間章一・一年目の夏休み
第1話【怨敵遭遇。Sideイチゴ】
【Side.イチゴ】
それは終業式の日にアリアちゃんの不安を煽った後の事。
アリアちゃんがふらふらして何処か行ったのかと思えば、きょーくんのスマホに入れていた監視アプリ(本人許可済み)からアリアちゃんがきょーくんの部屋に行く事が分かった。
これは今日ついにきょーくんの本番NTRシーンが見れるのでは?
ふふふ~ん。楽しみだな~
期待感につい鼻歌を口ずさみながら廊下を歩く。
その途中、突然何かとぶつかってしまった。
「きゃっ!」
「うわっ!」
情けない声を出して尻餅をついてしまった。
「いたた……」
気を取り直してぶつかった相手を見ると、見知らぬ男子生徒がいた。
ネクタイの色から見るに同級生。
「ごめん、大丈夫?」
男子生徒は心配そうに手を差し伸べて来る。
普通なら「いえいえ、こちらこそ不注意でした、すみません~」とか言って、その手を取って立ち上がる所だろうけど……
「………」
私は無言のまま自力で立ち上がり男子生徒の横を素通りしようとする。
きょーくん以外の男に媚びるとかあり得ないからね。
けど、何処からか現れた女子生徒二人が私の前を立ち塞いだ。
「ちょっと!何も言わずに行くのは流石に失礼でしょ!」
「ちょっと、ユカ。あまり強く言っちゃダメだよ」
ユカと呼ばれたツインテールの女子が怒鳴り、茶髪ショートヘアの女子がそれを宥めてるが、どっちも私の前を塞いでるのを見るに両方私に敵意があるのは見え見えだ。
てか、ツインテールの方、おっぱいでっか!
私は着痩せする方だし、アリアちゃんも大きい方だけど、それよりもでっか!
下手したらGカップまであるんじゃないの?このツインテおっぱいめ。
「まあまあ、落ち着いて。単にその子が人見知りなだけかも知れないだろ?」
男子生徒が私を庇う様に女子二人の前に出る。
「邪魔しないで修二!こういうのははっきり謝るべきなのよ!」
「それはボクもそう思うなー」
しかしそれはまるで火に油で、女子二人はさらに強い敵意を持って男子生徒の後ろにいる私を睨み付けた。
「そんな事言わずに……、そうだ君。どっか怪我して無い?保健室に連れてってあげるよ」
突然、修何某が適当な事を言って私の手首を掴んでは引っ張って走り出す。
「あっ、ちょっと待ちなさい修二!」
その後ろを女子の怒声が追って来た。
ナニコレ。ラブコメ?
私がヒロインでこのシュウ何某が主人公的な?
いや、さっきの二人も入れてハーレムなの?
キモチワルイ。
私の主人公はきょーくんだけで十分なのに。
その後は散々だった。
保健室にて保健の先生には問題無しと言われたものの、この前きょーくんと一緒に来た事を覚えられてた。
で、保健の先生が私に「こっちにも粉掛けてる訳?」って耳打ちした時には、先生を引っ叩いてやりたかった。
診察が終わるとあの
私も保健室を出ようとしたら、例の女子二人が保健室に押し掛けて来た。
「ここにいたわね、泥棒猫」
は?泥棒猫?
それからツインテおっぱいの方は私に「ワザとぶつかるとかやる事がセコい」だの、「修二に近付くな」だの勝手にガミガミ言ってくれし、
茶髪ショートヘアはツインテおっぱいを宥めるふりしながらも、真正面では否定せず時々こちらを睨んで来た。
あの長岡何某に興味ないと否定するのも面倒で無視して聞き流す。
ただ、時々漏れ出る情報からツインテおっぱいの名前が長岡何某の幼馴染の
いや、ツインテおっぱいは顔じゃない方にも印象が強かったけどね?
「あなたたち、保健室で騒いちゃダメよ」
そうしていると見かねた保健の先生が私を二人から引き離して先に外に送り出した。
ただ、その先生も私を呆れた目で見ていて、ハーレム野郎に近付こうとした物好き扱いしてるのが見て取れた。
まったくもう!
私はきょーくん一筋なのにどいつもこいつも好き勝手言って!
億が一にでもきょーくんが誤解したらどうしてくれるの!
これも全部あの長岡
顔と名前、覚えたからな!
この恨みは忘れない。
てめぇのハーレム、ぶっ壊してやるよ!
きょーくんを使って!
その後、念願のNTR3Pが出来た事でストレスは一旦解消されたが、長岡何某たちへの恨みは消えなかった。
決めた。
長岡何某の女を全部きょーくんに寝取らせて、将来一生鬱勃起しか出来なくなるくらいに完膚なきまであいつの脳を破壊する。
女共はボロ雑巾になるまで弄んでから捨てよう。
そうでもしないと腹の虫が収まらない。
で、私は夏休みに入ってすぐに長岡何某たちの情報を探り、アレに義理の妹がいる事を知った。
名前は
で、この義妹ちゃん、実はきょーくんのお母さんの従姉妹の娘。つまりきょーくんの
そして今長岡家は母親が失業し、子供二人分の養育費で家計難。
これは付け込める、そう思った私は早速行動と根回しを始めた。
まずはきょーくんのお母さん(将来のお義母さん)に相談。
リナちゃんについて教えて、金回りは全部私が出すので彼女を葛葉家で引き取って欲しいと頼み込んだ。
理由に関しては、困ってる家庭を助けたい善意が1/3。そしてきょーくんの義理の妹になるなら、ゆくゆくは私の義理の妹にもなるから妹分が欲しいという我欲が2/3くらいだと説明すると、信じて貰えた。
後はきょーくんの両親が長岡家と相談し、長岡家は家計が厳しい自分たちの代わりにリナちゃんをちゃんと育てて貰えるならばと了承してくれた。
そのまま制度回りの手続きを経て、晴れてリナちゃんは長岡何某では無くきょーくんの義理の妹の葛葉理奈になったのでしたー
パチパチパチ
景気づけに今までリナちゃんを育ててくれたお礼金という事で長岡家にポンと大金を送りつけたかったけど、流石にきょーくんのお母さんに止められて叱られた。
「リナちゃんを金で売った感じが出るから止めなさい」と。
ちぇー、そう思わせたかったのになー
さらに言えば、リナちゃんの養育費は言い出しっぺの私が全部出すつもりだったけど、義理の親としての責務だからと、きょーくんのお父さんとお母さんも一部出す事に。
そしてアリアちゃんが家族旅行に行った翌日、私たちの住むアパートにリナちゃんが来る事になった。
これはリナちゃんが通う中学とアパートが近かった事と、リナちゃんが元々長岡何某を追って悠翔高校に進学するつもりだったので、こっちでいっしょに住む方が良いだろうという結論になったからだ。
一応、同性の私とルームシェアする事になる。
リナちゃん、どんな子かなー
きょーくんと浮気してくれないかなー
長岡何某にビデオレター送りつけたいなー
色々楽しみだなー
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