43.その後

「本当に、どうなることかと思いましたよー」


 ミジュがほっと息を吐いている。

 鳥白市に戻った二人は、いつものようにバレーの練習に来て、みんなに報告をしたのだ。


「よかったね、ルリカちゃん」


 無事に戻った十万円を手にした雄大が、ルリカに向かって微笑んでくれる。


「ルリカさんがいない間、鉄平さんはずっと機嫌悪かったんですよー!」

「よかったっすね、ルリカさん。おめでとうございます!」

「まさか、結婚を決意する日が鉄平に訪れるなんて、思いもしなかったよ」

「鉄平さん、よっぽどルリカさんに惚れ込んでんだなー!」

「お二人がまとまって、本当によかったです」


 心配してくれていた面々が、ホッとしたように言ってくれる。

 テッペイに恥ずかしそうな様子などなく、いつにも増して堂々としていた。


「俺は決める時に決められる男だからなー!」


 そう言って満足しているのは本人だけで、周りは苦笑いしていることに気付いていない。

 幸せな男である。


「ルリカさん、結婚しちゃったら、『ダメクズ』の連載はどうするんですか?」


 重課金者の結衣が心配そうに尋ねてくれて、ルリカはうなずいた。


「ダメクズの連載は終わるよ」

「やっぱり、そうなんですね……」

「でも、新連載が始まるけどね!」

「新連載? どんなのです?」


 結衣の問いに、ルリカはニヤリと口の端を上げて。


「それはね……『元ダメクズ夫の子育て奮闘記』!」

「あはっ!」


 新連載用のタイトルを言うと、結衣は楽しそうに声を上げてくれる。

 それを聞いたテッペイもケラケラと笑って言った。


「ちゃんとになればいいけどなー!」

「自分で言うんじゃない! ちゃんといい夫になりなさいよー?!」


 テッペイとルリカのいつものやり取りに、オカシな国のみんなは、どっと笑ったのだった。

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