクズ野郎だ。


 そのクズ野郎からアリアさんたちを助けないと!


 そう思って署名を集めて葛葉に勝負を挑んだけど、敗れてしまった。


 アリアさんがこっそり俺を応援して、勝負内容を俺の得意なテニスにしてくれたのに!


 しかもその所為でアリアさんから見限られてしまったかも知れない。


 俺じゃアリアさんを葛葉から助け出せないと、そう思われてしまったのだろう。


 でも最後の情けなのか、勝負の時に賭けてしまった特待生辞退は見逃してくれた、


 思うに、特待生じゃなくなればこの学校にもいられなくなるから、学園に残れる様にして俺の再起に期待したのかも。


 期待を裏切らないで自分を磨かないと!


 そう意気込んで自分磨きをしようとしたら、一つの難題にぶち当たった。


 自分磨きって、何をすればいいんだ?


 顔……は今更どうにも出来ない。精々髪型をいじれるくらいだ。


 運動能力だってジュニアテニス大会に優勝出来るくらいある。


 頭だって、特待生になれるくらいに良い。


 割とハイスペックな俺がこれ以上何をどうすればいいんだ?


 喧嘩か?でも暴力に訴えたらアリアさんに堂々と胸を張れなくなる。


 分からなくなったので友達のマイに相談してみた。


 ユカは……彼女が特待生資格に拘って俺を見捨てた事でちょっとギクシャクしてるからパスした。


「男を磨くなら、私と付き合ってみる?」


「へっ?」


 そしてマイから意外な提案を受けた。


「修二くん、女の子と付き合った経験ないよね?でも葛葉さんは色んな女の子と付き合って経験も多いだろうから、そこで差を付けられるかも知れないよ?」


「それは……」


 確かにマイの言う通りだ。


 いざアリアさんを助け出せても、その後に女性経験の差で葛葉と比べられるかも。


「だから、練習として私と付き合おう?」


 練習でも付き合うとなると……もしかしてエッチな事も出来るのか?


 思わず、唾を飲み込んだ。


「……分かった。よろしく頼む」


 こうして俺は、練習としてマイと付き合う事になった。




 その直後。ユカがイジメられ始めた。


 流石に毎日、ユカの机にゴミが入ってたら誰だって気付く。


 助けようとしてたけど、マイに止められた。


「修二くんが出張るとイジメが激しくなるよ」


 と言われたから仕方なく見守るだけにした。


 イジメは露骨になってたので先生が動いてくれるのを期待してたけど、動いてくれなかった。


 既にイジメは起こってしまったので、それが発覚すると責任を問われるかも知れないから無視してるかも。


 クソ教師が。


 アリアさんに直接相談しようともしてたけど、まだ見限られたままなのか話を聞いてくれなかった。


 仕方なく指を咥えていたら、いつの間にか葛葉がユカを囲い込み、それからイジメがピタリと止んだ。


 調べてみると、イジメてた主犯は葛葉のファンみたいだった。


 つまりこのイジメは、葛葉がユカを口説く為に仕組んだマッチポンプ……?!


 俺はすぐにでも葛葉からユカを取り戻そうと葛葉の教室に行ったけど、ユカから拒絶されてしまった。


 ユカがイジメられてた時に、俺が見て見ぬふりしてたからと。


 そのイジメ自体が葛葉のマッチポンプだと教えても信じてくれない。


 畜生!葛葉の奴、リナに続いてユカまで奪いやがった!


 このままだとマイも狙われるかも知れない!


「頼む!エッチさせてくれ!」


 危機感を覚えた俺はマイまでも葛葉に奪われる前に、と早速マイに頼み込んだ。


「ええ……今テスト前だよ?もう少し時期考えない?」


「ダメなんだ!いつマイがあいつの毒牙に掛かるか不安なんだ!マイの初めてが欲しい!」


 そのままマイの肩を掴んで迫る。


 けど、マイは怯えた顔で俺を押し退けた。


「……ごめん、私たちが付き合ってるのって練習だよね?そこまでするつもりじゃなかったし、……そういうの、まだ怖いから」


 マイの言葉を聞いて思い出した。


 マイは痴漢されてた事で、男に触れられるのが怖くなってたんだと。


「いや、こっちこそごめん。俺、焦ってた……」


「いいよ、修二くんの気持ちも少しは分かるから」


 少し間を置いて落ち着いた俺とマイは、俺の部屋でテスト勉強する事になった。

 エッチ出来ないのは残念だけど、それでもイチャイチャ出来てるし、後でユカを取り戻してからやらせて欲しいとお願いすればいいからな。


 そう思って俺の窓向かいのユカの部屋の窓を見ると、カーテンから二人分の人影が重なった様に見えた。


 片方は胸の大きさからユカだと分かるんだが、もう一人は誰なのか分からない……


 あの背丈、もしかして……男?


 気のせい……だよな?ユカが家族と話してただけだよな?


 まさか葛葉に食われてるなんて……ないよな?


 本当にそうなる前に早く葛葉を倒さないと!


 ユカのデカおっぱいは俺が揉みまくるんだからな!


 アリアさんもリナもユカも全部取り戻す!


 それにあの眼鏡っ子も仲間外れだと可哀想だから仲間に入れてあげよう。


 次の中間テストで勝負だ!


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 色々ブレまくって長岡修二がどんなキャラなのか作者もよく分からなくなってたので、長岡を掘り下げる為に書いたものですけど……いかがでしょうか

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