第18話【沼に堕ちろ③】
【Side.イチゴ】
アリアちゃんと別れた後、むかつく事に遭った私はすぐさま部屋に戻り、やや乱暴に玄関ドアを開けて中に入った。
でもストレスをすぐ解消出来るアテがあるのでパソコンの電源を入れる。
そしてセキュリティに見せかけてきょーくんの部屋につけた監視カメラで、きょーくんとアリアちゃんの様子を見守る。
やがてついに待ちかねたきょーくんのNTRシーンを見られるかと思いきや、……きょーくんのアレが起たなかった。
おっかしいな?
昨日私とやってた時はギンギンで何度もやったんだけどなー
まさか昨日の今日でもう枯れた訳でもあるまいし、何か理由でもあるのかな。
そんな事を考えていると流石にアリアちゃんが泣き過ぎて、きょーくんが謝って慰めても止まらなかったから、隣から聞こえた体できょーくんの部屋に訪れた。
「ちょっとー、うるさいんですけどー」
そう言いながら玄関ベルを鳴らすと、アリアちゃんの泣き声が止んだ。
間もなくドアが開き、部屋着を着たきょーくんが私を出迎えた。
「悪い、騒がせたな」
「いいけど、何かあった?」
「……それが……」
部屋に入って話を聞くと、きょーくんが物凄く気まずそうに、アリアちゃんと本番をやる事になったけど、いざ事に及ぼうとしたらきょーくんのアレが立たなくてアリアちゃんが泣いたと、大体知ってる事を説明された。
「私って、そんなに魅力がないのでしょうか……」
アリアちゃんが完全に絶望している。
まあ、好きな人と心も体も繋がれないとなるとショックだろうねー
きょーくんと心も体も繋がった私には理解出来ない事だけど。
「なんで起たないんだろうねー、私が相手して試せればいいけど」
冗談めかしてそんな事を言ってみる。
それを聞いてきょーくんは私との関係がバレるかと顔が青くなり、アリアちゃんは暗い目でこちらを見つめた。
「試して貰えるのですか……?」
「えっ、いいの?」
私は棚ぼたに内心快哉しながら、本当にいいのか聞き返した。
アリアちゃんは迷う素振りをみせながらも、藁にでも縋るように頷く。
私を相手にしても起たなかったらきょーくんの心の問題だと割り切れるし、起っても私は見た目で劣るから、見た目以外に理由があると思えるからだろう。
この子、やっぱどっかで私を下に見てるんだなー
でもお互い様だしいいか。
私にとっても理想的な展開だしね。
「それじゃあ、ちょっと失礼」
横からきょーくんに抱きつき、ほっぺにキスしながら服の上からきょーくんの股間を撫でた。
そうすると、きょーくんの股間がみるみる膨らんで来た。
「あれ?大きくなってるんじゃない?」
「えっ?」
三人共驚いてきょーくんの股間を注視する。
……これもしかして、きょーくんは私でしか起たないとか?
嬉しいんだけど、嬉しくないこの微妙な気持ち……
鉄壁の貞操じゃん。
私の性癖が歪む事が無かったら、一線越えた浮気の心配は無かったじゃん。
まあ、今更遅いか。
それよりもいい事思い付いちゃった。
「ねえ、アリアちゃん。まだきょーくんが好き?どうしてもきょーくんとセックスしたい?」
「それは……」
アリアちゃんは恥ずかしいのか言葉ではなく、頷いて答えた。
「きょーくんと別れないのなら、手伝ってあげようか」
そう言うと、アリアちゃんの瞳にわずかな希望の光が灯った。
でも、自分からは聞き返せないのか、ただ黙って私の言葉の続きを待ってる。
「きょーくんのコレが私だから大きくなったのか、アリアちゃんだからならなかったのかは知らないけど、私がいれば大きくなるよね?じゃあ、私も混ざればいいと思わない?」
「イチゴ、それは―」
きょーくんが何か言おうとしたけど、その口に人差し指を当てて口を止めた。
「その代わり、私もまだきょーくんが好きだから、たまにきょーくんを貸して欲しいなー」
そうすればアリアちゃんを騙してる状況でも、私も堂々ときょーくんとイチャイチャ出来るもんね。
「それは……恭一さんの気持ちも聞かないと……」
アリアちゃんが何か縋る様にきょーくんを見る。
自分では選びたくないという事かな?させないよ?
「だめだよ?これはアリアちゃんが選ばないと。きょーくんに選ばせて、責任を押し付けないでね?」
念を入れると、アリアちゃんは答えられないまま俯く。
私はアリアちゃんに近寄って、その耳元で囁く。
「選べないなら、私が奪い返してもいいんだね?」
それを聞いたアリアちゃんは真っ青になった。
そう。アリアちゃんは私からきょーくんを奪ったのだ。
なのにシェアの決断をきょーくんに押し付けると、私に気持ちが残ってる(とアリアちゃんは思っている)きょーくんが拒むはずが無い。
むしろこのまま私に乗り換えちゃうかも。
それが嫌なら、決定の主導権はアリアちゃんが握るべきなのだ。
正直私はアリアちゃんがきょーくんと別れても、提案を受け入れても、別れないまま提案を拒んでも良い。
別れるなら、すこし想定とは違うがきょーくんを早めに返して貰うだけ。
受け入れるなら、私が望むNTRプレイを相手公認の元で気ままに出来る。
受け入れないのなら、アリアちゃんの家族に告げ口したり、性の不一致を理由に挙げて貰ったりしてやっぱりきょーくんと別れさせて返して貰う。
どう転んでも対処できるの。
「分かり……ました。手伝って……ください……」
答えを出したアリアちゃんは、自分が情けないからかまた泣き出してしまった。
まあ、アリアちゃんには選択肢がなかったかも知れない。
ここまで来た以上、きょーくんと別れたら今までの自分と私への筋が通らない。
別れた後に私ときょーくんがくっつくのは目に見えていて、それだと私を裏切ってまできょーくんと付き合えた意味がないもんね。
そして私の提案を拒むときょーくんとは形では付き合えても、決定的な進展は無理。
完全に形だけ付き合ってる関係になっていずれ別れる。
でも受け入れると、きょーくんと繋がる事も出来て、私への罪悪感も薄れるんだから。
「きょーくんも、いいよね?」
「……ああ」
きょーくんは頷くけどまるで売られた顔をしてて、それがさらにアリアちゃんの罪悪感を刺激した。
それから詳しい内容は割愛するが、きょーくんは私に抱き付かれて下半身の物を起てて、アリアちゃんと無事繋がった。
もちろん、ちゃんと付けてますよ?
二人の行為に凄く興奮して、見てるだけの私も脳内麻薬がドバドバ出た。
ほどなくして、きょーくんとアリアちゃんの事が終わった。
アリアちゃんは始めての行為で疲れたやら、初めてなのに気持ち良かったやらでベッドの上で伸びている。
当然だよね。ほぼ毎日私の体で女の子の体について勉強したから、きょーくんのテクはかなりの物だからね。
「じゃあ、次は私の番ね」
私はアリアちゃんをベッドの脇に押し出して、正面からきょーくんに抱き付いた。そしてきょーくんのアレにゴムを付け替える。
「えっ、それは……」
「私にも貸してくれるって約束したよね?」
「っ………」
有無を言わさない圧を放つと、それでアリアちゃんは何も言えなくなった。
くふふふふふ。アリアちゃんで汚れたきょーくんの体を、今私で上書きする……!
そうだ、この機会に忘れていたアレをしよう。
「きょーくん、好きだよ。大好き」
私はアリアちゃんにまで聞こえる声量できょーくんに告白した。
アリアちゃんが掠め取った事で有耶無耶になってたからね。
これはアリアちゃんを煽る為でもあるけど、嘘とか演技じゃないよ?
好き。本当に大好き。
子供の頃から手塩に掛けて育てた私の
絶対に手放さない意思を込めてきょーくんを抱きしめた。
今回の事、色々思う所はあるだろうけど、私の楽しみだけじゃなくてきょーくんへのご褒美でもあるんだよ?
他の女の子とここまでさせてくれる恋人は他にいないと思うなー
「……ああ、俺も好きだ、イチゴ」
きょーくんも私を抱き返しながら答えてくれた。
「あああ、恭一さん……!」
それを聞いて絶望するアリアちゃんの顔にも本当に満たされた。
きょーくんの体が私で上書きされる様に、アリアちゃんがむせび泣く。
しかしその泣き顔の間に、興奮する気配があるのを私は見逃さなかった。
アリアちゃん、胸が痛いよね?頭がおかしくなりそうよね?でもセックスと同じでその痛みも慣れれば気持ちよくなれるよ。
ようこそ、
………
事が終わっても、私はきょーくんに抱き付いたままニコニコした。
「えへへ、気持ちよかったー。きょーくんはどうだった?」
「………」
「あれ、照れてるの?」
「恭一さん!次はまた私と!」
アリアちゃんは私に対抗してかリトライを要求した。
でも残念。
今日のきょーくんは品切れです。
私が買い占めました。
「ごめんアリアちゃん。私、初めてで疲れちゃったから動けないー。これじゃあ手伝えないよー」
私が言い訳をして手伝いを拒否した。
それはつまり、私の手伝いが必要なきょーくんとのセックスが出来ないという事。
この瞬間、アリアちゃんはまたも絶望し、きょーくんを挟んだ私とアリアちゃんの間の序列が決まった。
私が上で。
アリアちゃんが下。
アリアちゃんは仕方なく私にきょーくんを貸したつもりなのに取られたと脳みそがグシャグシャに破壊されているのだろう。
最初から私のものだった事も知らずに。ね?
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