第6話『義妹は見た!』

【Side.リナ】


 目を覚ますと、知らない所だった。


 体を起こすと、あたしが毛布を掛けられた状態でソファに寝かされていたのだと理解する。


 ここって……ああ、花京院さんの家に遊びに来て、色々遊んでたら寝落ちしたんだ。


 回りを見回すともう夜中なのか真っ暗で、誰もいなかった。


 おトイレ行きたかったんだけど、どうしよう……。


 自分で探すかぁ。


 枕元にあったスマホを取りライト代わりにして、家の中を捜索し始めた。


 この家、広いし部屋の数も多すぎるよ……。


 迷っていると、微かに人の声が聞こえた。


 これって、花京院さんの声?


 まだ起きてるのかな、ちょっとおトイレの場所を聞きに行こうっと。


 そのまま声の聞こえる方へ向かった。


 そして声の聞こえるドアの前に着いて、その時になって違和感に気付いた。


 ドアの向こうから明かりが漏れてないのに声は聞こえていて、聞こえる声が艶かしい事に。


「恭一さん…!恭一さん!」


 えっ、恭一兄さんもいるの?


 って、この声はもしかして……。


 部屋の中で行われてる事にある予想が立った。


 本当ならここまま立ち去った方がいいだろうけど、あたしは好奇心に流されるまま音を立てない様に気を付けて、恐る恐るドアを少しだけ開いた。


 部屋の中でには、窓越しの月明りに照らされた三人の人影がベッドの上にあった。


 恭一兄さんが花京院さんを組み伏せていて、その恭一兄さんにイチゴ姉さんが抱き付いている。


 やっぱりエッチしてるー!


 てこれ3P!?


 公認二股みたいな事を聞いた事あるけど、ここまでしてたの!?


 昔お兄ちゃんが隠し持ってたエッチな本を押収して捨てる前に読んだ事があって、こういう事の知識もちょっとはあるけど、目の前の光景はその時の本より凄かった。


 恭一兄さんのアレって大きいっ。


 小学六年までお兄ちゃんと一緒に風呂に入ってたけど、その時に見たのよりずっと大きいっ。


 そのまま三人のエッチを夢中になって見てたら、


 ふとイチゴ姉さんと目があった気がした。


「ひっ」


 急に怖くなってその場から逃げ出した。


 それから適当なドアを開けるとその中がトイレだったので、そのまま明かりを付けて入り座便器に座った。


 うわ、恭一兄さんに買って貰ったお気に入りの下着が濡れてるし、指もペチャペチャ……


 無意識の内に自分でしてたんだ……


 ちょっと自己嫌悪。


 でも凄かったな……


 やっぱ恭一兄さんくらいのイケメンになると恋人も一人じゃ収まらないのかな?


 ……三人目とか募集してないのかな。






【Side.イチゴ】


 長岡何某から奪って新しくきょーくん義理の妹にしたリナちゃんだけど、拍子抜けするくらいにすぐ仲良くなった。


 長岡家で暮らしてたときがどんだけ貧乏だったのか、普通に奢ったり生活に必要な物を買い揃えてあげるだけでコロッと心を開いたのだ。


 チョロ過ぎんか?


 今までアリアちゃんが一番チョロいと思ってたけど、その記録を更新してしまうとか。


 確かに服とか化粧品とかスマホとか、ちょっと高めの物を買ってあげたけど、品質を考えると必要な物を選んだつもり。


 私基準では物で釣ったと言う程でも無く、まだそのつもりも無かったけど、そんな形になってしまった。


 いい方に想定外。


 で、支払いはきょーくんに任せてたし、私の金だってのも内緒にしてたから、リナちゃんは尊敬する眼差しできょーくんを見つめた。


 イケメン補正もあっただろうけど、お金持ち補正も強かったと見える。


 頑張ってネットで稼いだ甲斐があったね。


 それからリナちゃんが一度長岡家に行ってた時に、長岡何某と喧嘩したらしい。


 きょーくんの悪い噂が原因だとか。


 それを私に説明するリナちゃんは全面的にきょーくんの味方をしてて、言葉の節節に長岡何某をきょーくんと比べて下げる感じがあった。


 まさか、私がリナちゃんを動かすよりも前にここまで勝手に進んでくれるとはねー


 これはもう、特別な事をしなくても長岡何某よりもきょーくんを取るね。


 長岡何某~、妹取られてどんな気持ちかな~?




 それから、アリアちゃんに誘われて皆でアリアちゃんの家に遊びに行く事に。


 アリアちゃん、きょーくんだけでなく私も誘ってお泊りを言い出す所、ナニ目当てなのか透けて見えるよ?


 私がいないときょーくんと出来ないもんね~


 それからアリアちゃんの家で普通に遊んでたらリナちゃんが先に寝落ちした。


 慣れない人の相手とその家で緊張してて気疲れしてたんだろう。


 リナちゃんをソファに寝かせた後、私ときょーくんはアリアちゃんの寝室に誘われた。


 それを聞いて私たちは(やっぱりかー)って思った。


 んで、致してたらドアが少しだけ開いてる事に気付いて、リナちゃんと目が合った。

 すぐ逃げられたけど。


 きょーくんとアリアちゃんは気付いて無いみたい。


 見られた事にはあっちゃーって思いはするけど、後々似たような仕込みをするつもりはあったので焦りはしなかった。


 でも、しばらくはリナちゃんにきょーくんを貸してあげるつもりは無い。


 私がリナちゃんに求めるのは、きょーくんと長岡何某を比べてきょーくんが上だと長岡何某に見せつけさせる事。


 別にきょーくんを貸してあげなくても、リナちゃんは超絶イケメンの妹になり今までの貧乏な生活から抜け出せた現状に夢見心地でいて、狙いが達成出来そうな今、わざわざ貸してあげる必要が無いのだ。


 まあリナちゃんも満更じゃなさそうだし、私の楽しみもあるからいずれ貸してあげるつもりはあるけど。


 時期としては、来年ウチの高校に入学した後かな?


 次は長岡何某にくっついているメス二匹だ。


 やり方は色々あるが、ある程度手段は選ばなけらばならない。


 主力の駒として使うきょーくんの気持ちの問題もあるし、アリアちゃんとの付き合いがある今じゃ、きょーくんの評判も今までより気にしなければいけない。

 あと根本的()にきょーくんは私がいないと起たないから、自然とそういう手段も制限されるね。


 弱みを握って脅すって手段もあるけど、私的には下策。


 安直に犯罪に手を染めると、逆にこちらも反撃され得る弱点が作られてしまう。

 そして失敗したら私だけでなくきょーくんの人生まで棒に振るかも知れないから無茶も出来ないのだ。


 まるでゲームの縛りプレイみたい。


 きょーくんを都合良く使って悪いけど、可愛い子と遊べるんだからそれで我慢して貰おう。


 今回ばかりはあいつを許せないから。


 絶望の底に叩き落してやる。


 二学期になったらメス二匹に仕込みを始めて、二年生になる頃にリナちゃんの事と合わせて爆発させよう。


 長岡何某、震えて眠れ……

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