第3話『あたしにイケメンの義兄が出来た!①』
【Side.リナ】
あたしの名前は
最大の理由は
最初はあたしが他所の家……正確には母さんの親戚の家の子になるなんて想像も出来なかった。
でも何処からかウチの状況を知ったお母さんの従姉妹の葛葉さんが、あたしを養子にして引き取る事を申し出て来たの。
あたしは今の家族と離れたくなかった。
でも、あたしが葛葉さんちの子になれば、家族たちの生活が少しは楽になる。
それに葛葉さんちは家計に余裕があるから、あたしが行きたい高校にも行かせて貰えるそう。
なら学費の問題で諦めていた私立悠翔高校にも行ける。
あたしが何故悠翔高校に行きたいのかって言うと、お兄ちゃんである
他に深い理由は無く、ただ今までその二人と一緒だったから高校も一緒に行きたかった。
それなら金だけ貰えばって思いもしたけど、ただで貰うには大き過ぎる金額だから借りたら返さなければならないのに返せる保証がない。
だからハッキリと扶養の義務が発生する養子に取るんだそう。
色々考えたあたしは両親に意思を聞かれた時、思ってる理由を話して葛葉さんちの子になりたいと言った。
「俺は反対だ!家計が苦しいなら俺もバイト始めて家計を助ければいいんだろ?」
それを聞いたお兄ちゃんは物凄く反対してたけど。
「修二あんたは特待生でしょ。勉強して成績を維持しなければならないし、バイトする時間ないわよ。苦労して取った特待生の資格失くしたら承知しないから」
「ぐっ……」
母さんに一蹴された。
お兄ちゃんは特待生になって学費を大分免除されているから、バイトで勉強の時間を削られて成績を落とす訳にはいかないのだ。
結局、あたしはそのまま色んな手続きを経て葛葉理奈になった。
中学校までは長岡姓をそのまま使って、高校からはちゃんと葛葉姓を使う予定。
葛葉のおばさん……新しいお義母さんはあたしを暖かく迎えてくれた。
葛葉家の子になっても、好きな時に葛葉家にも長岡家にも遊びに行っていいし、長岡家の部屋をそのままにするのも構わないらしい。
んで、葛葉家にも私の部屋を作る事になったけど、その前に別の提案を受けた。
葛葉家には息子さん……私の義理の兄になる人がいて、今は進学した高校の近くにアパートの部屋を借りてそっちで暮らしてると。
その進学した高校というのが、なんとお兄ちゃんと同じ私立悠翔高校みたい。
さらに私が今通っている中学も義理の兄がいるアパートの方が近いから、今と進学後の事を考えると先にそっちに引っ越して義理の兄と交流を持った方がいいのではないかと言われた。
義理の兄妹とは言え、男の人と同じ部屋は……と思ってると、あたしが暮らすのは義理の兄の部屋ではなくその隣の幼馴染の女性の部屋で、幼馴染さんには既に相談して許可を貰ってるそう。
どの道義理の両親も、義理の兄の幼馴染さんも知らない人だから、歳の近い人がいいと思ってあたしは提案を受け入れた。
そして義理の兄の所に着いた当日。
あたしは緊張しながらインターホンを鳴らした。
「はーい、どちらさま……」
するとドアの向こうから凄いイケメンが出て来た!
顔がいいだけじゃなくて背も高いし、細マッチョ!
こんなにかっこいい人、テレビか雑誌でしか見た事がない!
いや、そう言えば友達が持ってた雑誌の読モで顔を見た事あるかも!
え、嘘。この人があたしの新しいお義兄さん?
夢じゃ無いよね?
ドッキリでもないよね?
「あ、あの!あなたが葛葉恭一さんでしょうか?」
「そうだけど、君が俺の義理の妹になったという?」
「はいい!あたしは長岡……じゃなく葛葉理奈です!葛葉恭一さんの
何故か畏れ多い気持ちになって上半身ごと頭を下げた。
「ああ、よろしく。聞いてると思うけど、君が住む部屋はこの隣の俺の幼馴染の部屋だから。今から紹介するよ」
恭一さんは優しい顔で答えてくれて、そのまま隣の部屋のインターホンを鳴らした。
「はーい」
すぐドアを開いて出て来たのは、三つ編みに丸眼鏡をかけた地味な人だった。
「こんにちは、そちらがきょーくんの新しい妹ちゃん?」
きょーくんって、恭一さんの事かな?
物凄く幼馴染っぽい!あたしとお兄ちゃん、ユカちゃんはそういう呼び方しないのに。
「あ、はい!葛葉理奈です!よろしくお願いします!」
あたしはさっきと同じく上半身ごと頭を下げた。
「うん、リナちゃんね。私は依藤苺。きょーくんの幼馴染で、彼女で、結婚の約束もしてるから私もお姉ちゃんって呼んでいいよ?」
「えっとそれは……」
依藤さんの言葉にあたしは色々戸惑った。
初対面の人をお姉ちゃん呼びするのに抵抗があるとは確か。
でも問題はそこじゃない。
この人が恭一さんの彼女?
意外ぃ……。
言えば悪いけど、恭一さんと見た目での釣り合いが取れていない。
恭一さんって、付き合う女性の見た目は気にしない人なのかな。
意外ぃ……。
見た目の可愛いユカちゃんといつもイチャイチャしてるのに、いつまでも付き合わないお兄ちゃんとは真逆だ……。
何かこれだけで、恭一さんって良い人なのかな?って思えてしまった。
それから私は依藤さんに迎え入れられて部屋に入った。
部屋は普通の1DKだけど、住み分けすれば二人で暮らすのもギリギリ行けそうだった。
「じゃあ、タンス開けるから、リナちゃんの服入れちゃって」
「あっ、はい」
依藤さんに促されるまま持って来たキャリーバックを開いて自分の服をタンスに移す。
あたしが来る事を知ってたからか、タンスの下二段が空けられていた。
「ん?リナちゃんの服ってそれだけ?」
「えっと……はい」
あたしの服は、全部合わせてもタンス一段に収まった。
長岡家は家計が苦しくて、服も最低限しか買えなかったから。
あたしはまるで自分が想定以上の貧乏人だと思われる被害妄想で肩身が竦んだ。
「そっか……、じゃあ、少しずつ増やそうね」
しかし依藤さんはそれだけ言って、スマホをいじり出した。
あまり気にされて無いのかな。
「あ、そうだ。スマホは持ってるよね?」
「はい」
流石に中三でスマホを持ってないと、友達付き合いとか出来ないからとスマホとキャリア両方一番安いので契約させて貰ってた。
「じゃあ私ときょーくんの電話番号とレインID教えるから登録してね?」
依藤さんに教えられた電話番号とレインIDを登録した。
うわー、
これから義理の兄妹だから知っててもおかしく無いけど。
何か感激ぃー
「それじゃ、今から出掛けるからちょっと待っててね?私が着替えるから」
依藤さんは上のタンスを開けて着替え始めた。
その時ちらっと見えたけど、依藤さんの下着って物凄く色気があったし、ショーウィンドウに並ぶ様なブランド物の服もあった。
いい服を持ってるってだけで、あたしは依藤さんが羨ましくなった。
――――――――――――――
【備考】
イチゴ視点にあったリナの両親の再婚とか、修二と義理の兄妹という説明ですが
リナは再婚当時幼な過ぎたので忘れてて、修二や父親を血の繋がった家族だと思っています
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます